1 バリ民主主義フォーラム
(1)概要
バリ民主主義フォーラムは,インドネシアのイニシアティブにより,平成20年12月にバリ島で開催された第1回フォーラムにおいて設立されました。民主主義の促進と発展のための政府間フォーラムとして,閣僚級会合を毎年開催することとなっており,アジア地域(大洋州,中央アジア,中東を含む)のすべての国に参加が開放されています。
(2)経緯
- 第1回フォーラム(平成20年12月)は,ユドヨノ・インドネシア大統領とラッド豪首相(当時)の共同議長により,バリ島で開催され,32カ国が出席(日本からは高村総理特使が出席)し,8カ国がオブザーバー参加しました。
- 第2回フォーラム(平成21年12月)は,ユドヨノ大統領と鳩山総理(当時)が共同議長を務め,「民主主義と開発の相乗効果」をテーマとしてバリ島で開催され,36カ国が出席し,13カ国がオブザーバー参加しました。
2 第3回フォーラムの概要と前原外務大臣の出席
(1)第3回フォーラムの概要
- 第3回フォーラム(平成22年12月9日~10日)は,ユドヨノ大統領と李明博・韓国大統領の共同議長により,「民主主義と平和及び安定の促進」をテーマとしてバリ島で開催され,アジア大洋州及び中東から44カ国が出席し,欧米諸国等24カ国及び3国際機関(EU,UNDP,世界銀行)がオブザーバーとして参加しました。
- 1日目(9日)の開会式及びリーダーズ・セッションでは,ユドヨノ大統領のオープニング・スピーチ,李明博・韓国大統領のスピーチのほか,「民主主義と平和及び安定の促進」のテーマで各国閣僚や政府代表がそれぞれスピーチを行いました。また,同日午後の一般討論はマルティ・インドネシア外務大臣が議長を務め,各国代表団によるスピーチが行われました。
- 2日目(10日)は,インターアクティブセッションとして,以下のテーマで討論が行われました。
- 午前
- 「民主主義システムがどのように暴力的紛争の勃発及び拡大を防ぐのに資するか」
(議長:ハッサン・ウィラユダ・インドネシア前外相) - 午後
- 「民主主義と経済発展がなぜ平和構築に不可欠であるのか」
(議長:デウィ・フォルトゥナ・アンワール・バリ平和民主主義研究所理事)
- 最後に2日間の会議の概要を締めくくる議長声明(英文)が発出されました。
- 発出された議長声明においては,1)ワークショップ,セミナー,選挙訪問,選挙訓練プログラム,及び今回のテーマである「民主主義と平和及び安定の促進」に関する政策指向の調査・研究を含む協力の優先分野において,本フォーラムを促進するための参加国からの建設的提案を歓迎する旨,2)本フォーラムの開催中に行われた共同議長国間の会合において,2008年に本フォーラムが設立されて以来,顕著な進展があったことを確認し,2012年に本フォーラムのサミット会合を行う可能性について議論,そのために,本フォーラムの実質的な内容の充実や具体的プログラムの策定及び平和民主主義研究所の役割の向上を図ることが適切である旨盛り込まれました。
(2)前原外務大臣の出席
- 前原外務大臣は,フォーラム第1日目(12月9日)のリーダーズ・セッションに出席し,「多様性の中の民主主義~アジアの特徴を力にして~」と題して,アジアにおける民主主義に関する我が国の基本的考え方についてスピーチ(仮訳・英文)を行いました。
- 前原大臣はスピーチの中で,民主主義は平和・安定・繁栄を実現する重要な手段であり,アジアにおける民主主義の基礎は,この地域が平和で安定し,力強く発展を続けて繁栄を実現することであり,そのために3つの鍵,つまり,第1に力強い経済発展を継続,第2に地域協力の推進,第3に地域の安定の確保について述べました。
- また,前原大臣は,アジアの民主主義について,アジアの多様性を尊重し,それを踏まえる必要があり,多様な社会であるアジアの特徴は,着実な進展を一歩ずつ,辛抱強く積み重ねていく姿勢にあり,アジアの発展はこのような姿勢が成果を上げていくことを証明している旨指摘しました。そのほか,本件フォーラムの下で昨年我が国が提案した「選挙訪問プログラム」の実施について言及し,来年4月の選挙実務者のためのセミナー,さらにバリ島における「選挙訓練プログラム」の実施等を提案しました。
- 前原大臣のスピーチについては,各国から,ポジティブな,メッセージのある内容である等の高い評価が寄せられ,「選挙訓練プログラム」等の我が国の具体的な提案が議長声明に盛り込まれました。
3 第3回フォーラム期間中に行われた二国間会談等
- (1)前原大臣は,今般のフォーラムの機会に,以下の二国間会談を行いました。
- (2)また,日・インドネシア外相朝食会の後に,第7次開発政策借款交換公文署名式及びマルティ外相との共同記者発表を行いました。
- (3)ユドヨノ大統領表敬の後には,同大統領立ち会いの下での首都圏投資促進特別地域に関する協力覚書署名式及びハッタ・ラジャサ経済担当調整大臣との共同記者発表を行いました。