日本の国際テロ対策協力

令和6年5月10日

1 テロ資金対策

  • (1)テロリスト・テロ組織への資金の流れを断つためのテロ資金源対策は、テロリストの活動を根元から封じるとの観点から、国際的なテロの防止・根絶のための最も重要な柱の一つであり、従来から国際社会の課題の一つです。特に、2001年9月11日の米国同時多発テロ以降、同月19日のG8首脳共同声明でテロ資金対策の重要性が強調され、また同28日には、各国に対しテロリスト等に対する資産凍結等の措置を求める安保理決議第1373号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開くが採択される等、国連・G7を含むグローバルな取組みにおける緊要課題となっています。
  • (2)我が国としても、このような国際的な取組に積極的かつ主体的に寄与しており、G7、国連、FATF(金融活動作業部会)及びFATF型地域体であるAPG(アジア太平洋マネー・ローンダリング対策グループ)等の国際的枠組を活用しつつ、途上国を含む幅広い協力体制の構築に取り組んでいます。
  • (3)国内的には、テロリスト等の資産凍結措置を遅滞なく実施するほか、テロ資金供与防止条約及び国連安保理決議第1373号を履行するための法制の整備等を実施しています。

2 テロ資金供与防止条約と安保理決議第1373号

(1)テロ資金供与防止条約
概要
 テロ資金供与防止条約(1999年12月に採択)は、一定のテロ行為(ハイジャック、爆弾テロ等既存のテロ防止関連条約上の犯罪及び他のテロ目的の殺傷行為)に使用されることを意図して又は知りながら行われる資金の提供及び収集を犯罪とし、その犯人の処罰、引渡し等につき定めています。
締約国数
 締約国数は2024年1月現在190か国。2002年4月10日に発効済み。我が国は、2002年3月12日、国会に同条約及び国内実施のための関連法案を提出し、同条約は4月18日に衆議院で承認され、5月17日に参議院で承認されました。また、国内実施法案についても6月4日に成立したため、同月11日に国連事務総長に受諾書を寄託(締結)しました。
(2)安保理決議第1373号
 安保理決議第1373号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く(2001年9月28日に採択)は、テロと闘うための金融面を含む包括的な措置を各国が実施することを義務づけています。
 同決議では、テロ資金対策として、テロ行為のための資金供与の犯罪化、テロ行為を行う者やテロ行為に関与する者等の資産凍結、テロ行為を行う者やテロ行為に関与する者等への金融資産等の提供禁止、テロ資金供与防止条約等のテロ防止関連条約の締結等が求められています。

