報道発表

フィリピンに対する無償資金協力に関する書簡の交換

平成31年3月6日

1 本6日(現地時間同日),フィリピン共和国の首都マニラにおいて,我が方羽田浩二駐フィリピン大使と先方ホセ・ルイス・フェルナンデス国連食糧農業機関(FAO)フィリピン事務所代表(Mr. Jose Luis Fernandez, FAO Representative in the Philippines)との間で,供与額2億円の無償資金協力「ミンダナオにおける和平の確立のための農業訓練計画」(FAO連携)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われるとともに,我が方羽田同大使と先方カリド・ハッサン国際労働機関(ILO)フィリピン事務所代表(Mr. Khalid Hassan, Director, ILO Country Office for the Philippines)との間で,供与額3億円の無償資金協力「ミンダナオにおける和平の確立のための水道設備管理能力向上計画」(ILO連携)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。

2 対象案件の概要は,それぞれ以下のとおりです。

(1)農業分野の機材整備及び職業訓練による,ミンダナオ和平定着・社会安定化支援
 (無償資金協力「ミンダナオにおける和平の確立のための農業訓練計画」)【供与額:2億円】

 昨年7月に成立したフィリピンのミンダナオ和平に関する「バンサモロ基本法」に基づき,本年2月には暫定自治政府が発足するなど,ミンダナオ和平は大きな進展を示しています。ミンダナオ地域は,その肥沃な資源から「約束の地(The Land of Promise)」と呼ばれてきましたが,過去数十年にわたる紛争などの影響により,国内他地域に比べ開発が著しく遅れていることが社会不安の一因となっています。ミンダナオ地域の中でも,島嶼部及びサンボアンガ半島では,農林水産業が主産業であるため,これらの地域で高価値作物栽培や,牧畜,漁業,食品加工等に係る技術を向上させ,生産性の高い農漁業地域を形成し,安定した食料生産がなされることが,同地域の安定化のために急務となっています。
 この協力では,農業分野の機材(灌漑用ポンプ,ハンドトラクター,精米機等)の整備や元兵士等約2,000人に対する職業訓練を実施することにより,対象地域に住む約5万人への安定した食料供給を図るとともに,当該地域の社会の安定化に寄与することが期待されます。

(2)上水分野の機材整備及び職業訓練による,ミンダナオ和平定着・社会安定化支援
 (無償資金協力「ミンダナオにおける和平の確立のための水道設備管理能力向上計画」)【供与額:3億円】

 バンサモロ地域において安全な水にアクセスのない世帯は46%に上り,フィリピン全体平均の15%を大きく上回っています。安全な水へのアクセスが確保されていないことによって,出血性下痢,腸チフス,A型肝炎,ロタウイルス,コレラ等が蔓延しており,このような状況の改善は喫緊の課題となっています。
 この計画において,上水分野の機材整備及び水道分野の職業訓練を実施することにより,これまで安全な水へアクセスできていなかった島嶼部等の約1万世帯の住民の飲料水へのアクセス改善を図るとともに,上水設備管理に係る地域住民の雇用が確保され,当該地域の社会の安定化に寄与することが期待されます。

3 この協力は,2017年1月の日・フィリピン首脳会談で安倍総理大臣から表明した,今後5年間で行われる予定のODA及び民間投資を含めた1兆円規模の支援の一環であるとともに,同年10月に日・フィリピン首脳会談の場で発表した「日フィリピン共同声明(PDF)別ウィンドウで開く」の具体化の一つです。

[参考]フィリピン共和国基礎データ
 フィリピン共和国は,面積約30万平方キロメートル(日本の約8割),人口約1億330万人(2016年,世界銀行),人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,660米ドル(2017年,世界銀行)。


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