(1) 97年5月、政府軍下級兵士によるクーデターが発生し、カバ大統領がギニアへ脱出し、コロマ少佐を議長兼国家元首とする軍事革命評議会が設立された。その後ナイジェリアをはじめ西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)及び国連安保理が解決に向けて努力し、ECOWASとの間の和平合意が成立した。しかし、クーデター派は合意の履行に努めなかったため、98年2月にECOWAS平和維持軍(ECOMOG)によってクーデター派が駆逐され、カバ大統領が亡命先のギニアから帰国し、合法政権が復帰した。その後、反政府勢力革命統一戦線(RUF)が首都フリータウンに侵攻したが、99年7月には政府勢力とRUFとの間で和平合意が締結された。
(2) 外交面では非同盟主義、各国の主権尊重、内政不干渉を主軸とするとともに、ECOWASの一員として組織の強化に努力している。日本をはじめとするアジア諸国とも友好関係を維持している。
(3) ダイヤモンド、金、ボーキサイト等の鉱物資源、カカオ、コーヒー等の商品作物の輸出により外貨を得ているが、これらの国際市況の低迷、密輸の横行等を背景に経済は低迷している。また、長年にわたる内戦により、ダイヤモンド、カカオ等の主要産品の生産地域は荒廃し、米等の主要食糧生産地域から農民が大量に流出している。92年に債務軽減と経済復興を目的としてIMFの経済再建プログラムを受入れ、財政・金融の引き締め等を図った。その結果、経済は安定化に向かったが、近年の内戦等により経済は再び混乱に陥っている。
(4) 我が国は、シエラ・レオーネから水産物、ダイヤモンド、活性炭を輸入し(98年輸入額96万ドル)、同国に自動車、漁船、鉄鋼板等を輸出している(同輸出額347万ドル)。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 4,137 | 4,195 | 4,630 | 4,748 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 981 | 762 | 925 | 762 |
一人当たり(ドル) | 240 | 180 | 200 | 160 | |
経常収支(百万ドル) | -69.4 | -126.5 | - | - | |
財政収支(百万レオネ) | -2,413 | -39,835 | -49,925 | - | |
消費者物価指数(90年=100) | 100.0 | 963.8 | - | - | |
DSR(%) | 10.1 | 61.5 | 45.7 | 21.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | 1,151 | 1,178 | 1,181 | 1,149 | |
為替レート(年平均、164ドル=レオネ) | 151.45 | 755.22 | 920.73 | 981.48 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 71.6 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 42 | 37(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
149 | 170(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
257 | 286(97年) | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | 1.1(89年) | 1.1(89年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
450(80-90年平均) | - | |
成人非識字率(%) | 79 | 69(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
4(80-90年平均) | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 42(88-90年平均) | 34(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | 41 | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
19 | 13(95年) |
中等教育 | 36 | 27(96年) |
我が国は、97年5月の軍事クーデター以前は、食糧援助をはじめとする無償資金協力及び研修員受入等の技術協力を中心に協力を実施していた。96年2月の大統領・議会選挙に際し、同国の民主化プロセスを支援するため、UNDPを通じ10万ドルの援助を実施した。しかし、上記軍事クーデターにおいて民主化プロセスに逆行する動きが見られたため、援助を中断している。今後の援助については、ODA大綱を踏まえ、同国の政情、治安の推移等に十分留意しつつ検討していく必要がある。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
10.54(-) 3.04(-) 0.62(-) 1.20(-) 1.17(98) |
0.13(-) 0.58(-) 0.23(-) 0.19(-) 0.03(3) |
10.66(-) 3.62(-) 0.85(-) 1.39(-) 1.20(100) |
- - - - - |
-0.37(-) -0.16(-) -0.94(-) -0.17(-) -(-) |
10.29(100) 3.46(100) -0.09(100) 1.22(100) 1.20(100) |
累計 | 58.16(66) | 5.92(7) | 64.05(72) | 27.87 | 24.74(28) | 88.79(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
ドイツ 16.3 英国 17.5 米国 13.0 |
英国 14.8 米国 11.0 英国 8.0 |
米国 8.0 ドイツ 10.6 カナダ 5.2 |
フランス 5.8 イタリア 10.5 ノールウェー 3.9 |
オランダ 4.2 オランダ 4.9 ドイツ 2.9 |
3.5 -0.1 1.2 |
59.6 67.0 41.4 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
IDA 42.4 IDA 33.7 IDA 26.7 |
CEC 41.1 AfDF 26.5 CEC 21.2 |
AfDF 28.8 CEC 20.6 WFP 11.1 |
IMF 16.4 WFP 13.8 AfDF 8.3 |
UNDP 6.2 IMF 11.5 IMF 7.0 |
11.7 18.7 13.5 |
146.6 124.8 87.7 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | 61.71億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
56.39億円
内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
7.43億円
研修員受入 100人 |
91 | なし | 7.77億円
ノンプロジェクト援助 (3.00) |
0.26億円
研修員受入 10人 |
92 | なし | 1.00億円
食糧援助 (1.00) |
0.18億円
研修員受入 5人 |
93 | なし | 12.63億円
フリータウン電力供給改善計画 (11.63) |
0.17億円
研修員受入 5人 |
94 | なし | 1.50億円
債務救済 (0.50) |
0.22億円
研修員受入 8人 |
95 | なし | 4.60億円
債務救済 (0.50) |
0.48億円
研修員受入 14人 |
96 | なし | 7.04億円
食糧援助(WFP経由、国内被災民及び難民支援) (5.00) |
0.29億円
研修員受入 |
97 | なし | なし | 0.19億円
研修員受入 1人 |
98 | なし | 2.83億円
緊急無償難民・被災民救済(UNICEF経由) (0.40) |
0.01億円 |
98年度までの累計 | 61.71億円 | 93.76億円 | 9.22億円
研修員受入 159人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.79年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-18.htm)