3 テロリスト等に対する資産凍結等の措置

  • (1)これまで、安保理決議第1267号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)、第1333号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)、第1390号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く、第1373号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く、第1988号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く、第1989号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く第2253号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く及び第2255号(原文)(PDF)別ウィンドウで開くに基づいて、外国為替及び外国貿易法(外為法)により、アル・カーイダ、タリバーン関係者等及びその他のテロリスト等を資産凍結措置の対象としています。同時に、「国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法」(平成26年法律第124号。以下「国際テロリスト財産凍結法」という。)により、国際テロリストによる国内取引等を規制しています。
  • (2)資産凍結等の措置の対象の指定については、国連安保理タリバーン制裁委員会(安保理決議第1988号)及び同ISIL(ダーイシュ)及びアル・カーイダ制裁委員会(安保理決議第1267号、第1989号及び第2253号)で、タリバーン、アル・カーイダ及びISIL(ダーイシュ)関係者等の制裁対象リストが作成・更新されている他、各国において、それぞれ資産凍結等の措置の対象が指定されています。
  • (3)我が国は、令和6年5月10日時点で、(ア)安保理制裁委員会により指定されたタリバーン、アル・カーイダ及びISIL(ダーイシュ)関係者等391個人及び94団体及び、(イ)安保理決議第1373号に基づき指定された41個人及び31団体の合計420個人及び122団体(ただし、重複する12個人3団体を除く。)に対し、外為法及び国際テロリスト財産凍結法に基づく資産凍結等の措置を実施しています。(資産凍結措置対象リスト (ア)安保理決議第1267号、第1333号、第1390号、第1988号、第1989号、第2253号及び第2255号に基づくもの(PDF)別ウィンドウで開く/(イ)安保理決議第1373号に基づくもの(PDF)別ウィンドウで開く関連リンク
  • (4)安保理決議第1267号、第1989号、第2253号及びその後継決議により資産凍結等の措置対象となっている個人及び団体(国連安保理ISIL(ダーイシュ)及びアル・カーイダ制裁委員会で指定されたもの)は、安保理決議第1904号によって定められた国連のオンブズパーソン(英語)別ウィンドウで開くに対し、リストからの削除を直接要請することができます。
     また、安保理決議第1988号及びその後継決議により資産凍結等の措置対象となっている個人及び団体(国連安保理タリバーン制裁委員会で指定されたもの)は、安保理決議第1730号において設立されたフォーカル・ポイント(英語)別ウィンドウで開く に対し、リストからの削除を直接要請することができます。
     これら削除要請の詳細については、各制裁委員会のHPにて参照できます。
  • (5)加えて、国連安保理は、安保理決議第1373号をもって、すべての加盟国が、テロ行為を行う者やテロ行為に関与する者等に対する資産凍結等の包括的な措置を講じるべきであることを決定しています。我が国は、そのような包括的な安保理決議第1373号を遵守し、財務省・経済産業省、内閣官房、警察庁、金融庁、法務省、出入国在留管理庁、公安調査庁及び外務省からなる「テロリスト等に対する資産凍結等に係る関係省庁連絡会議(PDF)別ウィンドウで開く」において措置の対象につき検討を行い、閣議了解をもって、措置の対象を指定し、告示にて公告しています。また、「テロリスト等に対する資産凍結等に係る関係省庁連絡会議」での決定を踏まえ、国連制裁委員会の指定する制裁対象者リストに追加・修正・削除が適当と判断される場合には、外務省は該当する制裁委員会の定める手続きに従い、同制裁委員会に対し要請を行います。
  • (6)上記のテロ資金対策の一環としての資金凍結等とは別に、安保理決議第1718号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)、第1636号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く、第1591号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く(日本語仮訳)、第1533号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く、第1518号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く、第751号(原文)(PDF)別ウィンドウで開く及びその後継決議に係る各制裁委員会により大量破壊兵器関連計画等に関与する者に対する資産凍結等の措置対象となっている個人及び団体は、安保理決議第1730号によって各制裁委員会において設置された国連のフォーカル・ポイントに対し、リストからの削除を直接要請することができます。これら削除要請の詳細については、各制裁委員会のHPにて参照できます。

4 FATF(金融活動作業部会)におけるテロ資金対策

 FATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)は、資金洗浄(マネー・ローンダリング。以下「マネロン」)・テロ資金供与・大量破壊兵器の拡散にかかる資金供与(以下「拡散金融」)対策のための国際基準の策定・履行を担う多国間の枠組みであり、グローバルな対策ネットワークを構築するため、アジア太平洋、カリブ海、南米、ヨーロッパ、ユーラシア、中東・北アフリカ、西アフリカ、中部アフリカ、南・東部アフリカの各地域のFATF型地域体(FSRB: FATF-Style Regional Bodies)等と協力して活動しています。
 FATFは、2001年9月11日の米国同時多発テロをきっかけにテロ資金供与対策にまでその対象を広げ、これまでにテロ資金供与及び関連する資金洗浄の犯罪化、テロリストの資産の凍結・没収、テロリズムに関係する疑わしい取引の届出等、テロ資金供与に関する「9の特別勧告」を策定しました。
 その後、2012年にこれら2つの「勧告」が統合され、マネロン、テロ資金供与に加えて拡散金融をカバーする新しい40の勧告(英文)(PDF)別ウィンドウで開くに整理されました。FATFでは、これらの勧告の実施を促進するために、勧告の実施状況についてFATF及びFSRBのメンバー国・地域による相互審査を実施しているほか、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策が不十分な国を公表するなどしています。

 2021 年8月に公表されたFATF第4次対日相互審査報告書(英文別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く )では、日本のマネロン・テロ 資金供与・拡散金融対策は、全体として成果を上げていると評価された一方、金融機関等の監督及び予防措置、法人等の悪用防止、マネロン・テロ資金供与の捜査・訴追などに優先的に取り組む必要があると指摘されました。日本は、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」の設置及び「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」の策定(2021年8月)、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の推進に関する基本方針」の策定(2022年5月)、マネロン等対策の関連法(国際テロリスト財産凍結法、外為法、組織的犯罪処罰法、麻薬特例法、テロ資金提供処罰法、犯罪収益移転防止法)の改正(2022年12月成立)を通じて、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策を進め、また、FATF及びアジア太平洋地域におけるFATF型地域体であるAPG (Asia Pacific Group on Money Laundering)の加盟国として、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する国際的な議論に積極的に参加しています。


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