イラク共和国

平成29年1月23日
1月10日及び11日,薗浦健太郎外務副大臣は,イラク共和国を訪問しました(10日にバグダッド11日にエルビル)。薗浦副大臣は,2015年2月及び3月にもイラクを訪問しており(当時外務大臣政務官),今次訪問は3度目のイラク訪問となります。また,日本の政務レベルでのイラク訪問は,2015年の薗浦政務官(当時)の訪問以来,約2年ぶりとなります。今次訪問の概要は以下のとおりです。なお,薗浦副大臣は,イラク政府との間で日・イラク協力関係の強化に関する共同プレスリリース(和文(PDF) / 英文(PDF))を発出しました。

(1)サリーム・アル・ジュブーリー国民議会議長

1月10日午前,薗浦副大臣は,サリーム・アル・ジュブーリー国民議会議長(Dr. Saleem Al-Juburi, Speaker of the Council of Representatives)を表敬し,意見交換を行いました。
薗浦副大臣からは,我が国の新たな対イラク支援について伝達するとともに,宗派・民族の違いを超えた国民融和の取組を期待し,注視していることを伝えました。
ジュブーリー議長からは,国民生活の改善等に資する日本の各種支援に対して謝意が表明されるとともに,国民融和の進展に言及がありました。

(2)ニザール・ハイラッラー外務次官

同日午前,薗浦副大臣は,ニザール・ハイラッラー外務次官(Dr. Nizar al-Khairallah, Deputy Foreign Minister)と会談しました。
本件会談では,2019年に日・イラク外交関係樹立80周年を迎えることから,今後イラクとの間で,政治・経済分野に加え,教育,学術,スポーツ交流を含む幅広い分野で交流促進を図っていくことで一致しました。

(3)ハイダル・アル・アバーディー首相

同日午後,薗浦副大臣は,ハイダル・アル・アバーディー首相(Dr. Haider Al-Abadi, Prime Minister)を表敬し,意見交換を行いました。
薗浦副大臣からは,対テロ作戦を進めるイラクを支持し,テロ作戦に伴う深刻な人道危機の発生を受け,今後国会で補正予算が成立することを前提に,約1億ドルの人道・安定化支援を実施する旨を伝達するとともに,宗派・民族の違いを超えた国民融和の取組を期待し,注視していることを伝えました。
アバーディー首相からは,今般の日本の支援に対して,深い謝意が表明されると共に,日本との間で重層的な関係を構築したいとの希望が表明されました。また,引き続きテロとの闘いに従事していく旨の決意が表明され,国民融和の重要性にも言及がありました。

(4)円借款E/N署名式

同日午後,薗浦副大臣はアバーディー首相とともに,岩井文男駐イラク大使とファドヒル・オスマーン財務次官(Mr. Fadhil Othman, Deputy Minister of Finance)との間で行われた,新規円借款案件である「電力セクター復興計画(フェーズ3)」に関する書簡の交換に立ち会いました。

(5)フアード・マアスーム大統領

同日午後,薗浦副大臣は,フアード・マアスーム大統領(Dr. Fuad Masoum, President),を表敬し,意見交換を行いました。
薗浦副大臣からは,対テロ作戦を進めるイラクへの支持を表明するとともに,我が国の新たな対イラク支援について伝達しました。また,本年1月1日にエルビル日本国領事事務所が開設されたことに触れ,謝意を伝えた上で今後の協力を要請しました。
マアスーム大統領からは,今般の日本の支援に対しての謝意が表明されるとともに,引き続き二国間関係の増進に尽力していく旨が表明されました。

(1)ネチルヴァン・バルザーニ・クルディスタン地域政府(KRG)首相

同日夕方,薗浦副大臣は,エルビルにて,ネチルヴァン・バルザーニ・クルディスタン地域政府(KRG)首相(Dr. Nechirvan Barzani, Prime Minister, Kurdistan Regional Government)と会談を行いました。
薗浦副大臣からは,本年1月にエルビル日本国領事事務所が開所したことを踏まえ,クルディスタン地域を含むイラクとの関係を多角的に強化していきたい旨を述べました。
ネチルヴァン首相からは,クルディスタン地域の戦略的重要性を説明するとともに,日本の復興経験からも多くを学びながら,地域の発展に活かしていきたいとの考えが表明されました。

(2)マスウード・バルザーニ・クルディスタン地域大統領

11日午前,薗浦副大臣は,マスウード・バルザーニ・クルディスタン地域大統領(Mr. Masoud Barzani, President of the Kurdistan Region of Iraq)を表敬し,意見交換を行いました。
薗浦副大臣からは,変化の激しい中東地域の中でクルディスタン地域は安定勢力としての存在感を示していることに触れつつ,今後我が国はクルディスタン地域を含むイラクとの一層の関係強化を図っていきたい旨伝えました。
バルザーニ大統領からは,あらゆる分野において,日・クルディスタン地域関係が強化されることを希望する旨の表明がありました。

(3)マスルール・バルザーニ・クルディスタン地域安全保障会議議長

同日午前,薗浦副大臣は,マスルール・バルザーニ・クルディスタン地域安全保障会議議長(Mr. Masrour Barzani, Chancellor of the Kurdistan Region Security Council)と会談しました。
薗浦副大臣からは,クルディスタン地域を含む我が国の新たな対イラク支援策を伝達するとともに,モースル解放作戦の進展とその後のイラクの安定化を強く期待する旨を伝達しました。
マスルール議長からは,イラク及び地域情勢について説明があるとともに,今後,テロとの闘いの正念場であるモースル戦を乗り切り,同地域の安定と発展を実現するために,引き続き日本からの協力を期待したい旨の発言がありました。

(4)ファラーフ・ムスタファ・クルディスタン地域政府外務庁長官

同日午前,薗浦副大臣は,ファラーフ・ムスタファ・クルディスタン地域政府外務庁長官
(Mr. Falah Mustafa, Head of the Department of Foreign Relations, Kurdistan Regional Government)と会談しました。
薗浦副大臣からは,クルディスタン地域を含む我が国の新たな対イラク支援を伝達するとともに,今後の日・クルディスタン地域との関係強化の方途につき意見交換をしました。
ムスタファ長官からは,日本の寛大な支援に対して謝意が表明されるとともに,今般のエルビル領事事務所開設に伴う日・クルディスタン地域関係の具体的強化に向けた期待が表明されました。 

(5)草の根・人間の安全保障無償資金協力案件贈与計画(G/C)締結

同日午後,薗浦副大臣は,バルザーニ・クルディスタン地域大統領とともに,岩井文男駐イラク大使とムハンマド・アフマド・イスマーイール地雷対策庁長官(Mr. Muhammed Ahmed Ismail, Head of the Iraqi Kurdistan Mine Action Agency)との間で行われた,草の根・人間の安全保障無償資金協力案件である「クルディスタン地域における爆発物除去計画」に関する贈与計画(G/C)の締結に立ち会いました。

(6)エルビル日本国領事事務所開所記念テープカット

同日夕方,薗浦副大臣は,本年1月に開所したエルビル日本国領事事務所の開所記念テープカットを執り行いました。

(7)エルビル日本国領事事務所開所記念レセプション

同日夕方,薗浦副大臣は,エルビル日本国領事事務所開所記念レセプションを主催し,同事務所開設にあたって,改めてクルディスタン地域政府,イラク政府関係者の協力に感謝する,同事務所を通じて,クルディスタン地域及びイラクとの関係強化を図っていくとの挨拶を行いました。ネチルヴァン・クルディスタン地域政府首相をはじめとした,多数の来賓が来場しました。

イラク共和国へ戻る