日本の国際テロ対策協力

安保理決議1267(訳文)

 安全保障理事会は、

 アフガニスタンの情勢について同理事会がこれまでに出した決議、特に1998年8月13日の決議第1189号(1998)、同年8月28日の決議第1193号(1198)及び同年12月8日の決議第1214号(1998)を再確認し、

 同理事会がアフガニスタンの主権、独立、領土保全及び国内の統一に深く関与すること並びにアフガニスタンの文化的及び歴史的な遺産を尊重することを再確認し、

 アフガニスタンにおいて継続している国際人道法違反及び人権侵害、特に女子に対する差別並びにあへんの不法な製造の著しい増加に対する深い懸念を再確認し、タリバーンがマザリ・シャリフにおいてイラン・イスラム共和国の総領事館を占拠するとともにイランの外交官及びジャーナリストを殺害したことが、確立した国際法の重大な違反であることを強調し、

 関連する国際テロ防止条約及び特にこれらの条約の締約国が負うテロリストを引き渡し又は訴追する義務を想起し、

 アフガニスタンの領域、特にタリバーンが支配する地域がテロリストの隠匿、訓練及びテロ行為の計画のために引き続き使用されていることを強く非難し、並びに国際テロの抑止が国際の平和及び安全の維持に不可欠であるとの確信を再確認し、

 タリバーンがオサマ・ビン・ラーデンに対して安全な避難所を提供している事実並びに同人及びその関係者がタリバーンが支配する地域においてテロリスト訓練所のネットワークを管理し及び国際的なテロ活動を支援する拠点としてアフガニスタンを利用することを容認している事実を遺憾とし、

 アメリカ合衆国が、オサマ・ビン・ラーデン及びその関係者を、特に1998年8月7日にケニアのナイロビ及びタンザニアのダルエスサラームにおいてアメリカ合衆国大使館を爆破したこと並びにアメリカ合衆国の国外にいる同国国民を殺害するとの謀議を行ったことに関し訴追したことに留意し、また、同国がタリバーンに対し、裁判のために同人及びその関係者を引き渡すよう要請していることに留意し、

 タリバーンの当局が決議第1214号(1998)13に定める要求に応じていないことが国際の平和及び安全に対する脅威となっているを決定し、

 安全保障理事会の決議を尊重することを確保するとの決意を強調し、

 国際連合憲章第7章の下に行動して、

  1. タリバーンとして知られ、自らをアフガニスタン・イスラム首長国と呼ぶアフガンの一派が、安全保障理事会のこれまでの決議を速やかに遵守すること、特に国際的に活動するテロリスト及びその組織に対する保護及び訓練の提供を停止すること、タリバーンの支配下にある地域がテロリストの施設及び野営地として又は他国若しくは他国の市民に対するテロ行為の準備若しくは組織化のために使用されないよう確保するために適当かつ効果的な措置をとること並びに訴追されたテロリストに対し司法手続をとるための努力に協力することを主張する。
  2. タリバーンが、オサマ・ビン・ラーデンを、同人が訴追された国の適当な当局、同人が送還されることとなる国の適当な当局又は同人が逮捕され効果的に司法手続をとられることとなる国の適当な当局に対して、更に遅滞することなく引き渡すことを要求する。
  3. すべての国は、1999年11月14日に4に定める措置をとることを決定する。ただし、安全保障理事会が、事務総長の報告に基づき、タリバーンが2に定める義務を完全に履行したと事前に決定した場合を除く。
  4. 更に、2の規定の実施のためにすべての国が次の措置をとることを決定する。

    (a)6の規定によって設立された委員会が、タリバーンにより又はタリバーンのために所有され、貸与され又は運行されていると指定したいかなる航空機に対しても、自国の領域内での離着陸の許可を拒否すること。ただし、当該委員会がメッカ巡礼のような宗教上の義務を含む人道上の必要性を理由として事前に特定の飛行を承認した場合を除く。

