報道発表
第2回OECD・東南アジア経済安全保障政策対話(結果)
(写真提供:OECD)
11月6日、外務省とOECD東京センターとの共催により「第2回OECD・東南アジア経済安全保障政策対話」が東京で開催されました。同対話には大空幸星外務大臣政務官が出席し、開会挨拶を行いました。
1 概要
- 本政策対話は、本年2月に東京で開催された、造船、鉄鋼及びAIをテーマとする第1回「OECD・東南アジア政策対話」の成果を踏まえ、本年5月に日本政府とOECDとの間で発出し、高市早苗総理大臣が歓迎した「日本とOECDとの間の経済安全保障に関する協力プラン」を具体化する中核的事業として開催されました。
- 本対話では、世界経済の成長センターである東南アジア諸国の政府高官及び実務者を東京に迎え、AI、量子技術、責任ある企業行動(RBC)を含む投資及び金融システムにおけるレジリエンスに関する分野をテーマに、世界が地政学的緊張やサプライチェーンの途絶リスク等に直面する中、開放的で予見可能な環境を維持しつつ、経済安全保障の確保や経済的強靱性を強化し、戦略的依存関係から生じる潜在的な脆弱性に対処するため、OECDの客観的なエビデンス・データによる分析やルール・スタンダードを踏まえた先進的で具体的な議論が交わされました。
- OECDからは、正木靖事務次長が基調講演を行ったほか、アンドレアス・シャール・グローバル関係・協力局長、オードリー・プロンク科学技術イノベーション局次長及びアントニオ・ゴメス金融企業局次長が参加し、議論を牽引しました。
- 日本からは、大空政務官による開会挨拶の他、内閣府、外務省、財務省、金融庁の関係部局からも出席し、議論に貢献しました。また、閉会セッションにおいては安藤俊英OECD日本政府代表部特命全権大使が総括と閉会挨拶を行いました。東南アジア諸国から政府高官・実務者が対面で参加したほか、米国からジョン・ハーリー米国OECD代表部大使、ツェリン・ドンタク国務次官補代理等が訪日し、それぞれ議論に貢献しました。その他のOECD加盟国や東南アジア各国の在京大使館からも多くの参加があったほか、伊藤忠彦衆議院議員(自民党OECD議員連盟幹事長)も出席しました。
- 参加者は、各テーマにおいて、客観的エビデンスに基づく共通認識を確立するとともに、東南アジアの実態や政策知見を今後のOECDにおける議論に反映させ、協力関係を深めていくことで一致しました。また、本対話は来年も継続して開催される予定であり、次回対話でも喫緊の政策課題について議論をさらに深め、経済安全保障の主要フォーラムとしていくことを確認しました。
2 大空政務官による開会挨拶
大空政務官は、地政学的緊張が高まり、非市場的政策・慣行やサプライチェーンの脆弱性が顕在化する中、経済安全保障の確保はルールに基づく自由で公正な国際経済秩序を維持するための喫緊の課題であり、OECDと東南アジア諸国が連携して対処していく重要性を強調しました。
その上で、投資分野で今後予定される国際会議に向けたOECDや東南アジア諸国との協力強化、量子分野のオンラインワークショップ及び来年2月のインドネシアでの「OECD-東南アジア間のAIに関する定期対話枠組み」の下での対面による第3回会合開催への貢献等を通じて、地域の経済安全保障の確保に貢献していく旨述べました。また、北朝鮮による暗号資産の窃取やIT労働者による外貨収入を含む悪意あるサイバー関連活動を通じた不法な資金調達への深刻な懸念を共有しつつ、金融システムのサイバーレジリエンス強化に向けた活発な議論に期待を示しました。
さらに、東南アジアへのアウトリーチの拠点であるOECD東京センターの役割の重要性を指摘しつつ、本対話を通じた地域全体の繁栄への期待を表明しました。
3 主な成果概要
本対話では情勢認識を共有すると共に、今後の取組に向けた指針が示されました。
- 新データ分析指標(ICIO/TiVA)による構造的依存関係の可視化
