(1) 75年の独立以来クーデターが頻発する等政情は不安定である。96年3月に初の民主的大統領選挙が実施され、タキ大統領が選出された。その後、同大統領は、同年10月の憲法改正、12月の連邦議会選挙により新体制を確立したが、公務員給与遅配や停電・断水等により国民生活に困難が生じている中、98年11月に同大統領が急死した。同国は、フランスへの再合併を望む一部地域の分離独立運動という問題を抱えていたが、アンジュアン島とモヘリ島が97年8月、一方的に独立を宣言した。こうした中、99年4月には、政府がこの問題に対する施策を行わなかったとして、軍部によるクーデターが発生し、アザリ軍参謀本部長が政権を掌握し、憲法を一時的に停止した。
(2) 外交面では、旧宗主国フランスとの関係に加え、経済協力関係を中心とした先進諸国寄りの非同盟中立主義を掲げ、現実的外交を展開している。
(3) 経済面では、GDPの約40%を農林漁業が占めているが、恒常的に食糧が不足し、全輸入の3分の1を食糧が占めている。一次産品国際価格低迷の影響を受け、バニラ等の香料をはじめとする輸出は伸び悩み、貿易収支は大幅な赤字となっている。経済安定化のための施策として、金融・財政の引き締め、公務員数削減、貿易自由化、バニラ生産促進等を実施しているが、失業問題をはじめ経済は依然低迷している。95年のクーデター未遂事件により停止されていた世銀・IMFとの構造調整合意については、97年2月の協議により半年間の監視期間設ける旨の合意がされたものの、経済が好転せず、融資にまでは至っていない。
(4) 我が国は、コモロからバニラ、精油等を輸入し(98年輸入額5万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額400万ドル)。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 475 | 499 | 505 | 518 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 227 | 237 | 228 | 209 |
一人当たり(ドル) | 480 | 470 | 450 | 400 | |
経常収支(百万ドル) | -10.48 | -18.96 | - | - | |
財政収支(百万コモロ・フラン) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 2.3 | 1.6 | 2.3 | 3.9 | |
対外債務残高(百万ドル) | 184.9 | 203.7 | 205.6 | 197.4 | |
為替レート(年平均、164ドル=コモロ・フラン) | 272.27 | 374.36 | 383.66 | 437.75 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 2.2 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 57(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 43(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
- | - |
中等教育 | - | - |
アンジュアン島分離独立問題や99年4月のクーデター発生に鑑み、今後の援助に関しては、これらの動向を見極めつつ検討していく必要がある。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
1.22(74) 3.82(89) -(-) 0.27(63) 4.09(98) |
0.42(26) 0.45(11) 0.31(100) 0.15(35) 0.07(2) |
1.64(100) 4.27(100) 0.31(100) 0.43(100) 4.16(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
1.64(100) 4.27(100) 0.31(100) 0.43(100) 4.16(100) |
累計 | 39.04(88) | 5.09(12) | 44.13(100) | - | -(-) | 44.13(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 15.8 フランス 19.2 フランス 13.9 |
日本 4.3 オランダ 1.4 日本 0.4 |
米国 1.0 ドイツ 1.0 オランダ 0.4 |
ドイツ 0.2 日本 0.3 ドイツ 0.3 |
ルクセンブルグ 0.2 豪州 0.1 ベルギー 0.2 |
4.3 0.3 0.4 |
21.7 22.0 15.3 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
IDA 9.2 CEC 6.2 IDA 4.8 |
CEC 4.7 IDA 6.0 CEC 3.1 |
UNDP 2.1 UNDP 1.8 UNDP 2.1 |
UNTA 2.1 UNFPA 1.1 UNTA 1.3 |
WFP 1.5 IFAD 0.8 UNICEF 0.6 |
2.1 2.0 0.8 |
21.8 18.0 12.8 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | |||
91 | なし | 3.50億円
食糧援助 (1.00) |
0.25億円
研修員受入 2人 |
92 | なし | 3.00億円
食糧援助 (1.50) |
0.26億円
研修員受入 1人 |
93 | なし | 3.00億円
食糧援助 (1.50) |
0.49億円
研修員受入 6人 |
94 | なし | 2.50億円
食糧援助 (1.50) |
0.39億円
研修員受入 5人 |
95 | なし | なし | 0.58億円
研修員受入 5人 |
96 | なし | 5.69億円
食糧援助 (1.00) |
0.16億円
研修員受入 5人 |
97 | なし | 1.80億円
食糧援助 (1.80) |
0.13億円
研修員受入 4人 |
98 | なし | 1.50億円
食糧援助 (1.50) |
0.05億円
研修員受入 2人 |
98年度までの累計 | なし | 59.89億円 | 6.99億円
研修員受入 63人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度の実績については、96年度に閣議決定を行い、97年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.80年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照
プロジェクト所在図