(1) 65年以来のモブツ政権に対し、経済情勢の悪化に伴う生活難により国民の不満が増大し、91年9月キンシャサ市内で兵士を中心とする暴動が発生し、混乱が地方にまで波及した。混乱はその後も続いたが、96年9月に始まった政府側と反政府勢力との間に戦闘が始まり、ウガンダ及びルワンダの支援を得た反政府勢力(コンゴー・ザイール解放民主勢力同盟(ADFL))は、97年5月に首都キンシャサを制圧した。この結果、カビラADFL議長が大統領に就任し、その後国名がザイール共和国からコンゴー民主共和国に変更された。しかし、98年8月初めに、再度の同国東部地域で反政府勢力が武装蜂起し、内戦が勃発した。99年7月に紛争当事国間で和平合意が締結され、今後の動向が注目される。
(2) 外交面では、同国をめぐる紛争発生のため、和平の仲介或いはコンゴー民主共和国を軍事支援しているアフリカ諸国との友好・連携関係に努めている。欧米諸国との関係では、98年11月に行われたアフリカ・仏サミットに参加する等仏との冷却関係に改善が見られるが、他方、99年に入り米・英の大使館員を数名追放する等米・英との関係は冷却した状態となっている。
(3) 経済面では、基本的に銅、コバルト、ダイヤモンド、コーヒー等の輸出により外貨収入を得ているが、91年来のモブツ政権末期の情勢混乱、96年から97年5月のカビラ政権誕生に至るまでの紛争、98年8月からの紛争等情勢が不安定な状態が続いているため、これら主要産品にも悪影響が出ている。また政府による経済政策・運営の混乱も激しいことから、経済の悪化は著しい(97年の経済成長率はマイナス4.1%)。
(4) 我が国は、コンゴー民主共和国からコバルト、銅等を輸入し(98年輸入額3,837万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額948万ドル)。95年6月にはケンゴ首相(当時)が来日した。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 35,564 | 43,848 | 45,234 | 46,709 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 8,117 | 5,313 | 5,727 | 5,201 |
一人当たり(ドル) | 230 | 120 | 130 | 110 | |
経常収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
財政収支(十億ニュー・ザイール) | -146 | 8 | -934 | -10,223 | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 13.5 | 1.4 | 2.7 | 0.9 | |
対外債務残高(百万ドル) | 10,270 | 13,241 | 12,826 | 12,330 | |
為替レート(年平均、164ドル=ニュー・ザイール) | 239.5 | 7,024.4 | - | - | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 2267.1 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 53 | 53(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
79 | 92(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
130 | 148(97年) | ||
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
800(80-90年平均) | 870(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 28 | 23(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
1(80-90年平均) | - | |
初等教育純就学率(%) | - | 54(96年) | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 33(88-90年平均) | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | 41(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
1,133 | - |
中等教育 | - | 38(96年) |
我が国は、かつては、有償資金協力、無償資金協力及び技術協力の各形態において援助を実施していたが、91年9月の暴動以来治安が悪化し援助実施が事実上困難となり、その後の内政の混乱も重なり、事実上同国に対する援助を研修員受入及び草の根無償を除き原則として中断していた。緊急・人道的援助については、94年度に保健・医療分野における草の根無償資金協力を実施したほか、95年には同国において流行したエボラ出血熱対策としてWHOを通じて15万ドルの緊急援助を行った。
99年5月のカビラ政権誕生後、民主化プロセスの促進、経済再建に向けた具体的な努力等を国際社会に約したため、可能な分野から経済協力を再開・実施する方針を決めたが、98年8月、以来、紛争状態にあるため草の根無償資金協力を除き二国間援助は実施されていない。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
3.97(89) 4.63(86) 3.70(82) 5.51(96) -(-) |
0.48(11) 0.75(14) 0.84(19) 0.25( 4) 0.04(100) |
4.45(100) 5.38(100) 4.53(100) 5.76(100) 0.04(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
4.45(100) 5.38(100) 4.53(100) 5.76(100) 0.04(100) |
累計 | 171.22(41) | 41.06(10) | 212.25(51) | 258.13 | 200.92(49) | 413.18(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
ベルギー 36.3 ドイツ 34.4 ベルギー 30.8 |
ドイツ 34.2 ベルギー 15.5 ドイツ 15.8 |
フランス 14.7 フランス 14.9 フランス 12.9 |
オランダ 7.8 ノールウェー 6.3 ノールウェー 7.9 |
イタリア 5.9 オランダ 4.7 オランダ 7.3 |
5.4 4.5 5.8 |
117.7 106.3 104.5 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
WFP 25.8 CEC 27.8 UNICEF 21.4 |
CEC 21.2 UNICEF 10.2 UNDP 15.3 |
UNHCR 10.6 UNDP 9.4 CEC 10.8 |
UNICEF 8.3 UNHCR 5.5 UNHCR 5.1 |
UNDP 7.7 WFP 3.6 UNTA 2.2 |
4.5 2.2 0.2 |
78.0 58.6 54.9 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | 497.54億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
249.35億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
62.32億円
研修員受入 224人 |
91 | なし | なし | 1.60億円 研修員受入 10人 |
92 | なし | なし | 0.16億円
研修員受入 5人 |
93 | なし | なし | 0.09億円
研修員受入 5人 |
94 | なし | 0.68億円
草の根無償(11件) (0.68) |
0.19億円
研修員受入 3人 |
95 | なし | 0.61億円
災害緊急援助(伝染病の流行)(WHO経由) (0.15) |
0.46億円
研修員受入 8人 |
96 | なし | 0.44億円
草の根無償(6件) (0.44) |
0.59億円
研修員受入 6人 |
97 | なし | 0.08億円
草の根無償(1件) (0.08) |
0.04億円 |
98 | なし | なし | なし
|
98年度までの累計 | 497.54億円 | 251.31億円 | 65.44億円
研修員受入 261人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降 の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.73年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-15.htm)
プロジェクト所在図