タイ王国

平成28年5月1日
日・タイ外相会談
ドーン外務大臣からの贈呈品
ドーン外務大臣への贈呈品

 5月1日(日曜日),タイ訪問中の岸田文雄外務大臣は,ドーン・ポラマットウィナイ(H.E. Mr. Don Pramudwinai)タイ王国外務大臣と,外相会談を約1時間15分,夕食会を約1時間半行ったところ,概要は以下の通りです。

1 二国間関係

日・タイ外相会談
日・タイ外相会談

(1)要人往来

 ドーン大臣から,昨年11月のAPEC閣僚会合の際の日タイ外相会談での招待に応じ,多忙な日程の中で岸田大臣の初訪問が実現したことに歓迎の意が表明されました。
 これに対し,岸田大臣より,ドーン外相の招きに応じ,大臣就任後初めてとなるタイ訪問が実現できたことを嬉しく思う,地域の発展と連結性強化の鍵を握るタイとの間で両国の「戦略的パートナー」関係を更に強化したい旨述べました。
 また,岸田大臣より,熊本地震の発生に際してタイ側から示されたお見舞いと支援の申し出に感謝を表明するとともに,タイの国王王妃両陛下のご回復を祈念する旨伝えました。
 これに対し,ドーン大臣から,国王王妃両陛下へのお見舞いへの感謝を述べた上で,熊本地震の被害に対するお見舞いの意が表明され,日本政府からの要請があればタイ政府としてあらゆる協力をする用意がある旨述べました。さらに,ドーン大臣から,二国間のハイレベルの要人往来に関し,来年,JTEPA10周年会合を開催したく,その際には共同議長として岸田大臣にもタイを訪問いただきたい,また,プラユット首相も安倍総理を招待したいと考えており,実現に向けて岸田大臣のお力を借りたい,10月に予定されるアジア協力対話(ACD)首脳会合の機会の訪問も検討いただきたい旨述べました。
 岸田大臣より,招待に心から感謝,自分の日程は検討する,総理の招待については,総理にお伝えし,検討していただきたいと思うと述べました。
 また,岸田大臣より,来年の修好130周年に際し,ドーン大臣と引き続き連携していきたい旨述べました。

(2)経済・安全保障

 岸田大臣より,昨年7月の外相会談で作成に合意した農業分野の協力に関する覚書骨子(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)が署名に至ることを歓迎する旨伝えました。
 岸田大臣より,タイの持続的発展は日本にとっても重要であり,きめ細かい協力を引き続き行っていきたい旨伝えた上で,タイへの更なる投資拡大にとって,日本企業の声に耳を傾け,良好な投資環境が維持,促進されることを期待する旨述べ,タイに在留する多くの邦人の安全確保についても協力を要請しました。
 さらに,岸田大臣より,タイが周辺国との連携を深める動きは,メコン地域の連結性強化につながるものとして歓迎する旨述べ,タイの取組を支援する旨伝えました。
 また,岸田大臣より,毎年タイで行われるコブラゴールド演習への自衛隊の参加等,緊密な安保防衛協力の更なる強化を期待する旨述べました。
 これに対し,ドーン外相より,投資環境整備及び在留邦人の安全確保については,タイにおいて日本の多数の民間企業の投資がなされ,多数の日本人が在留して二国間関係に貢献しており,邦人の安全確保に全力で取り組みたい,経済・投資のみならずタイ政府としてあらゆる面で協力していきたい,農業・医療・投資環境等,幅広い分野に協力が及んでいる旨述べました。

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    農業分野の協力に関する覚書 署名式
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    農業分野の協力に関する覚書 署名式
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    農業分野の協力に関する覚書 署名式

2 タイ情勢

 岸田大臣から,新憲法草案の国民投票が8月に予定されていると承知しており,国民の声に耳を傾けながら,民政復帰の動きが速やかに進むことを期待する旨伝えました。
 これに対し,ドーン大臣より,タイ国内情勢については,ロードマップに沿って民政復帰に向けたプロセスが着実に進捗している,本年8月7日の憲法草案に関する国民投票,来年半ばの総選挙実施を強く信じている,岸田大臣がご覧になられたとおり市街地の様子は平穏である等の説明がありました。

3 地域・国際場裏での協力

(1)G7広島外相会合・核軍縮

 岸田大臣より,G7広島外相会合において,核兵器国と非核兵器国の協力の重要性が認識され「広島宣言」(PDF)別ウィンドウで開くが発出され,各国外相が被爆の実相に触れ,核兵器のない世界への機運を盛り上げる機会となった旨述べ,タイとも連携を強化したい旨伝えた上で,包括的核実験禁止条約(CTBT)のタイによる早期批准を期待する旨述べました。
 ドーン外相より,G7広島外相会合に関する岸田大臣からの説明を多とし,同会議は非常に有意義なものであったとの評価が示され,核軍縮・不拡散について先進国がいかに危機感を有しているか示すことができ,国際社会の関心を高めるのに有意義であった,タイはG77の議長国を務めており,G7伊勢志摩サミットに向けてタイとしても必要なインプットを行っていきたい旨説明がありました。

(2)海洋安全保障

 岸田大臣より,南シナ海における大規模かつ急速な埋め立て,拠点構築など一方的な現状変更の試みは国際社会共通の懸念である旨述べました。
 これに対し,ドーン大臣より,G7広島外相会合で,海洋安全保障に関する成果文書(PDF)別ウィンドウで開くが発出され,G7が海洋安全保障に力を入れていることは承知している旨述べ,タイとして対中調整国であった時期の南シナ海に関するタイの取り組みについて説明があったほか,タイも問題の外交的解決,法に基づく問題解決及びASEANが一体となって対応することが重要であると考えている旨を述べました。

(3)北朝鮮

 岸田大臣より,北朝鮮は,今年に入って核実験弾道ミサイル発射を実施,地域及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり,断じて容認できない,安保理決議の厳格な履行等を通じ,北朝鮮に対する圧力を強化すべき旨述べました。また,核,ミサイル,拉致といった北朝鮮を巡る諸懸案の包括的な解決に向けタイと連携したい旨伝えました。
 これに対し,ドーン大臣より,北朝鮮については,安保理決議の厳格な履行が必要である旨の認識が表明され,タイとしても完全に履行する努力をしている旨述べました。

(4)安保理改革等

 岸田大臣より,安保理改革を重視しており,国連総会第70回会期という好機に具体的な形で進展を得たい旨述べました。また,パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)の次回閣僚会合のタイでの開催の表明について感謝を伝えました。
 これに対し,ドーン外相より,タイは,国際社会で更なる役割を担う用意があり,CEAPADや国連改革においても引き続き日本と緊密な連携を進めたい旨述べました。

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    共同記者発表
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    共同記者発表
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    共同記者発表

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