(1) 93年12月のウフェ・ボワニ大統領の死去後、コナン・ベディエ国会議長が憲法の規定に基づき暫定大統領となり、ダンカン前経済大臣を首相とする新内閣を組閣した。95年10月の大統領選挙によりベティエ暫定大統領が正式に大統領に就任し、同年11月の国民議会選挙では与党が過半数を獲得し、政権の安定基盤を築いた。
(2) 外交面では、非同盟を標榜しつつも、フランスを中心とする先進諸国寄りの穏健かつ現実的な外交政策をとっている。また、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)等に加盟し地域経済統合を進める等、西アフリカ穏健派諸国にあって政治的・経済的に主要な役割を果たしている。
(3) 経済面では、GDPの約30%、輸出の約3分の2を占めるコーヒー、カカオ等の農業が主要産業である。60~70年代には「象牙の奇跡」といわれる年平均11%の高度成長を遂げたが、一次産品価格低迷等により80年代はマイナス成長に陥り、その後の財政収支の悪化により対外債務の返済が困難となった。
このような経済困難に対処するため、94年1月の通貨(CFAフラン)切り下げ後は、輸出促進、税制改革、歳出削減等の施策を打ち出し、経済の安定化に努めている。構造調整が順調に進展していることから、新経済政策として「四つの象の足計画(鉱業・エネルギー開発、農業、輸出、サービス)」を打ち出し、経済成長の再現に取り組んでいる。今後は、GDPの二倍を超える対外債務の返済等が課題となっている。
(4) 我が国との関係は従来より良好であり、貿易関係については、我が国は、象牙海岸から実綿、コーヒー、カカオ等を輸入し(98年輸入額1,422万ドル)、同国に自動車、タイヤ等を輸出している(同輸出額5,077万ドル)。99年6月には、同国元首として初めてベティエ大統領が来日した。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 12,233 | 13,978 | 14,347 | 14,211 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 8,920 | 9,248 | 9,434 | 10,152 |
一人当たり(ドル) | 730 | 660 | 660 | 710 | |
経常収支(百万ドル) | -1,214.3 | -446.7 | -203.5 | - | |
財政収支(百万CFAフラン) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 35.4 | 23.1 | 26.8 | 27.4 | |
対外債務残高(百万ドル) | 17,251 | 18,898 | 19,524 | 15,609 | |
為替レート(年平均、1米ドル=CFAフラン) | 272.26 | 499.157 | 511.55 | 583.67 | |
分類(DAC/国連) | 低所得国/- | ||||
面積(千平方キロメートル) | 318.0 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | 90年 | 最新年 | ||
出生時の平均余命(年) | 54 | 51(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
92 | 87(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 17.7(8年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
136 | 140(97年) | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | 6.8(88年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | 810(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 46 | 60(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
3(80-90年平均) | 11(90-98年平均) | |
初等教育純就学率(%) | - | 55(96年) | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | 72(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | 42 | 46(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
109 | 55(95年) |
中等教育 | 31 | - |
(1) 我が国は、象牙海岸が、1)自由主義経済・民主的制度の下で内政が安定していること、2)西アフリカの中心国の一つとして、政治的に大きな発言力を有していること、3)我が国との関係が良好であること、4)同国の発展が周辺国に与える影響が大きいこと等に鑑み、同国に対して重点的に援助を実施している。
99年3月には無償資金協力及び技術協力に関する経済協力政策協議を実施し、TICAD IIの成果に基づくフォローアップについて説明するとともに、経済情勢、開発計画、今後の援助のあり方等について意見交換を行い、初等教育、保健・医療、水供給分野を重点分野として援助を実施していくことを確認した。
(2) 無償資金協力については、食糧増産援助のほか、保健・医療分野、水供給分野等の基礎生活分野を中心に実施している。技術協力については、プロジェクト方式技術協力、研修員受入、専門家派遣、青年海外協力隊派遣を通じ、農業、運輸、保健・医療等の分野で、開発調査については、農業分野等で実施している。
