(1) 69年以来政権の座にあったバレ政権が反政府勢力の攻勢により91年1月末に崩壊し、反政府勢力の一つであるUSC(統一ソマリア会議)が暫定政権樹立を宣言した。しかし、同政権も実質的な機能を果たせないまま、ソマリアは無政府状態に陥った。
これに対し、人道援助のための安全な環境の確保を目的として、93年4月に第2次国連ソマリア活動(UNOSOM II)が活動を開始したのを受け(統一タスクフォース軍(UNITA)の業務を継承し、95年3月撤退終了)、エティオピア等の近隣諸国による和平仲介努力が活発化、97年12月にはカイロにおいて、ソマリア暫定政府の枠組み設定、及び国民和解会議の開催を内容とする宣言を採択する等、和平を巡る様々な動きがなされているが、対立する全グループによる合意は確保されていない。
(2) ソマリアの産業は牧畜・農業が中心であるが、外貨資源につながる資源には恵まれていない。更に、91年1月以降の内戦により国内インフラが破壊されており、現在、経済基盤は壊滅的な打撃を受けている。また、旱魃と内戦により中南部を中心に大規模な飢餓が発生し、全人口の約3分の1に相当する150万人以上が飢餓に直面しているとされている。
(3) 我が国は、ソマリアから原皮及びエビ等の水産物を輸入(98年輸入額1万ドル)し、同国に自動車等を輸出しているが(98年輸出額57万ドル)、内戦状態のため貿易は極めて限られている。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 6,284 | 9,491 | 9,805 | 8,775 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 946 | - | - | - |
一人当たり(ドル) | 150 | - | - | - | |
経常収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
財政収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | - | - | - | - | |
対外債務残高(百万ドル) | 2,370 | 2,678 | 2,643 | 2,561 | |
為替レート(年平均、1米ドル=ソマリア・シリング) | - | - | - | - | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 627.3 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 46 | 49(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
127 | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
215 | - | ||
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
1,100(80-90年平均) | - | |
成人非識字率(%) | 83 | 76x(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 37(88-90年平均) | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
8 | - |
中等教育 | - | - |
我が国は、ソマリアにおける内戦発生後は、同国における二国間ベースの援助は事実上困難となったが、飢餓に直面する同国内の被災民及び周辺国に流出した難民に対する援助として、92年以来WFPを経由した食糧援助及びUNHCRへの拠出等、総額約5,700万ドル(難民に対する実績はアフリカ地域総論部分参照)に及ぶ人道援助を実施している。
また、現地で活動するNGOに対する草の根無償資金協力も実施した。ソマリアの中長期的な復興のための援助等二国間ベースの協力については、国内的にも国際的にも認知された正統性のある政府の樹立後、ソマリア側の援助受入れ体制の整備、治安状況の回復等の状況を見極めつつ、検討していく必要がある。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
-(-) -(-) -(-) 0.35(88) -(-) |
-(-) 0.02(100) 0.01(100) 0.04(10) 0.01(100) |
-(-) 0.02(100) 0.01(100) 0.40(100) 0.01(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
-(-) 0.02(100) 0.01(100) 0.40(100) 0.01(100) |
累計 | 79.57(64) | 5.42( 4) | 85.01(69) | 38.70 | 38.70(31) | 123.73(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
米国 54.0 スウェーデン 11.4 ノールウェー 9.6 |
スウェーデン 13.5 ノールウェー 5.9 スウェーデン 7.5 |
イタリア 11.8 オランダ 5.1 オランダ 6.1 |
オランダ 10.4 米国 5.0 イタリア 6.1 |
ドイツ 7.0 ドイツ 3.2 米国 6.0 |
0.0 0.0 0.4 |
119.2 39.6 46.0 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
WFP 23.9 CEC 21.5 CEC 23.9 |
UNICEF 15.6 UNICEF 14.0 UNDP 15.4 |
CEC 14.6 UNDP 9.7 UNICEF 13.0 |
UNDP 12.2 WFP 5.0 WFP 9.0 |
UNTA 4.0 UNTA 2.0 UNTA 3.2 |
1.6 -0.8 -7.6 |
72.1 51.4 56.9 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | 66.06億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
145.66億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
8.54億円
研修員受入 94人 |
91 | なし | なし | 0.55億円
研修員受入 1人 |
92 | なし | 19.15億円
災害緊急援助(国内被災民救済)(ICRC、UNICEF経由) (3.35) |
0.08億円
機材供与 8.3百万円 |
93 | なし | 0.13億円
草の根無償(3件) (0.13) |
なし |
94 | なし | なし | なし
|
95 | なし | なし | なし
|
96 | なし | なし | なし
|
97 | なし | 3.43億円
緊急援助洪水災害(国連人道問題局(DHA)経由) (0.43) |
なし |
98 | なし | 6.00億円
難民向け食糧援助(WFP経由) (6.00+α:注4) |
なし |
98年度までの累計 | 66.06億円 | 175.17億円 | 8.68億円
研修員受入 95人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) 2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 3.80年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-26.htm) 4.WFP経由で、ソマリア、エティオピア等7か国への供与について合計29億円。うち、ソマリア国内被災民向け6億円。 |