中東

(平成26年7月19日~25日)

平成26年7月25日

【概要】

 岸信夫外務副大臣は,7月19日(土曜日)から25日(金曜日)の日程で,エジプト,ヨルダン,イスラエル及びパレスチナを訪問したところ,概要は以下のとおりです。

1 エジプト訪問

(1)19日から22日,岸信夫外務副大臣は,エジプトを訪問し,以下の要人と会談しました。

  • エルシーシ大統領(H.E. Mr. Abdel Fattah El-Sisi, President of the Arab Republic of Egypt)
  • マハラブ首相(H.E. Mr. Ibrahim Mahlab, Prime Minister of Egypt)
  • シュクリ外相(H.E. Mr. Sameh Shoukry, Minister of Foreign Affairs)

(2)エジプト要人との会談において,岸副大臣は,幅広い層の人々が参加できる形でエジプトの政治・経済運営が進み,安定と繁栄が実現するとともに,議会選挙の自由かつ公正な実施を期待する,また,痛みを伴う経済・財政改革へのエジプト政府の努力を支援する旨述べました。また,民主的社会の形成と経済社会の安定に向けた取組に対し積極的に支援していくとの方針を伝えました。具体的には「新ダイリュート堰群建設計画」への新規円借款供与の決定,エルシーシ大統領の早期訪日を希望すること等を伝達しました。さらに,治安・公共秩序の維持に向けたエジプト政府の苦労は十分に認識している一方,人権等の問題への適切な対応を期待する旨伝えました。
 またガザ情勢については,停戦提案を含む外交努力によりエジプトが大きな役割を果たしていることを支持し,事態の早期鎮静化と持続的な停戦合意に向け,エジプトを含む国際社会と緊密に連携していきたい旨伝えました。なお,エルシーシ大統領には岸副大臣から総理親書を手交しました。

(3)ルクソール訪問
 21日,岸副大臣は,ルクソールを訪問し,サアドッディーン・ルクソール知事と会談するとともに,現地の治安状況等を視察しました。

2 ヨルダン訪問

 22日,岸副大臣は,ヨルダンを訪問し,ナーセル・ジュデ外相(Mr. Nasser Judeh, Foreign Minister)と会談しました。
 岸副大臣からは,地域の緊張が高まる中,ヨルダンが安保理非常任理事国として果たす役割や多数のシリア難民を受け入れていることを評価し,今後も協力関係を一層強化したい旨述べました。
 またガザ情勢については,岸副大臣が国際社会の仲介努力を支持,ヨルダンを含む国際社会と連携しつつ,事態の早期沈静化と持続的な停戦合意に向けて尽力する考えを伝えたのに対し,ジュデ外相は即時停戦とともに中東和平の実現による恒久的な問題解決が必要である旨述べました。

3 イスラエル及びパレスチナ訪問

(1)23日から25日まで,岸副大臣は,イスラエル及びパレスチナを訪問し,以下の要人と会談しました。

【イスラエル】
  • ビンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相(Mr. Benjamin Netanyahu, Prime Minister, State of Israel)
  • ツィピ・リブニ・イスラエル司法相(Ms. Tzipi Livni, Minister of Justice)
  • ツァヒ・ハネグビ外務副大臣(Mr. Tzachi Hanegbi, Deputy Foreign Minister)
【パレスチナ】
  • ラーミー・ハムダッラー首相(Dr. Rami Hamdallah, Prime Minister of Palestinian Authority)

(2)イスラエル要人との会談において,岸副大臣は,ガザからのロケット攻撃を非難するとともに,イスラエル軍の地上作戦以降,双方に無辜の一般市民を含む死傷者が著しく増大している事態について深い憂慮を伝達し,暴力の悪循環を断ち切るため,過剰な力の行使を控えるよう求めました。
 また,国際社会からの停戦提案をイスラエルが受け入れたことを勇敢な決定として高く評価する一方,パレスチナ武装勢力がこれに応じなかったことは極めて残念である旨述べ,特に,ネタニヤフ首相との間では,22日に実施された安倍総理とネタニヤフ首相との電話会談も踏まえ,引きつづき停戦実現へ向けた勇気ある決断を求めました。
 さらに,暴力の応酬を防ぐ長期的な手段は中東和平の達成以外になく,日本は,二国家解決を通じた和平が実現するよう引きつづき後押しを行っていきたい旨述べ,中断している和平交渉の再開と,その妨げとなる一方的な行為の自制を求めました。

(3)ハムダッラー・パレスチナ自治政府首相との会談において,岸副大臣は,ガザ情勢について,多くの市民の犠牲者が発生していることを憂慮するとともに,エジプトの停戦提案にハマスが応じなかったことは極めて残念である旨,また,一刻も早く暴力の連鎖を断ち切ることが重要であり,すべての関係当事者に自制を求めたい旨述べました。また,岸副大臣は,日本の取組やエジプトの仲介努力に言及しつつ,国際社会は一致して早期の停戦実現を求めており,ハマスの停戦受け入れに向けた,パレスチナ自治政府の働きかけを強く要請しました。さらに,中断しているイスラエルとの和平交渉の再開を求めました。


(注)なお,予定されていたトルコ訪問は,ガザ情勢の影響により中止となりました。


パレスチナ自治政府

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