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青年交流:アジア欧州ヤングリーダーズシンポジウム
平成9年3月
【第1回アジア・欧州ヤングリーダーズシンポジウム】
各分科会最終報告書
第一分科会:異文化間の共存 まとめと提案
I.多様性の受容
アジアとヨーロッパは新たな選択を行うための分岐点に立っている。この新たな選択とは何か?
- 定型化と皮相的判断を避け、それぞれの文化に対し、ありのままの状態で対応すること。
- 先入観を持たず、相手の地域に対して深い尊敬の念を表し、アジアとヨーロッパのそれぞれの地域内及び地域間の相違を受け入れること。
- 相互理解のための共通の基盤を定義すること。
これは、それぞれの地域、および域内の各区域の同一性が、アジア欧州間のよりよいコミュニケーション及び可能な協力を実現するための、重要な枠組みを形成することを意味する。強い同一性の知覚が両地域間のコミュニケーションのための前提条件ではないとしても、このような同一性の知覚がコミュニケーションを容易にすることは明らかである。
協力には、単なる共存以上のものが必要である。さまざまなプロジェクトが行われると、異文化間の関心が喚起され、理解が促進される。ここで重要なことは、このようなプロジェクトのために、万全な準備を行うことである。
II.提案
- 外国語を使う場合でも、自らを率直に表現することが重要である。
- キャリアの初期段階にあるヨーロッパ及びアジアの青年を統合するような、特定の語学交換プログラムを奨励すべきである。
- 文化的規範の多様性は、「単なる」言語の違い以上の問題が発生する可能性を内包している。異文化間の協力を促進し、何らかの形態による異文化間交流を進展させるためには、以下のことが必要となる。
- 異なる国々だけではなく、異なる文化圏の代表および専門家による議論の場としてのフォーラムを設置すること。アジア研究のコースをヨーロッパに、またヨーロッパ研究のプログラムをアジアに設けること。
これらのプログラムを実施する機関として、アジア、ヨーロッパ両地域の既存大学、意見交換や異文化体験を提供するトレーニング・センター、両地域の民間セクター、大学、及び各種文化団体の代表によって運営される新たな共同機関があたるべきである。
- 大学教職員の交流及び大学院プログラムの促進を図ること。研究交流も異文化間交流の重要な要素であり、さまざまな共同研究プロジェクトを通じて、異文化間のコミュニケーションと管理の方法論を定義すること。
- ヨーロッパのERASMUSプログラム(対象は大学生)のアジア諸国に拡大。
- アジアの若い従業員を対象とするインターンシップ・プログラムをヨーロッパの企業において、またヨーロッパの従業員を対象とするインターンシップ・プログラムをアジアの企業において実施することを、積極的に支援すべきである。
文化交流は、ビジネスだけではなく、科学、スポーツ、芸術、及び若者によるキャンプや高校の交換留学などでも、たとえ短期間でも奨励されるべきである。これらの分野すべてが、文化的な違いに目を向けさせる上で役立つ。
- 芸術は文化間の溝を越える橋渡しの役割を果たすことができる。
- アジア・欧州共通の青年オーケストラの設立は、両地域の芸術におけるさまざまなトレンドに関する相互理解を促進する第一歩となる。
- メディアは、相互理解を促進させる上で、大きな役割を果たすことができる。アジアとヨーロッパの各地域において、域内の視聴者や読者に対し、メディアがより充実した、包括的な報道を提供するよう奨励すべきである。
- インターネットのウェッブ上にページを開設し、さまざまな情報のリンクを提供し、情報ネットワークの改善を目指すべきである。欧州のジャーナリストがより長期間アジアに駐在することを含め、これらの提案を実践することは、ヨーロッパの人々に、アジアのさまざまな文化や問題に関する情報を伝える手助けとなる。
- 第二分科会:総体的な福祉の向上に必要なもの
- 第三分科会:WTO体制下のアジア・欧州協力のあり方
- 第四分科会:主権国家間の地域内協力及び地域間協力のあり方
- 第五分科会:経済発展と企業のあり方
- 第六分科会:安全保障面においてアジアと欧州との間で如何なる協力が可能か
- 第七分科会:マルチメディア社会の中での欧州とアジア