記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和8年7月10日(金曜日)16時03分 於:本省会見室)
冒頭発言
ベネズエラにおける地震被害に対する緊急無償資金協力及び国際緊急援助隊・医療チーム二次隊派遣
【茂木外務大臣】ベネズエラ関係の地震につきまして、私の方から最初に報告いたします。
ベネズエラにおける地震によります甚大な被害への対応として、本日、350万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定いたしました。
今回の緊急無償資金協力によりまして、国際機関等を通じて、食料や、保健・医療分野での支援に加えて、シェルター、生活必需品の供与といった人道支援を実施いたします。
また、今般の地震に対しては、これまでも、6月30日に緊急援助物資の供与、7月1日に国際緊急援助隊・医療チームの派遣をそれぞれ決定をしまして、医療チームについては、現地で現在、被災者の支援を行っているところであります。
これに加えて、本日、引き続き、現地の高い医療ニーズに応えるべく、医療チームの第二次隊の派遣、これを決定いたしました。
日本政府として、ベネズエラで被災された方々に必要な支援を実施すべく、引き続き、国際機関・団体と緊密に連携して対応していきたいと思います。
私からは以上です。
イラン情勢への対応
【産経新聞 永原記者】米国とイランの攻撃の応酬について伺います。トランプ米大統領は、先日の記者団から「イランとの停戦は終わったのか」と問われ、「それは終わったと思う」と発言しました。米国は、その後、イランへの空爆を拡大していますが、これまで早期沈静化に向けた外交を展開してきた日本として、改めてこの状況をどのように御覧になっているのか、また、今後の邦人保護の方針などについてもお伺いします。
【茂木外務大臣】6月18日に、米・イラン間で覚書、署名をされて協議が始まったところでありますが、ここにきて、米・イラン間の軍事的緊張が高まっていることを日本としても懸念しておりまして、重大な関心を持って事態の推移を注視しているところであります。
このことにつきましては、今週トルコに出張した際に、各国の外相とも会談しましたが、同じような懸念を共有したところであります。
今、重要なことは、事態の早期沈静化とともに、米・イラン間の協議が継続され、ホルムズ海峡における自由で安全な航行の一刻も早い回復、そして、核問題を含みます最終合意が早期に実現することであると、このように考えております。
私自身、今週、トルコで開催されたNATO首脳会議の機会に、ルッテ事務総長とIP4との会合や、米、クウェート、EU、ドイツの各外相会談において、イラン情勢について、引き続き連携していくところで一致したところでありまして、今後も最終合意に必要な環境情勢のため、日本としても、最大限の外交努力を行っていきます。 また、邦人の保護でありますが、今回の情勢以降もそうでありますが、外務省として、邦人の保護、退避、無事な日本への帰国、最大限の支援、これも行ってきたところでありますが、現下の情勢に鑑みまして、昨日、中東地域を対象に注意喚起のための広域情報を発出したところであります。引き続き、地域全体の邦人保護に万全を期していきたいと、このように考えております。
日・イラン国際法局長協議とホルムズ海峡
【共同通信 恩田記者】ホルムズ海峡の状況について併せて伺います。日・イランの国際法局長が、8日にオンラインで協議を実施しました。大臣は、5月に衆院外務委で、ホルムズ海峡が国際法上の国際海峡に当たると答弁されましたが、今回のオンライン協議で、日本政府の立場を伝達したのか伺います。また、改めて、政府として、ホルムズ海峡を国際海峡と定義した経緯と、イラン側が通行料徴収の動きを見せる中、国際海峡の認定がどのような効果をもたらすかについても伺います。
【茂木外務大臣】8日に、日・イランの国際法局長協議、日本から中村局長が出席して行われましたが、そこにおいて、ホルムズ海峡をめぐる国際法上の論点を中心に、意見交換が行われました。そこの中で、ホルムズ海峡が国際法上、通過通行制度が適用される「国際海峡」に該当する、こうした日本政府の立場を説明をしたところであります。
ホルムズ海峡が通過通行制度が適用される「国際海峡」に該当するとの判断の理由については、御指摘もありましたように、国会の場でも説明したとおりであります。その要点を申し上げますと、通過通行制度の中核的な内容が慣習国際法化していることに加えまして、ホルムズ海峡は現に各国によって国際航行に使用されていること、これを踏まえたものであります。
