宇宙
宇宙活動に関する国際行動規範案
平成27年9月8日
1 背景・経緯
- (1)ジュネーブ軍縮会議(CD)及び国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)を含む宇宙関連の多国間協議の場で法的拘束力を有する新たな条約の策定が困難な中,いわゆるソフトローの策定により,各国の関連の条約等の適切な履行を確保し,宇宙ガバナンスを構築しようとする時流が形成されつつあります。
- (2)2008年12月,欧州連合(EU)は,EU総務・対外関係理事会において宇宙活動に関する行動規範案を採択しました。その後,各国との協議を踏まえ,2010年9月,EU総務・対外関係理事会において行動規範案の改訂版を採択しました。
- (3)2012年1月25日,玄葉大臣(当時)が,我が国として「EUが主導してきたイニシアティブを歓迎し,本件に関する国際的な議論に積極的に参加する用意がある」旨表明しました。その後,EUは, 6月5日に,ウィーンにおいて,すべての国連加盟国に開かれた最初の多国間会合を開催しました。
- (4)2013年5月16日~17日に,EUは,ウクライナの首都キエフにて第1回オープンエンド協議(注:オープンエンド協議とは,結語を予断しない形で,できるだけ多くの国の参加による議論を歓迎するとの意図での呼称。)を開催し,本格的な協議を開始しました。
- (5)2013年11月20日~22日に,タイの首都バンコクにて第2回オープンエンド協議を開催し,国際行動規範案のセクション毎に詳細な議論を行いました。
- (6)2014年5月27日~28日に,ルクセンブルクにて第3回オープンエンド協議を開催し,国際行動規範案のセクション毎に詳細な議論を行いました。
- (7)2015年7月27日~31日に,EUは,ニューヨークにて多国間交渉会合を開催し,国際行動規範案の内容や今後の協議の取り進め方について議論を行いました。
2 EU提案の国際行動規範案の主な内容
事故,衝突その他の有害な干渉可能性の最小化,スペースデブリ発生低減のため宇宙物体の破壊等を差し控えること,宇宙物体への危険な接近をもたらす可能性のある運用予定,軌道変更,再突入等,衝突等のリスクを通報すること,他国による違反の可能性がある場合に協議を要請することができること等が規定されています。なお,同行動規範案は,民生と軍事の両方の宇宙活動をカバーすることを意図しています。