また、同国の構造調整努力を支援するため、89年度に72億円の円借款の供与を行ったほか、98年度までに合計152億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
10.41(51) 37.96(70) 49.41(85) 25.07(75) 33.42(84) |
9.99(49) 9.11(17) 6.96(12) 6.76(20) 6.57(16) |
20.40(100) 47.07(87) 56.37(97) 31.82(95) 39.99(100) |
- 7.80 2.02 1.69 - |
-(-) 7.17(13) 1.75(3) 1.61(5) -(-) |
20.40(100) 54.24(100) 58.11(100) 33.43(100) 39.99(100) |
累計 | 273.87(62) | 66.39(15) | 340.25(77) | 107.39 | 99.17(23) | 439.40(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 516.0 フランス 300.3 フランス 133.7 |
ドイツ 74.2 日本 58.1 日本 33.4 |
日本 54.2 ドイツ 34.0 ドイツ 21.1 |
イタリア 29.6 カナダ 20.2 ベルギー 15.6 |
カナダ 22.2 米国 14.0 米国 10.0 |
54.2 58.1 33.4 |
726.6 449.2 232.7 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
IDA 226.2 IDA 234.8 IDA 140.1 |
IMF 180.7 IMF 138.4 CEC 41.4 |
CEC 55.4 CEC 104.1 UNHCR 11.0 |
UNHCR 11.2 AfDF 17.2 AfDF 6.8 |
WFP 2.7 UNHC 11.3 WFP 3.1 |
9.6 12.6 8.9 |
485.8 518.4 211.3 |
(3)年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | 132.17億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
92.99億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
16.12億円
研修員受入 135人 |
91 | なし | 36.54億円
地方医療整備計画 (7.94) |
3.13億円
研修員受入 19人 |
92 | 7.48億円
債務繰延べ (7.48) |
32.75億円
北部村落給水計画(1/2期) (3.12) |
4.02億円
研修員受入 17人 |
93 | なし | 7.55億円
北部村落給水計画(2/2期-1) (2.43) |
7.21億円
専門家派遣 9人 |
94 | 24.51億円
債務繰延べ (24.51) |
47.36億円
北部村落給水計画(2/2期-2) (2.94) |
9.53億円
研修員受入 32人 |
95 | なし | 48.30億円
ココディ大学病院センター拡充計画(2/2期、国債1/3期) (15.20) |
6.72億円
研修員受入 37人 |
96 | なし | 29.12億円
ココディ大学病院センター拡大計画(2/2期、国債2/3期) (10.51) |
7.89億円
研修員受入 35人 |
97 | なし | 47.86億円
ココディ大学病院センター拡大計画(国債3/3期) (0.84) |
6.35億円
研修員受入 48人 |
98 | なし | 37.19億円
ノンプロジェクト無償 (15.00) |
10.43億円
研修員受入 56人 |
98年度までの累計 | 164.16億円 | 379.66億円 | 71.42億円
研修員受入 405人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.80年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-25.htm)
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案件名 | 協力期間 |
灌漑稲作機械訓練計画 | 92.8~97.7 |
(参考2)98年度実施開発調査案件
案件名 |
アビジャン市西部下水道施設整備計画調査 サンペドロ平原農村総合開発計画調査(第2年次) ラピドゥ・グラ地域保全林植林事前調査在外開発調査(在外ミニ開発調査) 全国総合水資源開発・管理計画予備調査(水文・水理/水利用) 全国総合水資源開発・管理計画予備調査(地下水開発) アビジャン市西部下水道施設整備計画事前調査(S/W協議)(下水・工場排水/環境配慮) アビジャン市西部下水道施設整備計画事前調査(S/W協議)(下水道施設) ラピドゥ・グラ地域保全林植林事前調査在外開発調査(在外ミニ開発調査)(航空写真撮影監督) ラピドゥ・グラ地域保全林植林事前調査在外開発調査(在外ミニ開発調査) ラピドゥ・グラ地域保全林植林事前調査在外開発調査(在外ミニ開発調査)(土壌調査) |
(参考3)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
クアシ・ダテクロ女性教育学校建設計画 テールデゾム女性職業訓練及び対ストリート・チルドレン識字・情操教育学校用資機材供与計画 |