正木事務次長から、OECDの最新の国際産業連関(ICIO)データベース及び付加価値貿易(TiVA)指標を用い、第三国を経由して波及する付加価値の流れや構造的依存関係を可視化する新たな分析手法を提示しました。従来の二国間貿易統計では捉えきれなかったグローバル・バリューチェーン上の潜在的脆弱性について、客観的かつ科学的なデータに基づき参加国間で共通認識を深めました。 - 「More, Better, and Safe(MBS)」投資アプローチと責任ある企業行動(RBC)の重要性、重要鉱物サプライチェーンの強靱化に向けた協力
「OECD ASEAN投資政策レビュー」を踏まえ、開放性を維持しつつ安全保障リスクを管理し、質の高い外国直接投資(FDI)を呼び込む「MBSアプローチ」の重要性を確認し、推進していくことで一致しました。また、重要鉱物サプライチェーンにおける責任ある企業行動(RBC)基準の普及の役割につき議論されるとともに、本年5月に英国及びOECDが共催したインドネシア及びタイにおける技術ワークショップの価値に留意し、東南アジア諸国における投資スクリーニングに関する実践的なピア・ラーニングの継続の重要性が確認されました。さらに、本年12月の「OECD投資ハイレベル会合:OECDにおける投資に関する国際協力50周年」や2027年4月の「投資と国家安全保障に関する会議」に向け、OECD、日本を含むOECD加盟国及び東南アジア諸国との間で緊密に連携していくことが確認されました。 - 量子エコシステムの構築に向けたオンライン・ワークショップ
本年採択された「量子技術に関するOECD勧告」を踏まえ、参加者は、科学的研究やイノベーションを支える開放性と国際協力を維持しつつ、責任ある技術開発と利用を支援するためのアプローチについて議論を行いました。さらに、2027年3月に、東南アジア各国の政策立案者、研究者及び産業界代表者等を対象とした、量子分野における技術アクセス、サプライチェーン及び人材育成に関するOECDと東南アジアの共通の優先事項や課題等を特定する「OECD・東南アジア諸国間のオンラインワークショップ」を新規に開催することで一致しました。 - AI政策及び「OECD-東南アジア間のAIに関する定期対話枠組み」の下での更なる協力
参加者は、信頼できるAIシステムへのアプローチや、AIインフラ及び能力へのアクセスを広げ、強靭性を強化し、地域全体でのAIの開発と導入を支援するために必要な環境整備の条件等につき議論を行うとともに、OECD AI政策・ツールキットや広島AIプロセス(HAIP)報告枠組等を含むグローバルな枠組みを活用することの重要性を確認しました。さらに、2027年2月にインドネシアにおいて、「OECD-東南アジア間のAIに関する定期対話枠組み」の下での対面による第3回会合を行い、インシデント報告を含むAIの安全性や、製造分野におけるAIの役割等をテーマに議論していく方向で一致しました。 - 金融システム上のサイバーリスクに対する強靭性強化と中小企業の(SMEs)保護
参加者は、北朝鮮による暗号資産窃取やIT労働者の活動を含む、悪意あるサイバー関連活動が、金融インフラや相互に接続されたサプライチェーンにもたらすシステムリスクや課題、また、グローバル・バリューチェーンに組み込まれた東南アジア諸国の中小企業(SMEs )の脆弱性が金融システム全体へ及ぼす波及リスクについて議論を深めました。さらに、高度化する先端AIモデルが、金融機関のサイバーリスクを増大させる可能性があることを認識し、金融機関、テクノロジープロバイダー及び監督当局間の協力を通じてサイバー強靭性を強化することの重要性を議論しました。
(参考1)別添
(参考2)
(参考3)OECD東京センター
1973年に広報センターとして設立。OECDの組織改革を受け、2024年から、東南アジアを含むインド・太平洋地域に対するOECDのアウトリーチの拠点として活動している。
(参考4)OECD東南アジア地域プログラム(SEARP(セアラップ))
OECDとASEAN各国間との政策対話などを通じて、東南アジア諸国のOECDのルールやスタンダードへの参加や国内改革を促し、地域統合を促進するためのプログラム。2014年のOECD閣僚理事会(議長国:日本)において、安倍総理大臣(当時)出席の下で立ち上げを決定。日本は発足時から2018年までインドネシアとともに共同議長国を務め、プログラムの運営を主導。現共同議長国はカナダとフィリピン。

