中華人民共和国

李克強・中国国務院総理の訪日
日中首脳会談及び晩餐会

平成30年5月9日

英語版 (English)

  • 儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう(写真提供:内閣広報室)
  • 握手を交わす日中両首脳(写真提供:内閣広報室)
  • 日中首脳会談(写真提供:内閣広報室)

 安倍総理は、5月9日午後4時15分頃から約1時間50分、迎賓館において、公賓として来日中の李克強(り・こくきょう)中国国務院総理との間で日中首脳会談を行うとともに、歓迎晩餐会を催したところ、概要は以下のとおりです。
(当方:河野外務大臣、世耕経産大臣、西村官房副長官、野上官房副長官、谷内国家安全保障局長、横井駐中国大使ほか、先方:王毅国務委員兼外交部長、何立峰国家発展改革委員会主任、鐘山商務部長、程永華駐日大使ほか同席。)。

1 冒頭発言

(1)安倍総理から、李総理の再任を祝し、再任後初の外遊先として日本を選んだことに謝意を表明した。また、日中平和友好条約締結40周年を日中関係の新たなスタートとなる年としたい旨述べ、概要以下のとおり発言した。
 ア 両国の協力や交流をあらゆる分野で拡大し、「戦略的互恵関係」の下、全面的な関係改善を進め、日中関係を新たな段階に押し上げていきたい。
 イ 李総理の訪日を第一歩として、今後、自分の年内訪中、そして、習近平国家主席の訪日と着実にハイレベル往来を積み重ねていきたい。首脳同士の相互往来を通じて、日中関係の進展を両国国民に実感してもらうことが重要。
 ウ 日中両国は、地域及び国際社会の平和と繁栄に大きな責任を共有。両国関係の改善・発展は、各国の期待に応えることにもなる。李総理と共に努力していきたい。

(2)これに対し、李総理から、概要以下の発言があった。
 ア 重ねての訪日招請に感謝。今回、自分は総理就任後初めて訪日。
 イ ここ数年、両国は風雨を経て曲がり道をたどったが、本日の歓迎式典に参加し、風雲は過ぎ去り晴れ空となった。
 ウ 国際会議でお会いした際、関係改善への希望、お互い歩み寄ることの必要性をお話しした。その後、改善の勢いを保ち、今回の自分の公式訪問により、両国関係は正常な軌道に戻った。今後、新たな発展を得て長期にわたる安定した健全な発展を目指すべき。
 エ 両国は、世界の主要な経済体として、重要な責任を有している。
 オ 40周年の機会に条約の精神を振り返り、両国関係が正常な軌道に戻ることは、両国の利益のみならず、世界の期待にも応えるもの。

2 日中関係総論

(1)李総理から、冒頭発言を敷衍する形で、日中関係に関する中国側の基本的な考え方につき説明があり、これに対して安倍総理からは、日中平和友好条約締結40周年に触れつつ、先人達の精神を受け継ぎ、より成熟した日中関係へと向かう新たな道を切り開いていきたい旨述べ、特に首脳同士の信頼関係の構築が重要である旨を強調した。

(2)また、李総理からは、安倍総理の年内訪中について招請があり、両首脳は、安倍総理の年内訪中、そして、その後の習近平国家主席の訪日と着実にハイレベル往来を積み重ねていくことで一致した。

3 経済関係の強化

(1)安倍総理から、本年は中国の改革開放40周年であること、日本は一貫して中国の改革開放政策を支持・支援してきており、日本の対中投資は1兆円、中国における日本企業の拠点数は3万を超え、中国の雇用創出にも大きく貢献していることを説明の上、この基礎の上に、経済分野での新たな協力関係を構築していくことの重要性を強調した。李総理からは、日本の中国の改革開放政策に対するこれまでの関与を振り返りつつ、共に自由貿易を擁護したいとの発言があった。

(2)両首脳は、4月に行われた日中ハイレベル経済対話の議論も踏まえ、主に以下の点で一致した。
 ア 新技術や急速な少子高齢化への対応の中での新たな協力分野の開拓
 両首脳は、これら分野に関連する当局間の覚書が署名されたことを歓迎した。
 イ 自由経済貿易体制の維持・推進のための、国際ルールに基づく、自由で開かれた、公正な経済秩序の構築
(ア)両首脳は、日中社会保障協定への署名を歓迎するとともに、両国企業の負担軽減を実現するため、同協定の早期締結を目指すこととした。
(イ)金融協力について、安倍総理から、中国の最近の金融市場の対外開放措置を歓迎するとともに、金融協力の実現に向けた大きな進展への期待を述べた。これに対し、李総理からは、日本に対して2,000億元(約3.4兆円)の人民元適格外国機関投資家(RQFII)枠を付与することが伝えられた。また、両首脳は、人民元クリアリング銀行の設置、円=元の通貨スワップ協定の締結のための作業を早期に完了させることで一致した。さらに、李総理は、日系金融機関への債券業務ライセンスの付与及び中国市場参入について法令に基づき早期に進める旨述べた。
(ウ)両首脳は、食品貿易について、日本産コメの対中輸出拡大に向け、精米工場等の追加が今回実現したことを歓迎した。また、東日本大震災後の日本産食品に対する輸入規制について、共同専門家グループを設立することで一致した。
(エ)両首脳は、RCEPや日中韓FTAの交渉についても連携を強化することを確認した。
 ウ 第三国における協力や地球規模課題への対応
(ア)両首脳は、第三国における日中民間経済協力について、日中ハイレベル経済対話の下、省庁横断・官民合同で議論する新たな「委員会」を設け、具体的な案件を議論していくこと、また、民間企業間の交流の場として「フォーラム」を安倍総理の訪中の際に開催することで一致。
(イ)安倍総理からは、開放性、透明性、経済性、財政健全性等の国際スタンダードが確保されることを踏まえた上で、個別案件ごとに協力の可能性を検討するとの日本の立場を改めて説明。
(ウ)気候変動や生物多様性等の環境問題及びSDGs(持続可能な開発目標)を始めとする共通の課題についても協力を深めていくことを確認。

