中華人民共和国

平成30年5月9日

 李克強国務院総理御一行の訪日を改めて心から歓迎いたします。今から40年前,ここ東京で当時の福田赳夫(たけお)総理と鄧小平(とう・しょうへい)副総理が,日中平和友好条約の批准書を交換し,日中は両国の間に一つの橋を架けました。今や日中両国の間には,幾重にも橋が架かっています。
 その一つは国民交流です。40年前,年間4万人だった両国間の人の往来は,現在ではたった2日間で4万人を超えています。日本で勉強する中国人留学生も10万人以上と,諸国の中でもトップであります。2020年の東京五輪,そして2022年の北京五輪の機会も活用しつつ,これまで以上にあらゆる分野の国民交流を促進したいと思います。
 もう一つの橋は経済関係です。この40年間で日中貿易総額は60倍と飛躍的な発展を遂げました。現在では日本からの対中投資は1兆円を,中国における日本企業の拠点数は3万を超え,中国の雇用の創出にも大きく貢献しています。第二,第三の経済大国同士,日中は切っても切れない関係にあります。
 さらにもう一つ,地方交流です。日中両国の友好都市交流は,国交正常化直後の1973年,神戸市と天津市の関係構築を皮切りに現在ではその数は360組を超えています。地方交流は,日中関係がどのような状況にあるときでも途切れたことはなく,両国の絆となってきました。私も李克強国務総理と11日に札幌で開催される日中知事省長フォーラムに出席し,こうした地方交流の活気をじかに感じたいと思います。
 両国に架かる橋には枚挙にいとまがありません。昨年6月に誕生したパンダの赤ちゃん,シャンシャンを一目見ようと上野公園はあふれ返っていました。1972年の国交正常化の際に2頭のパンダ,カンカン,ランランが来園して以来のパンダブームをもたらしてくれたのです。今回の李総理の訪日に当たっては,中国から日本へのトキの追加供与が実現することになりました。これにも感謝申し上げたいと思います。
 今晩は,これまでの日中関係を政治,経済,学術,文化など様々な分野で支えていただいているトップリーダーの方々を御招待いたしました。皆様のおかげで今日の良好な日中関係があります。今後とも日中関係の発展のために御協力いただきたい,御貢献いただきたいと,この場をお借りいたしましてお願い申し上げる次第でございます。
 先ほども記者会見の際申し上げたのですが,今から30年ちょっと前,李克強総理は中国の青年団の副団長として来日され,私の父が外務大臣として晩餐会を開催し,私は秘書官として出席いたしました。当時は,私も李克強総理も30歳。若々しい青年でありました。今と余り変わりはないと思うのでありますが。あれから30年。お互い日中のリーダーとして,これから更に両国関係を発展させていきたいと思います。御来会の皆様の御健康と両国の発展を祈念して,杯を上げたいと思います。

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