報道発表
「宇宙に関する包括的日米対話」第6回会合の開催(結果)
1 7月24日,ワシントンD. C. において,宇宙に関する包括的日米対話第6回会合が開催されました。この会合には,日本側は赤堀毅外務省総合外交政策局参事官及び松尾剛彦内閣府宇宙開発戦略推進事務局長,米国側はスコット・ペース国家宇宙会議事務局長(Dr. Scott Pace, Executive Secretary, National Space Council)及びトロイ・エンディコット国家安全保障会議宇宙政策担当部長(Brigadier General Troy Endicott, Director for Space Policy, National Security Council)が共同議長を務めました。日本側の宇宙関係府省及び機関として,外務省,内閣府,国家安全保障局,総務省,文部科学省,経済産業省,防衛省,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)から関係者が出席し,宇宙協力に関する包括的な意見交換を行い,その成果として共同声明(仮訳(PDF)/英文(PDF))が発出されました。
2 本件会合の概要は以下のとおりです。
(1)宇宙に関する包括的日米対話は,両国政府からの専門家の参加を得て,民生,商業,国家安全保障上の宇宙に関する関心と協力に対する政府一体となったアプローチを強調するものであり,今次会合は,5月27日の日米首脳会談において,両首脳が安全保障・探査・産業の各面での宇宙協力の強化を確認したことを受け開催され,両国間の協力強化に向けた議論が行われた。
(2)今次会合において,双方は,それぞれの宇宙政策に関する最新情報を紹介するとともに,宇宙安全保障,宇宙状況把握(SSA),宇宙交通管理(STM),宇宙探査,商業宇宙活動,地球観測,全球測位衛星システム(GNSS)に係る二国間協力を拡大し,第三国及び多国間機関への関与の機会を探求するとの強い決意を新たにした。
(3)安全保障について,昨年12月の防衛大綱改正及び本年4月の日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)の成果を踏まえ,日本側における宇宙安全保障能力の構築に向けた取組について説明するとともに,日本の準天頂衛星への米国の宇宙状況監視(SSA)ペイロードの搭載を通じたSSA能力向上などの両国協力を加速することを議論した。更に,双方は,2018年10月にアラバマ州マクスウェル空軍基地で開催されたシュリーバー演習への参加結果を報告した。双方は,宇宙システムのサイバーセキュリティの強化が極めて重要であるとの見方を共有し,宇宙空間における行動規範を策定するために進められている多国間の取組に留意した。双方は,宇宙システムの利用を通じた海洋状況把握(MDA)の強化に関する協力の機会を探求するとの双方のコミットメントを再確認した。
(4)スペース・デブリ問題について,日本側はG20大阪サミットにおいて,安倍総理より同問題が宇宙の安定利用にとってリスクとなっており,国際社会が協力して取り組む必要があり,日本が世界に先駆けて大型デブリ除去プロジェクトを開始する旨表明した旨を紹介し,日米で協力して取り組んでいきたい旨説明し,米国は日本のイニシアチブを歓迎する旨応じた。
(5)宇宙状況把握,宇宙交通管理及び宇宙天気について,双方は,宇宙空間の安全かつ責任ある利用を確保するための取組の重要性に関して確認し,前回会合以降の政策の実施に関する進展について最新状況を紹介した。双方は,SSA,STM及び軌道上サービスや能動的デブリ除去を含むその他関連活動における民間分野の関与を促進するための取組,SSAデータの相互運用性の改善のための取組, SSAデータの更なる共有を可能とするための取組,行動基準,ベストプラクティス及び行動規範の発展を支援する進行中の取組について議論した。双方は,宇宙天気観測及び警報のための地上データ取得に関する協力を継続することについて確認した。
(6)双方は,2019年5月の日米首脳会談の成果を認識し,特に火星探査に向けた足がかりとしての月探査における協力を強化していく意向を共有した。双方はゲートウェイ(月近傍有人拠点)及び月面活動への日本の参画についての議論を加速させることを認識した。米国は,月探査についての共通の目的に向けた,あり得る貢献についての日本の提案を歓迎した。また,双方は,2024年以降の国際宇宙ステーションに関する見方や計画について,運用コストの低減及び商業活動の機会拡大を含め,議論を継続することを確認した。
(7)双方は,米国のGPS及び日本の準天頂衛星システム(QZSS)のような衛星航法システム,地球観測及び宇宙科学を含む宇宙利用での更なる協力につき議論を継続した。双方は,最近行われた日本のはやぶさ2ミッションの成功を祝福した。
(8)双方は,宇宙空間における法の支配の強化の重要性を再確認した。双方は,任意の21の宇宙活動に関する長期持続可能性ガイドラインが採択された国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)を含む,両国が参加する多国間協力フォーラムでの近年の進展につき,最新情報の意見交換を行った。双方は宇宙活動の安定性を強化するため,透明性及び信頼醸成措置(TCBMs)を引き続き協調して追求することの重要性を再確認した。双方は,持続可能な開発目標(SDGs) の達成における宇宙利用の役割を認識し,アジア太平洋地域での宇宙分野における信頼醸成及び途上国の能力構築のための協力についても議論した。
(9)双方は,両国の二国間宇宙協力政策全体に指針を与えるメカニズムとしての宇宙に関する包括的日米対話の戦略的な価値を再確認するとともに,本対話が,両国間の各省,各部及び各機関をまたいだ協力的な関係を強化し続けるであろうことを再確認した。
(10)双方は,本対話の第7回会合を2020年に日本において開催することで一致した。