また、今般の政府の判断は、直近の国連安保理決議やG7共同声明等において、ホルムズ海峡が通過通行制度の適用される「国際海峡」であることを含意する文言、これが含まれていること等とも整合的である、このように考えております。
こうした立場を踏まえて、今後、国際社会でより一層足並みを揃えて、ホルムズ海峡における自由で安全な航行の重要性であったり、従来どおり追加的な費用を課されることがなく、ホルムズ海峡を通過できることの重要性を訴えていきたいと思います。
私も、この件は、何度もアラグチ大臣にも話しているところであります。また、今回のトルコ出張の際にも、各国の会談において、このような日本の立場を説明をして、意見の一致を見たところであります。
トランプ米大統領の発言
【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
2日前、アンカラで、ウクライナの大統領と会談したトランプ大統領は、イランとの紛争について言及する中で、米空母が、「日本・イスラム共和国」から発射された111発のミサイルによって攻撃を受けたと発言しました。明らかに、大統領は、「イラン・イスラム共和国」を意味していたと思われますが、この失言は世界中に広まっています。日本は、トランプ大統領から謝罪、及びこの発言の撤回を受けたのでしょうか。この件についての大臣のお考えをお聞かせください。
【茂木外務大臣】御指摘のトランプ大統領の発言、承知をいたしておりますけれど、外国要人の発言の一つ一つに対して、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
中国関連(「新型軍国主義」批判、中国によるミサイル発射訓練)
【ABCオーストラリア公共放送 斎木記者】二つ質問がありまして、まず一つ目に、中国は、最近の日本の防衛政策の転換について、軍国主義化というふうにしていますが、かたや周辺諸国では、日本との関わりや連帯を強めたいというふうにしています。全体として、この日本の政策転換は国際的にどのように受け止められるとみますか。二つ目に、中国のミサイルの先日の発射実験で日本の反応について教えてください。
【茂木外務大臣】我が国は、戦後一貫して、平和国家としての道を歩み、自由、民主主義、法の支配を擁護し、アジアのみならず、世界の平和と繁栄に貢献してきているところであります。
決して、政策方針を転換したということではなくて、我が国の防衛の基本的な方針であります専守防衛、これは不変でありまして、保持する防衛力も、必要最小限であります。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す、そういった中で、国民の生命と財産を守り、領土・領海・領空をきちんと守っていくために必要な必要最低限な防衛力を整備する、これは主権国家として当然の役割でもあると、こんなふうに考えているところであります。
したがって、中国の主張は全く当たらないと考えておりまして、戦後、日本の平和国家としての歩みは今後も変わりません。こういった日本の考え方であったり、実際の行動、さらには日本がアジアを始め、世界の平和と繁栄に貢献してきている、このことについては、多くの国から信頼をされ、また、支持をされている、このように考えているところであります。
我が国の政策や立場についての真実に反する中国側の主張については、または、ナラティブについては、これまで日本政府としてしっかりと反論・発信してきております。
また、日本政府の立場について、各国の理解を得ることは極めて重要であると思っておりまして、これまでも様々な機会を捉えて、事実関係であったり、日本の立場を説明し、概ね理解を得てきていると、このように考えております。
引き続き、国際社会に対して、我が国の立場や考えを、適宜適切に説明・発信していきたいと考えております。
また、中国の弾道ミサイル、SLBMの発射についてでありますが、中国は国防費を経済的に高い水準で増加をさせ、十分な透明性を欠いたまま、ICBMを含みます核・ミサイルを、広範かつ急速に増強しているところであります。また、我が国周辺における軍事活動をますます拡大、活発化させておりまして、このような中国の軍事動向等は、その透明性の不足と相まって、我が国のみならず、国際社会の深刻な懸念事項になっているところであります。
こうした状況の中で、今週の中国のSLBMミサイル発射については、我が国及び地域の安全保障の観点から懸念を有しておりまして、NATO首脳会議の際に行われました日米韓の外相会談を始めとするそれぞれの会談において、自分から問題提起し、引き続き、関連動向を注視していきたいと、こんなふうに考えております。
