報道発表
ブラジルの税制恩典措置についてのWTO協定に基づくパネル設置の要請
1 本17日(現地時間同日),我が国はジュネーブにおいて,ブラジルが導入している税制恩典措置について,世界貿易機関(WTO)協定に基づくパネル設置を要請しました。
2 ブラジルは,自動車分野及び情報通信分野において内外差別的な税制恩典措置を導入し,また,同国における輸出企業に対しても企業の輸出実績等を条件としたWTO協定上の義務違反のおそれがある税制恩典措置を導入しています。
我が国は2015年7月2日,問題の早期解決に向け,ブラジルに対してWTO協定に基づく協議要請を行った後,同年9月15日及び16日に協議を行いました。
この協議結果を踏まえ,本日パネル設置を要請したものです。
3 我が国政府は,本件がWTOのルールに従って適切に解決されるよう,今後の手続を進めていく予定です。
(参考1)WTO紛争解決制度におけるパネル(小委員会)について
他の加盟国による協定非整合的な措置によって不利益を被ったとする加盟国は,当事国間での協議を要請できる。協議を通じて通常60日以内に紛争が解決されない場合,パネルに紛争を付託し,問題とされる措置と協定との整合性についてパネルで争うことができる。パネルによる法的判断に不服のある当事国は,最終審に相当する上級委員会に対して上訴を行い,同判断を争うことができる。
(参考2)本件の経緯と概要
ブラジルは,一定の要件を満たす自動車メーカー等に対して,製造品に使用されたローカルコンテント比率等に応じた減税を認める措置を実施。また,内外差別的な措置を情報通信分野においても実施するとともに,輸出企業に対しても一定の連邦税免除などの税制恩典措置を実施している。こうした措置がWTO協定上の義務に違反しているおそれがあり,2015年7月,我が国はブラジルに対して協議を要請し,同年9月15日及び16日に協議を実施した。