(1) 77年にフランスから独立した。同国を構成する住民の大部分であるイッサ族(ソマリア系)とアファール族(エティオピア系)は習慣の相違などから歴史的に対立意識が強く、独立直後より騒擾事件等により政情不安が生じていた。その後、91年11月には武力衝突を機に内戦へ発展した。独立以来政権の座にあった、グーレド大統領(イッサ族出身)は、両部族間の和平対話が行き詰まる中、複数政党制の導入等民主化に着手し、92年12月に国民議会選挙、93年5月に大統領選挙を実施し、民主化プロセスは順調に進んだ。94年12月には政府とアファール族のFRUD(統一と民主主義回復のための戦線)との間で和平合意が成立し、97年12月、和平後初の国民議会選挙が実施された。99年4月には大統領選挙が行われ、ゲレ新大統領が誕生した。
(2) 外交面では、旧宗主国フランスをはじめ全ての国との友好・協力関係の維持に努めている。特に、アラブ連盟加盟国である同国は、サウディ・アラビアを中心とするアラブ穏健派及びエティオピア、ソマリア等近隣諸国との関係が深く、多くのエティオピア、ソマリア難民を国内に受け入れている。また、旱魃対策、地域開発及び地域紛争解決を目的とする政府間開発機構(IGAD、東部アフリカ7ヶ国からなる)を通じ地域の安定に貢献している。エティオピア・エリトリア紛争に関し、98年11月には、同国がエティオピア寄りと非難され、エリトリアと外交関係を断絶するに至った。
(3) 経済面では、GDPの75%を占めるサービス部門が中心であり、エティオピア向け輸出入品の鉄道輸送、中継貿易、港湾役務提供、フランス軍駐留による経済的利益、外国援助等による収入に依存している。現在、フランス及び湾岸諸国からの援助の減少、周辺国からの難民受入等により、経済は厳しい状況にある。また、構造調整計画に関するIMFとの融資合意を踏まえる等、マクロ経済の安定に向けた努力をしている。
(4) 我が国は、ジブティに対し自動車等を輸出している(同輸出額1,923万ドル)。98年10月のTICAD IIに際しグーレド大統領(当時)が来日した。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 427 | 634 | 619 | 636 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | - | - | - | - |
一人当たり(ドル) | - | - | - | - | |
経常収支(百万ドル) | - | -23.0 | - | - | |
財政収支(百万ジブティ・フラン) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | - | 5.5 | 5.4 | 3.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | 205.3 | 281.8 | 295.8 | 283.6 | |
為替レート(年平均、1米ドル=ジブティ・フラン) | 177.72 | 177.72 | 177.72 | 177.72 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 23.2 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 50(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 54(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
- | - |
中等教育 | - | - |
我が国は、同国が民主化に向けて努力し、東アフリカ地域において重要な政治的役割を果たしていることから、食糧援助をはじめ、医療、教育、水供給、運輸、放送分野等に対する無償資金協力及び通信・放送、工業等の分野における研修員受入等の技術協力を実施している。また、同国の構造調整努力に鑑み、96年度には同国初のノン・プロジェクト無償援助3億円を供与した。今後とも、同国の経済安定化を支援するため、基礎生活分野、基礎インフラ分野を中心に援助実施を検討していく方針である。99年3月には青年海外協力隊派遣の取極を結んだ。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
16.47(92) 27.01(96) 16.75(94) 10.62(93) 15.85(94) |
1.48(8) 1.14(4) 1.14(6) 0.81(7) 1.10(6) |
17.96(100) 28.15(100) 17.89(100) 11.43(100) 16.95(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
17.96(100) 28.15(100) 17.89(100) 11.43(100) 16.95(100) |
累計 | 122.82(93) | 9.09(7) | 131.92(100) | - | -(-) | 131.92(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 42.4 フランス 46.9 フランス 46.1 |
日本 28.2 日本 17.9 日本 11.4 |
イタリア 5.8 イタリア 4.3 イタリア 1.7 |
ドイツ 1.6 ドイツ 1.4 ドイツ 1.6 |
米国 1.0 カナダ 0.2 スペイン 1.1 |
28.2 17.9 11.4 |
79.6 70.8 62.2 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
AfDF 8.1 AfDF 9.3 AfDF 5.1 |
WFP 3.7 CEC 5.1 CEC 3.3 |
UNHCR 3.1 UNHCR 2.0 IDA 3.0 |
IDA 2.4 UNDP 1.3 WFP 2.3 |
UNTA 1.9 IDA 1.1 UNHCR 2.2 |
4.3 3.1 4.1 |
23.5 21.8 19.9 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | なし | 30.77億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
1.17億円
研修員受入 10人 |
91 | なし | 6.10億円
放送施設整備計画(2/2期) (90年度:2.04) |
0.76億円
研修員受入 7人 |
92 | なし | 12.24億円
地方村落給水計画(1/2期) (4.74) |
0.88億円
研修員受入 10人 |
93 | なし | 17.22億円
中学校校舎建設計画(1/2期) (9.17) |
2.36億円
研修員受入 8人 |
94 | なし | 21.08億円
港湾施設整備計画(1/2期) (13.99) |
0.33億円
研修員受入 7人 |
95 | なし | 7.76億円
地方村落給水計画(1/2期) (1.61) |
1.31億円
研修員受入 10人 |
96 | なし | 22.11億円
港湾施設整備計画(2/2期-2) (8.63) |
1.19億円
研修員受入 11人 |
97 | なし | 9.53億円
道路網整備計画(国債1/2期) (4.70) |
0.81億円
研修員受入 13人 |
98 | なし | 22.10億円
小学校建設計画(1/2期) (5.34) |
1.56億円
研修員受入 12人 |
98年度までの累計 | なし | 157.17億円 | 10.37億円
研修員受入 88人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.82年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-19.htm)