外務大臣談話

平成29年12月10日

1 本10日,オスロにおいて,本年のノーベル平和賞授賞式が行われました。

2 ノーベル平和賞を受賞したICANが推進した核兵器禁止条約は,日本政府のアプローチとは異なりますが,核廃絶というゴールは共有しています。今回の受賞を契機として,国際社会の核軍縮・不拡散に向けた認識や機運が高まることを喜ばしく思います。

3 広島・長崎の被爆者の方々は,長年にわたって,核兵器のない世界の実現に向け,被爆の実相を世界に伝える活動に取り組まれており,その努力に対し改めて敬意を表します。ノーベル賞授賞式に被爆者の方々や被爆地の首長が参加されたことは,そのような努力が評価されたものとして大変意義深いものと考えます。

4 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中,国民の生命・財産を守る政府の責務は益々重いものとなっています。北朝鮮の核・ミサイル開発を始めとした現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら,地道に,現実的な核軍縮を前進させる道筋を追求していく必要があります。

5 また,核軍縮の進め方をめぐっては国際社会の立場の違いが顕在化しています。我が国としては,核兵器国と非核兵器国,安全保障環境の異なる非核兵器国の間の信頼関係を再構築し,核兵器国もしっかり巻き込む形で現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていく考えです。先般広島で開催した「核軍縮の実質的な前進のための賢人会議」等を通じて,核兵器のない世界の実現に向けて着実に前進していく決意です。


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