外務報道官談話
ミャンマー政府によるラカイン州情勢に関する独立調査団の最終報告書概要の発表について
(外務報道官談話)
1 1月21日(現地時間同日),ミャンマー連邦共和国政府は,ラカイン州北部における人権侵害疑惑につき,同国政府自身により設立された独立調査団による最終報告書の概要を発表しました。本報告書には,計13か所の千人以上の住民の証言に基づく,大量殺害,財産の破壊,略奪等に関する具体的な情報及びミャンマー政府・国軍に対する勧告が含まれています。また,同21日,同国政府は,独立調査団の同勧告を踏まえ,犯罪行為に対する捜査,訴追を進めるとの立場を明らかにしました。
2 我が国は,ミャンマー政府・国軍に対し,人権侵害疑惑については,透明性と信頼性のある形で調査を実施し,その結果に従い,適切な措置を取るよう繰り返し働きかけてきました。独立調査団による最終報告書の提出及びミャンマー政府による立場表明は,ミャンマー自身による責任追及に向けた重要な進展であると評価します。
3 今後,ミャンマー政府・国軍の双方が,独立調査団の勧告を踏まえ,必要な法的措置を速やかにとるとともに,同様の事案の再発の防止及び関連する国際法等の遵守に努めることを強く期待します。
4 我が国は,引き続き,ラカイン州における平和と和解の促進及び避難民帰還のためのミャンマー自身の取組を後押しするとともに,同国の民主的な国造りを全面的に支援していきます。
[参考1]1月21日付ミャンマー大統領府プレスリリースの要旨
大統領は,ラカイン州の国内紛争の間になされた,文民による深刻な犯罪等に対する捜査及び訴追のため,報告書を連邦法務長官に転送し,治安部隊構成員の犯罪等に対する捜査及び訴追のため,国軍司令官に報告書を転送した。
[参考2]独立調査団の最終報告書の概要
ラカイン州北部の住民,ミャンマー治安当局関係者等への聴取等を実施。2017年8月25日から9月5日までの治安作戦の間,戦争犯罪,深刻な人権侵害及び国内法違反が発生したと結論付け,これらの違法行為に,治安部隊構成員が関与していたと信じるための妥当な根拠があるとした。また,ミャンマー政府・国軍の双方による迅速な捜査及び責任追及等を勧告した。