    (b)タリバーンによって直接若しくは間接に所有され若しくは管理された財産又はタリバーンによって所有され若しくは管理された事業から生じた資金を含む資金及び他の財源であって6の規定によって設立された委員会が指定したものを凍結し、人道上の必要性に基づき当該委員会が個々の事例に即して認めた場合を除くほか、当該資金及び他の財源が並びに当該委員会が指定した資金及び財源が、自国の国民又はその領域内にいる者により、タリバーンの利益及びタリバーンによって直接又は間接に所有され又は管理された事業の利益のために利用可能となることがないよう確保すること。

  5. すべての国に対し、2に定める要求を満たすための努力に協力すること並びにオサマ・ビン・ラーデン及びその関係者に対する更なる措置を検討することを促す。
  6. すべての安全保障理事国により構成される安全保障理事会の委員会を同理事会の仮手続規則28に従って設立することを決定する。当該委員会は、次の任務を遂行し、並びに意見及び勧告を付してその活動について同理事会に報告する。

    (a)4の規定によって課せられた措置を効果的にとるため、すべての国に対し各国によってとられた措置に関する更なる情報を求めること。

    (b)4の規定によって課せられた措置に対する違反に関し、各国が注意を喚起した情報を検討し、これに対して適当な措置をとることを勧告すること。

    (c)4の規定によって課せられた措置が及ぼす影響(人道上の影響を含む。)について安全保障理事会に対し定期的な報告を行うこと。

    (d)4の規定によって課せられた措置に対する違反の疑いのあるものに関して安全保障理事会に提出された情報につき、同理事会に対し定期的に報告を行い、違反を行ったとされる者又は団体を特定すること。

    (e)4の規定によって課せられた措置をとることを促進するため、同規定において言及されている航空機並びに資金又は他の財源を指定すること。

    (f)4の規定によって課せられた措置の免除に関する要請を検討し、国際航空運送協会(IATA)が国際線の航空会社の代わりに行っているアフガニスタンの航空当局への航空交通管制業務に対する支払に関しては、当該措置を免除することを決定すること。

    (g)10の規定によって提出される報告を検討すること。

  7. すべての国に対し、4の規定によって課せられた措置の効力発生の日前に効力を生じた国際約束若しくは契約又は当該日前に付与された免許若しくは許可により与えられ又は課せられた権利又は義務の存在かかわらず、この決議の規定に厳格に従って行動するよう求める。
  8. 各国に対し、4の規定によって課せられた措置に対する違反を行う者又は団体であって自国の管轄内に存するものに対して訴訟手続を行い及び適当な刑罰を科すことを求める。
  9. すべての国に対し、6の規定によって設立された委員会がその任務を遂行するに当たり十分に協力すること(当該委員会がこの決議を遂行するに当たって必要とする情報を提供することを含む。)を求める。
  10. すべての国に対し、4の規定によって課せられた措置が効力を生じた後30日以内に、4の規定を効果的に履行するためにとった措置を、6の規定によって設立された委員会に報告するよう要請する。
  11. 事務総長に対し、6の規定によって設立された委員会に対してすべての必要な支援を提供し及びこのために事務局において必要な措置をとることを要請する。
  12. 6の規定によって設立された委員会に対し、事務局の勧告に基づき、4の規定によって課せられた措置の実施の監視を強化するため、権限のある国際機関、周辺国その他の国及び当事者との間の適当な取決めを決定することを要請する。
  13. 事務局に対し、6の規定によって設立された委員会による検討のため、4の規定によって課せられた措置に対する違反の可能性に関して政府及び公的な情報源から受領した情報を提供するよう要請する。
  14. 事務総長が、安全保障理事会に対し、タリバーンが2に定める義務を履行したと報告した際には4の規定によって課せられた措置を終了することを決定する。
  15. この決議の完全な実施を実現するため、国際連合憲章に基づく責任に従い更なる措置をとることを検討する用意があることを表明する。
  16. この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。
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