ミャンマー連邦共和国
茂木外務大臣のミャンマー訪問
8月24日、茂木敏充外務大臣は、ミャンマーを訪問したところ、概要は以下のとおりです。
1 アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相との会談

24日午後2時(現地時間)から約1時間、茂木外務大臣は、アウン・サン・スー・チー・ミャンマー連邦共和国国家最高顧問兼外相(H.E. Ms. Aung San Suu Kyi, State Counsellor and Union Minister for Foreign Affairs, the Republic of the Union of Myanmar)と会談しました。
(1)冒頭
冒頭、茂木大臣から、新型コロナにより往来が制限される中での最初の海外要人としての訪問受け入れに感謝する旨述べたのに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問から、茂木大臣をお迎えできて喜ばしい旨述べました。また、茂木大臣から、ミャンマーの民主的な国造りを官民挙げて最大限支援していく旨述べ、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問から、日本の支援に対する感謝の意が表されました。
(2)二国間関係
茂木大臣から、新型コロナウイルスに対応するため、これまでミャンマーに対して3,000万ドル以上の技術支援、アビガン錠供与及び医療物資・機材支援を実施しており、さらに緊急財政支援として300億円、中小企業支援として150億円の円借款による協力を行うこととした旨述べたのに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問は、日本からの新型コロナ対策支援について謝意を表しました。
双方は、入国後14日間の自宅等待機は維持しつつ、双方向の長期滞在者の往来を可能とする「レジデンストラック」を9月上旬にも開始することに合意しました。また、14日間の自宅等待機期間中も、行動範囲を限定した形でのビジネス活動を可能とする「ビジネストラック」についても、早期の運用開始に向けて、外交ルートでの調整を加速化していくことで一致しました。
あわせて茂木大臣から、ミャンマーからの国費留学生の早期入国を認めることを決定した旨伝達し、先方から謝意が表されました。
(3)地域情勢
ラカイン情勢について、茂木大臣は、ラカイン州の状況改善のため、ミャンマー自身の取組を最大限後押しする旨述べた上で、独立調査団勧告に基づき、透明性のある形での捜査・訴追が進展することを期待する、国際司法裁判所(ICJ)による暫定措置命令の着実な履行も重要であり、避難民の早期帰還及びそのための環境整備も引き続き重要である旨と述べたのに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問から、ラカイン問題に対する日本の理解、支援に対する謝意が述べられました。
また、11月8日に開催予定のミャンマー総選挙について、茂木大臣は、笹川陽平・ミャンマー国民和解日本政府代表率いる選挙監視団を派遣するとともに、二重投票防止のための特殊インクの供与を決定したと述べたのに対し、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問から、日本の支援に対する謝意と、民主的な選挙を確実に実施したいとの決意が表されました。
地域情勢に関しては、南シナ海問題、北朝鮮情勢について意見交換し、両国の協力を深化させていくことを確認しました。また拉致問題について、茂木大臣から早期解決に向けた理解と協力を求め、支持を得ました。
2 ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談

8月24日午後4時(現地時間)から約1時間、茂木敏充外務大臣は、ミン・アウン・フライン・ミャンマー連邦共和国国軍司令官(Senior General, Min Aung Hlaing, Commandar-in-chief of the Defence Services of the Republic of the Union of Myanmar)と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
(1)冒頭、茂木大臣から、日本政府は、ミャンマーの民主的な国造りを官民挙げて引き続き最大限支援する旨述べました。
(2)続いて、ラカイン情勢について、茂木大臣から、ミャンマー議会に提出された国防法改正により、ラカイン州の事案について、軍法会議における捜査・訴追が進展することを期待する、処罰の手続及び内容を可能な限り公表することが重要である、また、ミャンマー自身が責任追及の取組を進めることは、国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令の着実な履行にも資する、避難民の早期帰還及びそのための環境整備も引き続き重要である旨述べました。これに対し、ミン・アウン・フライン国軍司令官から、ラカイン問題の解決に向けた取組についての説明があり、国軍として問題解決に向けて努力を続けたいとの意向が表明されました。
(3)また、少数民族との和平につき、茂木大臣から、日本政府は、今後とも、笹川政府代表と共に、ミャンマーの和平プロセスの進展を後押ししていく旨述べたのに対し、ミン・アウン・フライン国軍司令官から、国内和平に対する笹川政府代表の尽力のもとでの日本からの支援に感謝する旨の発言がありました。
(4)ミャンマー総選挙について、茂木大臣から、国軍の協力により、自由で公正な選挙が実施されることを強く期待する旨述べたのに対し、ミン・アウン・フライン国軍司令官からも、国軍としても自由で公正な選挙の実施に協力していくとのことでした。
(5)さらに、地域情勢に関して、南シナ海問題等について意見交換し、双方は、両国の協力を深化させていくことを確認しました。