世界貿易機関(WTO)
WTO政府調達協定
1 WTO政府調達協定(GPA)の概要
WTOの「政府調達に関する協定」(Agreement on Government Procurement:略称GPA)は、1995年1月に発効した「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO協定)」の附属書四に含まれる複数国間貿易協定と呼ばれる協定のうちの一つです。複数国間貿易協定は、WTO協定の一括受諾の対象とはされておらず、別個に受諾を行ったWTO加盟国のみがこれに拘束されます。
政府調達分野では、東京ラウンドの多角的貿易交渉の結果策定された「政府調達に関する協定」(旧協定)(1981年発効、1987年改正)により、政府機関等による産品の調達に内国民待遇の原則(他の締約国の産品及び供給者に与える待遇を自国の産品及び供給者に与える待遇と差別しないこと)、及び無差別待遇の原則(他の締約国の産品及び供給者であって締約国の産品を提供するものに与える待遇をそれ以外の締約国の産品及び供給者に与える待遇と区別しないこと)が適用されてきました。ウルグアイ・ラウンドの多角的貿易交渉と並行して交渉が行われた結果、1994年4月にモロッコのマラケシュで作成され、1996年1月1日に発効したWTO政府調達協定(1994年協定)は、こうした規律の適用範囲を新たにサービス分野の調達や地方政府機関による調達等にまで拡大するもので、政府調達における国際的な競争の機会を一層増大させるとともに、苦情申立て、協議及び紛争解決に関する実効的な手続を定め、政府調達をめぐる締約国間の問題につき一層円滑な解決を図るための仕組みが整備されました。
さらに1997年以降、1994年協定の適用範囲を更に拡大するための改正交渉が行われ、その結果、協定の適用を受ける機関及びサービスの拡大、開発途上国の協定加入に対する特別な待遇、電子的手段の活用による調達手続の簡素化等の内容を盛り込んだ「政府調達に関する協定を改正する議定書」(以下「改正議定書」という。)が2012年3月30日に採択され、2014年4月6日に発効しました。我が国については、同議定書を2014年3月17日に受諾し、同年4月16日に効力が生じました。この改正議定書の発効によって1994年協定が改正され(改正協定)、締約国の政府調達市場が更に開放されることとなりました。なお、改正議定書を受諾していない1994年協定の締約国との間では、同国が改正議定書を受諾するまで、1994年協定が適用されてきましたが、2020年12月2日、スイスが改正議定書を受諾したことにより、2021年1月1日以降、すべての締約国間で改正協定が適用されることとなりました。
(参考1)締約国・地域(2024年9月現在)(22)
アルメニア、豪州、カナダ、欧州連合(EU)、香港、アイスランド、イスラエル、日本、韓国、リヒテンシュタイン、モルドバ、モンテネグロ、オランダ領アルバ、ニュージーランド、北マケドニア、ノルウェー、シンガポール、スイス、台湾、ウクライナ、英国、米国
(参考2)加入申請・交渉国・地域、オブザーバー国・地域(2024年9月現在)
(1)加入申請・交渉国・地域(11)
アルバニア、ブラジル、中国、コスタリカ、ジョージア、ヨルダン、カザフスタン、キルギス、オマーン、ロシア、タジキスタン
(2)オブザーバー国・地域(24)
アフガニスタン、アルゼンチン、バーレーン、ベラルーシ、カメルーン、チリ、コロンビア、コートジボワール、ドミニカ共和国、エクアドル、インド、インドネシア、マレーシア、モンゴル、パキスタン、パナマ、パラグアイ、フィリピン、サウジアラビア、セーシェル、スリランカ、タイ、トルコ、ベトナム
2 条文
条文 | 英語(WTOホームページへリンク) |
日本語 | |
条文のタイトル |
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附属書の内容(英語のみ) |
3 日本についての適用範囲などについて
(1)協定が適用される調達機関
(2)適用基準額
「政府調達協定及び我が国の自主的措置の定める「基準額」並びに「邦貨換算額」」をご覧ください。
(3)適用対象サービス
(注)なお、我が国は、中央政府の機関及びその他の機関の調達の一部については、関係省庁で「政府調達手続に関する運用指針等について」を申し合わせ、GPAより厳しい基準に基づく入札手続等を自主的措置として策定しています。(首相官邸ホームページ)
(注)個別の調達案件につきましては、各調達機関にお問い合わせください。また、我が国の政府調達市場への参入については「政府調達協定Q&A」をご参照ください。