報道発表
日・シンガポール外相会談


本26日午後6時30分から約1時間50分間,岸田文雄外務大臣は訪日中のビビアン・バラクリシュナン・シンガポール外務大臣(H.E. Dr. Vivian BALAKRISHNAN, Minister for Foreign Affairs, the Republic of Singapore)と,外相会談及び引き続いてワーキングディナーを実施したところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭
岸田大臣から,外務大臣として初めての訪日を歓迎するとともに,50年前のまさに本日,両国の外交関係が樹立されたという記念すべき日に会談でき,大変喜ばしい,両国関係の深まりを確認し,次の半世紀に向けて,一層発展させる機会にしたい旨述べました。
これに対し,バラクリシュナン大臣から,熊本地震に対する心からのお見舞いの言葉を述べるとともに,両国関係は特別な関係である旨述べるとともに,シンガポールの発展に日本が貢献してきたたことに謝意が表明されました。
2 二国間関係
岸田大臣から,オピニオン・リーダーとして地域をリードするシンガポールとは,シンポジウム開催等を通じた知的交流を強化していきたい旨述べるとともに,熊本地震に際して,バラクリシュナン大臣からお見舞いメッセージを頂いたことに感謝を表明しました。また,岸田大臣から,外交関係樹立50周年の成功に向け連携したい,日・シンガポール・シンポジウムは,両国間の知的交流の場として有意義であり,本年から毎年開催することとした本シンポジウムも活用し,新たな半世紀において連携を強化したい旨述べました。
これに対し,バラクリシュナン大臣から,日本の積極的平和主義を支持し,日米同盟を強化する平和安全法制(PDF)を支持する旨述べるとともに,両国の活発な人的交流や貿易・投資といった経済関係を含め,二国間では特別な関係を築いてきており,両国の協力関係を更に発展させていきたい旨述べました。
岸田大臣から,両国協力の象徴案件として,マレーシア=シンガポール間高速鉄道計画での新幹線導入について改めて強い期待を表明するともに,両国の第三国協力の枠組みである21世紀のための日本・シンガポール・パートナシップ・プログラム(JSPP21)は,両国が協力して地域及び国際社会の重要課題に取り組む有効な枠組みである旨述べました。
これに対し,バラクリシュナン大臣から,日本の新幹線の高い技術は誰もが知っており,日本が関心を示していることを歓迎する旨述べると共に,JSPP21は,両国が共同でアジアを中心とする各地域に協力を行う良いプログラムである旨述べました。
両大臣は,外交関係樹立50周年の成功に向けて協力し,両国関係をさらに発展させていくことで一致しました。
3 地域情勢及び国際社会の課題
(1)岸田大臣から,「法の支配」や民主主義等の普遍的価値を共有するパートナーとして,ASEAN共同体の安定・繁栄は重要であり,ASEANの更なる統合を全面的に支援したい旨説明しました。
(2)岸田大臣から,南シナ海において,大規模かつ急速な埋立てや拠点構築,その軍事目的での利用等,現状を変更し緊張を高める一方的行為が更にエスカレートしていることを深刻に懸念する旨述べ,情勢を注視しており,シンガポールとの協力を重視している旨説明しました。これに対し,バラクリシュナン大臣から,南シナ海における航行及び上空飛行の自由が重要であり,紛争は国際法に基づき平和的に解決されるべきであること,また,ルールに基づく多国間の秩序が守られるべきである旨述べ,両大臣は,「法の支配」の重要性について確認しました。
(3)両大臣は,アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)の10周年を歓迎するとともに,同協定が地域の安全にとって重要であることについて一致し,「海における法の支配」の観点から今後も協力していくことを確認しました。
(4)両大臣は,北朝鮮を始めとする北東アジアにおける安全保障情勢,環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の早期発効の重要性についても意見交換を行い,地域及び国際社会の課題について,今後も緊密に連携して協力していくことで一致しました。