4 国民交流の促進

(1)両首脳は、良好な国民感情が二国間関係の安定的な発展に不可欠の基礎であるとの認識を共有し、本年の「40周年」記念事業や2020年の東京オリンピック・パラリンピック及び2022年の北京オリンピック・パラリンピックの機会も活用しつつ、観光、文化、防災等、あらゆる分野の国民交流をこれまで以上に促進していくことで一致した。

(2)観光交流については、昨年の中国人訪日観光客が延べ736万人に上ったこと、李総理が長年、日中間の青少年交流に尽力してきたこと等が話題になり、引き続きこうした国民間の往来を後押しすることで一致した。

(3)安倍総理から、今般の日中映画共同製作協定への署名や、本年4月に日中文化交流政府間協議が9年ぶりに再開したことに言及した上で、文化交流を進めることを確認した。

(4)安倍総理から、2008年の四川大地震に対する日本の支援や、2011年の東日本大震災に対する中国の支援について言及した上で、防災分野での協力を進めることを確認した。

(5)李総理から、両国親善の象徴として、中国から日本に対して新たなトキ2羽の供与を行う旨が表明され、安倍総理から謝意を表明した。

(6)両首脳は、人的往来の基礎となる領事分野での協力を進めることで一致し、特に、日中犯罪人引渡条約及び日中受刑者移送条約の早期締結に向けて交渉を加速することで一致した。

5 海洋・安全保障

(1)両首脳は、東シナ海の平和と安定が日中関係改善の基礎であるとの考えの下、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの共通認識を改めて確認した。

(2)両首脳は、海洋・安全保障分野における相互信頼醸成の重要性について認識を共有し、この観点から、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムが10年に及ぶ協議を経て妥結したことを歓迎した。また、これを契機として、両国の防衛当局間の対話と交流を更に促進することでも一致した。この関連で、先般、6年ぶりに再開した佐官級交流の重要性についても言及があった。

(3)両首脳は、東シナ海資源開発に関する「2008年合意」について、その完全な堅持を確認し、その実施のための協議の再開を目指して意思疎通を一層強化することで一致した。

(4)両首脳は、日中海上捜索救助(SAR)協定の早期締結に向けた作業や、海上法執行機関の信頼醸成や海洋環境・海事分野の協力の加速・拡大でも一致した。また、日中安保対話や日中高級事務レベル海洋協議等の枠組みの重要性を確認した。

6 北朝鮮

(1)安倍総理から、先週(5月4日)習近平国家主席との間で初の電話会談を行い、率直かつ有意義な意見交換を行うことができたことを述べつつ、その上で、最近の北朝鮮の動きは、日米や中国が国際社会と連携して北朝鮮に圧力をかけてきた成果であり、今週(5月7-8日)の金正恩委員長による訪中も含め、中国の努力を評価した。

(2)両首脳は、北朝鮮の非核化が日中共通の目標であることを確認するとともに、先般の南北首脳会談を前向きな動きとして歓迎した。

(3)安倍総理からは、北朝鮮による、全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、検証可能、かつ、不可逆的な方法での廃棄を実現するよう、日中で連携していくことが重要である旨述べ、両首脳は、安保理決議の完全な履行は引き続き日中共通の立場であることを確認した。

(4)安倍総理からは日朝平壌宣言に基づき、拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を目指すとの考えに変わりはないとの考えを伝えた上で、拉致問題の早期解決に向け、日中間で協力していくことで一致した。

7 晩餐会

(1)5月9日午後7時5分頃から約1時間半、安倍総理主催の歓迎晩餐会が開かれ、両首脳は、経済交流等の話題について、友好的な雰囲気の下で懇談を行った。

(2)晩餐会には、日本側から、政治、経済、文化等の各分野において日中関係の発展のために貢献のあった関係者が招待された。

【参考】署名文書一覧
 <国際約束>

 <覚書>


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