日本の安全保障と国際社会の平和と安定
国連における平和構築
平和構築アーキテクチャー(PBA: Peacebuilding Architecture)
冷戦後、停戦や軍の撤退の監視等により事態の沈静化や紛争の再発防止を図り、紛争当事者同士の対話による紛争解決への支援を目的とした「平和維持(peacekeeping)」に加え、持続可能な平和の達成のための「平和構築(peacebuilding)」の重要性が指摘されるようになった。これを受け、2005年の国連首脳会合において、平和構築委員会(PBC: Peacebuilding Commission)、平和構築基金(PBF: Peacebuilding Fund)、平和構築支援事務局(PBSO: Peacebuilding Support Office(2026年より平和構築平和支援事務局(PBPSO)に名称変更))(以上をまとめて「平和構築アーキテクチャー(PBA: Peacebuilding Architecture)」と呼称)の設立が合意され、同年12月の総会及び安保理決議によって設立が正式に決定された。

平和構築委員会(PBC: Peacebuilding Commission)
(1)主要目的
- 全ての関連主体を結集し、資源を動員するとともに、紛争後の平和構築と復興に向けた統合的戦略につき助言し提案する
- 紛争からの復興に必要な再建と制度構築の取組に焦点を当て、持続可能な開発の基盤を築くための統合的戦略の策定を支援する
- 国連内外の関連する全ての関係者の調整を改善し、ベストプラクティスを発展させ、早期復興活動のための予測可能な資金調達を確保し、国際社会による紛争後の復興への関心を持続させるための勧告と情報を提供する
上記に加え、2016年の総会及び安保理決議により、以下4つの機能の重要性が強調されている。
- 持続的平和への国際的な関心を継続的に喚起し、紛争の影響を受けた国々に対し、その同意を得て、政治的関与とアドボカシーを行う
- 安全保障、開発及び人権が相互に密接に関連し、補強し合うことに留意し、平和構築への統合的、戦略的かつ一貫したアプローチを推進する
- 国連各機関の権限及び責任に沿った平和構築のニーズ及び優先事項に関する助言を共有することにより、国連主要機関及び関連する機関の間で橋渡し役を果たす
- 関係アクター間の調整の改善に向けた提言と情報の提供、制度構築を含む平和構築におけるグッドプラクティスの発展と共有、並びに平和構築への予測可能な資金調達を確保すべく、国連内外の全ての関連アクター(加盟国、国家当局、国連ミッション及びカントリーチーム、国際・地域・準地域機関、国際金融機関、市民社会、女性団体、青年組織、また関連する場合、民間セクター及び国内人権機関を含む)を招集するプラットフォームとしての役割を果たす
(2)構成
PBC構成国は以下の枠から原則2年の任期で選出される。議長はPBCを代表し、安保理や総会における年次報告や安保理議長等との協議を行う。
- 総会枠7か国(選挙での選出)
- 安全保障理事会枠7か国(常任理事国5か国(米国、英国、フランス、中国、ロシア)と非常任理事国2か国(任期1年))
- 経済社会理事会枠7か国(選挙での選出)
- 主要軍事・警察要員派遣国枠5か国
- 主要財政貢献国枠5か国(日本はPBC設立以来同枠より選出)
その他、アフリカ連合、カリブ共同体、欧州連合、国際通貨基金、イスラム協力機構、世界銀行がPBCの全会合に参加することができる。また、PBCは追加のパートナーを会議に招待することもできる。
(3)活動
PBC構成国は、組織・手続事項(仮手続規則の採択、検討対象国の選定、作業計画の策定)やPBCの活動のあり方に関する戦略・政策的協議等を行う。
また、以下の国々については、当該国の希望に基づき国別の会合を開催し、平和構築の取組・方針等につき協議が行われている。
- リベリア(議長:スウェーデン常駐代表)
- 中央アフリカ共和国(議長:モロッコ常駐代表)
- ギニアビサウ(議長:ブラジル常駐代表)
他にも、女性・平和・安全保障(WPS)や国際金融機関との連携等テーマ別の会合を開催している。
平和構築基金(PBF: Peacebuilding Fund)
平和構築基金(PBF)は、平和構築活動を開始するために必要な資源の即時投入、及び復興のための適切な資金の確保を目的として設立された国連の基金。国連システム、各国及び地方自治体、市民社会組織、地域機関、多国間銀行と連携し、紛争予防及び平和構築活動に拠出している。主に国連加盟国による任意拠出により運用されているが、2023年に採択された総会決議に基づき、2025年から国連分担金も活用されている。
2006年の設立以来、PBFは60か国以上の拠出により、60か国以上におけるプロジェクトに対し21億米ドル超の資金を承認してきた。2020~2026年のPBF戦略に基づき、国連ミッションの撤退等により「移行」を迎える国・地域の支援、女性や若者のエンパワーメント、越境・地域的なアプローチ、国家予防戦略支援の4つを支援の優先分野としている。
(参考)
平和構築平和支援事務局(PBPSO)
国連事務局の国連政治・平和構築局(DPPA)内の平和構築平和支援事務局(PBPSO)は、国連システム内外のアクターとの連携を強化しながら、平和構築委員会(PBC)を支援・補佐するほか、平和構築基金(PBF)を管理する。
平和構築アーキテクチャーレビュー(Peacebuilding Architecture Review)
国連平和構築アーキテクチャー(PBA)の設立以降、平和構築委員会(PBC)、平和構築基金(PBF)及び平和構築支援事務局(PBPSO)に関する見直しが5年ごとに行われ、その成果物が総会及び安保理決議として採択される。このプロセスを「平和構築アーキテクチャーレビュー(PBAR)」と呼ぶ。2025年には4回目のレビューが実施された。
我が国の貢献
PBCへの貢献
日本は、PBC設立時からメンバー国(主要財政貢献国枠)。これまで議長(2007~2008年)、副議長(2020~2021年、2025年)を務めた。また、2024年はPBCと安保理との非公式調整役、2025年はPBCと総会との非公式調整役を務めるなど、国連諸機関との連携強化に貢献した。
PBFへの貢献
2025年12月時点で、総額7,133万ドル(拠出総額第8位)の拠出を実施するなど、主要ドナーとして一貫してPBFを支援している。
過去の関連トピックス
過去の主要文書
- PBC設立決議
- 総会決議第60会期第180号(PDF)
(英語) - 安保理決議第1645号(PDF)
(英語)/第1646号(PDF)
(英語)
- 総会決議第60会期第180号(PDF)
- PBC年次報告書
- PBC第18回年次報告書(PDF)
(2025年2月)(英語) - PBC第17回年次報告書(PDF)
(2024年2月)(英語)
- PBC第18回年次報告書(PDF)


