報道発表
児童売買,児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者からの回答
1 11月9日,外務省は,10月下旬に訪日したマオド・ド・ブーア・ブキッキオ児童売買,児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者(Ms. Maud de Boer-Buquicchio, Special Rapporteur on the sale of children, child prostitution and child pornography)が,10月26日の記者会見で,「女子学生の13%が援助交際を経験している」と発言したことについて,同報告者側(国連人権高等弁務官事務所(OHCHR))に,発言の撤回を強く求めるとともに,特別報告者が2016年3月に国連人権理事会に提出する予定の報告書は客観的データに基づくものとするよう申し入れました。これに対し,OHCHRは,日本側の申し入れを特別報告者本人に伝え,対応するよう要請する旨述べていたところです。
2 その後,本11日(現地時間10日),特別報告者本人から,OHCHRを通じて在ジュネーブ国際機関日本政府代表部宛に書簡が接到し,その中で,援助交際やJKビジネス等の現象の評価を日本政府に呼びかけつつも,13%の数値については,更なる検討の結果,13%という十分に立証されていない数値を裏付ける公的かつ最近のデータはなく,記者会見における13%という概算への言及は誤解を招くものであったとの結論に至った,このため今後この数値を使用するつもりはなく,国連人権理事会に提出する報告書でも言及しないとの説明がありました。
3 13%という数値に関する今回の説明は,事実上,発言を撤回したものと受けとめていますが,外務省としては,先方に対し,引き続き,客観的データに基づく報告書の作成を強く求めていきます。
(参考)
1 児童売買,児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者
(1)人権理事会は,国連の特別手続きの一つとして,個別の人権テーマごとに調査報告を行う「特別報告者」を任命する権限を持っている。
(2)児童の権利の分野にも,「児童売買,児童買春及び児童ポルノに関する特別報告者」が設置されている。1990年,世界中の児童の搾取について調査し,国連総会及び人権委員会に対して,勧告を含む報告書を提出することをマンデートとする特別報告者として設置。具体的な役割は以下のとおり。
- 児童売買,児童買春,児童ポルノの根本的な原因の分析
- 児童売買,児童買春,児童ポルノの新たな形態の特定
- 児童売買,児童買春,児童ポルノ対策のベストプラクティスの特定,情報交換,促進。
- 児童売買,児童買春,児童ポルノの予防にかかる包括的な戦略及び施策を促進する努力の継続
- 児童売買,児童買春,児童ポルノの現在の被害者及び潜在的な犠牲者の人権の保護・促進及び性的虐待の被害児童の復帰に関する勧告の実施
2 現在の特別報告者
3 記者会見における援助交際関連の発言部分
<英語(特別報告者本人の発言)>
「…I'm referring in particular to this phenomena of "Enjo Kosai", which is a trend amongst school girls. Some thirteen percent of the school girls in Japan are involved in that kind of activity which…」
<日本語訳>
「・・・例えば例としては援助交際があります。これは女子学生の3割は現在「援交」をやっているというふうにも言われているわけで・・・」(※後に,通訳の誤訳として,「3割」は「13%」に訂正を発表。)