ベトナム社会主義共和国

平成28年5月6日

 6日(木曜日),8時30分から約65分間,ベトナムを訪問中の岸田文雄外務大臣は,政府迎賓館において,ファム・ビン・ミン副首相兼外務大臣(H.E.Mr. Pham Binh Minh, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs, Socialist Republic of Viet Nam)と日越協力委員会第8回会合を開催したところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭

 ミン副首相兼外相から,日越協力委員会第8回会合を岸田大臣と開催できることを嬉しく思う,両国の関係省庁の出席も得て,本日は「広範な戦略的パートナーシップ」に相応しい,率直且つ具体的な議論を幅広い分野において行いたい旨述べられました。
 岸田大臣は,政治局員に就任されたミン副首相兼外相と共に,本日,日越協力委員会第8回会合を開催できることを嬉しく思う,日越関係を更に強化する観点から,本会合が,有意義な会合となることを期待する旨述べました。

2 経済協力

 岸田大臣から,今回の訪問では,ASEAN共同体強化を後押しするため,地域統合の鍵を握るメコン地域の連結性強化を重視しており,5月2日にバンコクで行った講演で,メコン地域の連結性を一層強化するための新たな枠組みである「日・メコン連結性イニシアティブ」の立ち上げを提案したことを紹介しました。更に,メコン地域の発展には,その牽引役であるベトナムの更なる発展が不可欠であり,日本は「質の高いインフラパートナーシップ」や「産業人材育成協力イニシアティブ」,日メコン協力の方針である「新東京戦略2015」(PDF)別ウィンドウで開くに基づき,インフラ整備や産業人材育成を通じ,ベトナムの発展を後押することを伝達しました。こうした取組の一環として,ホーチミン市に下水処理場を建設する円借款及び人材育成支援,及び医療機材等の供与を行う無償資金協力について交換公文の署名・交換を行うことは喜ばしい旨述べました。また,ベトナム南部のロンタイン空港建設計画及びホーチミン市地下街開発計画に対する日本側の関心を伝えるとともに,ハノイ市及びホーチミン市都市鉄道整備計画へのベトナム側の更なる協力を求めました。
 ミン副首相からは,ベトナムの2016年-2020年までの社会経済開発5か年計画において,ベトナムの競争力強化等において,他国との協力を重視していることが紹介されました。また,日本のこれまでのベトナムに対するODAに謝意が示され,日本のODAがベトナムのインフラ整備だけでなく,国民の生活水準の向上に寄与していることに高い評価が示されました。また,日本の「質の高いインフラパートナーシップ」への支持と強い期待が表明されました。また,5月2日に,岸田大臣がタイで行ったスピーチに対する「日・メコン連結性イニシアティブ」に対する支持と高い評価について言及がありました。

3 経済一般,環境,人材育成等

 双方は,日本企業のベトナムへの投資拡大に向け,日越共同イニシアティブ第6フェーズ等を通じ,企業が直面する課題の解決を図っていくなど更なる投資環境整備に取り組んで行くことで一致しました。また,双方は,TPP協定の署名を歓迎し,早期発効に向け共に努力すること,また,RCEPについても包括的且つ高いレベルの協定の妥結を目指し連携していくことを確認しました。農業協力については,ベトナム側から,農業分野のこれまでの協力の進展を歓迎し,引き続き農産品加工分野の日本企業からの投資拡大やハイテク農業技術の移転に対する関心が表明されました。また,ベトナム側から,赤い果肉のドラゴンフルーツの対日輸出に対する希望が表明され,岸田大臣から,日本産なし(梨)の生果実のベトナムへの輸出について,ベトナム側の検討を要請し,双方で引き続き検討していくことになりました。
 環境・気候変動分野に関し,岸田大臣は,ベトナムにおける干ばつ・塩害対策は,目下深刻な問題であると認識しており,日本としても具体的に協力する用意があることから,引き続きベトナム側ともよく意思疎通しながら,必要な協力をしっかりと検討していく旨述べました。これに対し,ミン副首相から,ベトナムで発生している干ばつ・塩害被害対策支援について改めて支援が要請されました。
 また,岸田大臣は,日本の「産業人材育成協力イニシアティブ」の下,ベトナムの工業化戦略の達成に向け,高専型教育の導入を通じた技術協力や日越大学の設立等を進めることに言及し,本年9月に開設予定の日越大学修士課程コースは,高度人材育成分野における象徴的な案件であることを伝えました。ミン副首相は,日越大学の開設に向け,学部の組織と構成について,引き続き双方で緊密に協力し,検討していきたい旨表明されました。

4 観光交流,文化交流等

 日本側から,訪日ベトナム人数は昨年約18万5千人と過去最高を記録したが,さらに多くのベトナム人旅行者に訪日いただけるよう日本政府観光局をハノイに設置したいと考えている旨述べました。また,岸田大臣から,杉良太郎日越特別大使の協力を得つつ昨年7月からVTVで放映されている日越文化交流番組についても継続予定,国民レベルでの友好関係強化のため支援をよろしくお願いしたい旨述べました。さらに,日本の高校生のベトナムへの修学旅行は青少年交流を深める有意義な事業であり,安定的に実施されるようベトナム側の配慮を要請しました。
 ミン副首相からは,文化交流や地方自治体間の協力を引き続き強化していきたい旨発言があり,ベトナムおよび日本で行われている文化イベント等を引き続き積極的に実施したい,修学旅行の安定的な実施に配慮したい旨言及がありました。

 

(参考)日越協力委員会
 2006年11月の首脳間合意により,両国間の互恵的協力関係全体についての方向性を議論する場として設置された。原則として年1回定期的に日本とベトナムで交互に開催。両国外相が共同議長となり関係省庁の幹部が同席し,経済,経済協力,人的・文化交流,農業,エネルギー等幅広い分野における議論を行っている。

第1回7年5月 麻生外務大臣及びキエム副首相兼外務大臣(於:東京)
第2回8年7月 高村外務大臣及びキエム副首相兼外務大臣(於:ハノイ)
第3回10年1月 岡田外務大臣及びキエム副首相兼外務大臣(於:東京)
第4回12年7月 玄葉外務大臣及びミン外務大臣(於:ハノイ)
第5回13年9月 岸田外務大臣及びミン副首相兼外務大臣(於:東京)
第6回14年8月 岸田外務大臣及びミン副首相兼外務大臣(於:ハノイ)
第7回15年7月 岸田外務大臣及びミン副首相兼外務大臣(於:東京)

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