報道発表

インドに対する円借款に関する書簡の交換

平成28年3月31日

  1. 1 本31日(現地時間同日),インドの首都ニューデリーにおいて,我が方平松賢司駐インド大使と先方エス・セルヴァクマール財務省経済局局長(Mr. S. Selvakumar, Joint Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で,総額2,422億7,600万円を限度とする円借款6件に関する書簡の交換が行われました。

    2 対象案件の概要

    (1)ジャルカンド州点滴灌漑導入による園芸強化計画(46億5,200万円)案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く
     インドでは,就労人口の約半数が農業に従事していますが,降水量の変動から生じる洪水や干ばつ及び河川水量の季節的変動の影響を受け,農作物の生産性は安定していません。農業セクターの国内総生産(GDP)に占める割合は年々減少しており,インドの均衡のとれた社会経済発展と貧困削減のため,農業・農村開発が課題となっています。
     また,インドは,灌漑用水の水源の62%を地下水に依存しており,過剰揚水・地下水枯渇といった問題が深刻化していることに加え,今後,経済成長に伴う都市用水・工業用水の需要増が予測されており,水資源の有効利用も喫緊の課題です。 この計画は,インド東部ジャルカンド州において,事業対象農家世帯に点滴灌漑を設置し,園芸作物栽培及びマーケティングに関する技術支援等を実施するものです。これにより,灌漑率及び灌漑効率の向上,農業生産性向上及び作物多様化を図り,もって小規模零細農家の生計向上と女性の社会参加の向上を通じた経済成長の促進及び貧困・環境問題の改善に寄与することが期待されます。

    (2)北東州道路網連結性改善計画(フェーズ1)(第一期)(671億7,000万円)案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く
     インドでは,道路が運輸部門の85%の旅客輸送,60%の貨物輸送を担っていますが,財政的・技術的課題から,山岳部における国道整備が遅れています。この計画の対象地である北東州は,他地域と比較して山岳部が多く,道路の舗装率が低いことに加え,多雨による土砂災害が多発しているため,物資の安定供給及び医療・教育施設へのアクセスが阻害されており,経済開発の制約となっています。
     この計画は,インド北東州において,国道51号線及び54号線の改良等を行うものです。これにより,同地域内及び国内外他地域との連結性向上を図り,もって同地域内の経済成長の促進及び貧困・環境問題の改善に寄与することが期待されます。

    (3)マディヤ・プラデシュ州送電網増強計画(154億5,700万円)案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く
     インドでは,近年の急速な経済成長に伴いエネルギー消費が増加を続けており,世界第4位の電力消費国となっている一方で,必要となる電力インフラの整備が追い付いておらず,需要に対して供給量が不足しています。
     インド中央部に位置するマディヤ・プラデシュ州においては,今後見込まれる発電容量増加に対し,引き続き安定した電力系統を保ち,増大する電力潮流に対応するための送変電網の増強を図っていく必要があります。
     この計画は,マディヤ・プラデシュ州全域において,送電線及び変電所の新増設等を行うものです。これにより,同州の系統の安定化及び発電容量の増加に即した追加電力の安定供給の達成を図り,もって同州の電力需給状況の改善を通じた経済成長の促進に寄与することが期待されます。

    (4)貨物専用鉄道建設計画(フェーズ1)(第三期)(1,036億6,400万円)案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く
     インドでは,貨物輸送量が伸びている一方で,貨物鉄道の輸送能力は限界に近づいているため,輸送貨物における貨物鉄道のシェアも低下傾向にあります。大量輸送が可能で道路輸送に比べ環境配慮型である鉄道の整備・強化は同国の経済成長においても不可欠な課題となっています。
     この計画は,貨物専用鉄道の計画区間であるデリー・ムンバイ間及びルディアナ・デリー・ソンナガル間のうち,特に整備優先度が高いとされるグジャラート州,ラジャスタン州及びハリヤナ州の主要都市を結ぶ新線を建設し,全自動信号・通信システム及び高出力かつ高速の機関車等を導入するものです。これにより,今後高い成長率が見込まれる貨物輸送需要への対応及び物流ネットワークの効率化を図り,もって経済成長の促進及び貧困・環境問題の改善に寄与することが期待されます。

    (5)オディシャ州総合衛生改善計画(第二期)(257億9,600万円)案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く
     インドでは,都市部への急激な人口増加や工業化に伴う上水需要の増加により,下水の排出量が増大しています。一方,現状の下水処理施設の処理能力では汚水発生量の30%程度(2009年)しか処理できておらず,衛生施設へのアクセス率も36%(2012年)と低くなっています。その結果,河川や土壌,地下水の水質汚濁等の問題を招いており,地域住民の衛生・生活環境が脅かされています。また,下水道サービスを担う事業体は,低い戸別接続率,低い料金徴収率,人材不足等,運営・維持管理の面での技術的・財務的な課題を抱えています。
     この計画は,インド東部オディシャ州ブバネシュワール市及びカタック市において,下水道施設・雨水排水施設等を整備するものです。これにより,安定的な下水道サービスの提供及び雨水排水の改善を図り,もって同地域の住民の衛生・生活環境の改善を通じた貧困・環境問題の改善に寄与することが期待されます。

    (6)タミル・ナド州都市保健強化計画(255億3,700万円)案件位置図(PDF)別ウィンドウで開く
     インドでは,感染症の発生件数の減少等,保健指標に改善が見られている一方,心血管疾患やがんなどの非感染性疾患(NCD)の割合は年々増加しており,主な死因の上位をこれらNCDが占めています。また,大多数の貧困層は,数の限られた公的医療サービスに依存せざるを得ない状況です。
     タミル・ナド州はインドにおいて最も都市化が進んだ州ですが,人口の1割以上がスラム地域に居住する貧困層で,その数は今後も増加すると予想されており,都市部貧困層の公的医療サービスへのアクセス強化は喫緊の課題となっています。
     この計画は,タミル・ナド州において,非感染性疾患対策に向けた医療施設・機材の整備及び医療従事者の能力強化等を行うものです。これにより,都市保健医療システムの改善を図り,もって同州住民の健康増進を通じて貧困・環境問題の改善に寄与することが期待されています。

    3 供与条件

    (1)上記2(1)及び(2)

    (ア)金利年1.40%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    (イ)償還期間30年(10年の据置期間を含む。)
    (ウ)調達条件一般アンタイド

    (2)上記2(3)

    (ア)金利年0.80%
    (イ)償還期間20年(6年の据置期間を含む。)
    (ウ)調達条件一般アンタイド

    (3)上記2(4)

    (ア)金利年0.10%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    (イ)償還期間40年(10年の据置期間を含む。)
    (ウ)調達条件日本タイド

    (4)上記2(5)及び(6)

    (ア)金利年0.30%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    (イ)償還期間40年(10年の据置期間を含む。)
    (ウ)調達条件一般アンタイド(優先条件)

    4 なお,上記2(1),(3),(4)及び(5)の円借款は我が国の気候変動における途上国支援策の一環として実施するものでもあります。我が国としては,インドと引き続き気候変動分野で連携していきます。

    (参考)インド基礎データ
     インドは,面積約329万平方キロメートル(面積比の例),人口12億9,529万人,人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,610米ドル(2015年,世界銀行)。


このページのトップへ戻る
報道発表へ戻る