(1) 86年4月にムスワティIII世が即位し、それまで国政の責任を負っていた最高評議会を解散させる等、権力基盤の確立を図ってきた。その後、国民の民主化意識が高まり、93年10月には20年ぶりの総選挙が実施されたが、依然として政党活動が禁止されている等非民主的な側面も残っている。労働組合による民主化要求のゼネストも生じ、民主的な新憲法制定が当面の課題である。
(2) 外交面では、非同盟・平和主義を基軸とし、先進諸国寄りの現実的かつ穏健路線を取っている。また、国土の三方を接する南アフリカに経済的に大きく依存しているため、同国との関係に細心の注意を払っている。
(3) 経済面では、輸出用農産物及び鉱産物を中心とする貨幣経済と小農の自給自足経済の二重構造となっている。製造業がGDPの約40%を占め、農林業がGDPの約10%を占めている。砂糖精製やウッドパルプのような国内で産出される一次産品の加工が製造業の中核をなし、農林業分野では、輸出用換金作物として砂糖、木材、柑橘類等を生産しており、特に砂糖は全輸出の約24%を占める代表的輸出品である。また、南アフリカ、ボツワナ、レソト及びナミビアと南部アフリカ関税同盟(SACU)を結成し、この配分税収が歳入の約50%を占めている。レソト、ナミビアとともに南アフリカのランド通貨圏に属している。
(4) 我が国は、スワジランドから柑橘類、木材等を輸入し(98年輸入額949万ドル)、同国にスライドファスナー部品、自動車等を輸出している(同輸出額262万ドル)。98年10月のTICADIIに際し、ムスワティIII世が来日した。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 789 | 900 | 926 | 958 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 645 | 1,051 | 1,122 | 1,458 |
一人当たり(ドル) | 820 | 1,170 | 1,210 | 1,520 | |
経常収支(百万ドル) | 84.6 | 30.1 | -30.1 | -49.1 | |
財政収支(百万エマランジェニ) | 165.6 | 68.3 | -216.9 | 0.7 | |
消費者物価指数(90年=100) | 100.0 | 166.0 | 197.6 | - | |
DSR(%) | 5.7 | 1.8 | 2.8 | 2.5 | |
対外債務残高(百万ドル) | 253.8 | 234.9 | 221.7 | 368.2 | |
為替レート(年平均、1リランジェニ=米ドル) | 0.38665 | 0.27574 | 0.23416 | 0.21724 | |
分類(DAC/国連) | 低中所得国/- | ||||
面積(千平方キロメートル) | 17.2 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 60(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | ||
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 23(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
1 | - |
中等教育 | - | - |
スワジランドは、我が国との関係が比較的希薄であり、また、アフリカの中で比較的所得水準が高く、援助実績は少額に留まっているが、我が国は、食糧増産援助及び通信・放送、行政分野等の研修員受入を中心に援助を実施している。また、全国地図整備計画にかかる開発調査を実施している。
94年4月には、無償資金協力及び技術協力に関する経済協力政策協議を実施した。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助実施を検討していく方針である。
(1)我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
6.68(94) 4.35(78) 9.20(90) 8.65(93) 5.57(89) |
0.44(6) 1.23(22) 1.02(10) 0.69(7) 0.67(11) |
7.13(100) 5.59(100) 10.22(100) 9.34(100) 6.24(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
7.13(100) 5.59(100) 10.22(100) 9.34(100) 6.24(100) |
累計 | 42.24(79) | 11.41(21) | 53.68(100) | - | -(-) | 53.68(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
米国 12.0 米国 11.0 日本 9.3 |
ドイツ 8.9 日本 10.2 英国 3.2 |
日本 5.6 ドイツ 4.4 米国 2.0 |
英国 5.3 オランダ 2.2 オランダ 0.9 |
オランダ 2.0 スウェーデン 0.5 ノールウェー 0.8 |
5.6 10.2 9.3 |
37.7 20.6 16.3 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 7.4 CEC 8.5 CEC 4.0 |
AfDF 2.9 UNTA 1.0 AfDF 2.8 |
UNTA 2.1 UNDP 0.9 UNTA 1.1 |
WFP 1.5 UNICEF 0.9 UNDP 1.0 |
UNICEF 1.0 UNHCR 0.8 UNICEF 0.9 |
2.9 -2.2 0.9 |
17.8 9.9 10.7 |
(3)年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | なし | 5.16億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
13.47億円
研修員受入 37人 |
91 | なし | 2.50億円
食糧増産援助 (2.50) |
0.29億円
研修員受入 4人 |
92 | なし | 4.00億円
食糧援助 (1.00) |
0.88億円
研修員受入 6人 |
93 | なし | 10.83億円
地方電話網整備計画 (7.83) |
0.30億円
研修員受入 6人 |
94 | なし | 3.07億円
食糧増産援助 (3.00) |
0.77億円
研修員受入 11人 |
95 | なし | 11.16億円
地方給水計画(1/2期) (6.60) |
0.89億円
研修員受入 15人 |
96 | なし | 4.83億円
食糧増産援助 (3.00) |
0.86億円
研修員受入 25人 |
97 | なし | 12.30億円
地方給水計画(国債2/2期) (4.50) |
0.92億円
研修員受入 23人 |
98 | なし | 2.10億円
食糧増産援助 (2.00) |
0.73億円
研修員受入 23人 |
98年度までの累計 | なし | 55.95億円 | 19.11億円
研修員受入 150人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.82年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-21.htm)
(参考1)98年度実施開発調査案件
案件名 |
全国地図整備計画事前調査 |
(参考2)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
グッド・シェファード病院医療機材整備計画 シテギ産業訓練センター機材整備計画 マッコーキンデール孤児院施設整備計画 |