外務大臣談話

平成27年10月14日

1  本14日(現地時間同日),世界貿易機関(WTO)紛争解決手続に基づいて,日本及びEUが中国に対して申立てを行っていた紛争案件「中国-高性能ステンレス継目無鋼管に対するアンチ・ダンピング措置」に関し,WTO上級委員会は,中国の措置はWTO協定に非整合的であり是正を勧告するとの報告書を発出しました。

2  日本は,上級委員会が日本の主張を認める報告書を発出したことを高く評価します。不当なアンチ・ダンピング調査に基づく課税は容認されないことを,上級委員会が確認したことは,意義深いと考えます。

3  今回の報告書を受け,中国が,WTO協定に整合しないと認定された措置を誠実かつ速やかに是正することを求めます。

(参考)本件の経緯と概要
(1)2012年11月,中国は日本やEUからの高性能ステンレス継目無鋼管の輸入に対してアンチ・ダンピング措置をとる旨決定。

(2)2012年12月,日本は,中国に対してWTO協定に基づく協議を要請。また,2013年4月, WTOにパネル設置要請を行い,その後同年5月にパネルが設置され,2015年2月,パネル報告書が公表された。同報告書は,中国の措置はWTO協定に非整合的であるとして是正を求めるも,いくつかの論点について我が国の主張を認めなかったため,同年5月に我が国が上級委員会に上訴を行った。

(3)WTO紛争解決制度は二審制であり,上級委員会は最終審となる。上級委員会報告書はWTO紛争解決了解の規定により,加盟国への送付の後30日以内に開催されるWTO紛争解決機関(DSB)において採択され,DSBの勧告となる。


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