(1) 84年に政権に就いたコンテ大統領は、社会主義体制から自由主義体制への移行を推進し、民主化に努めてきた。90年12月には国家基本法(三権分立、基本的人権の保障、複数政党制等を規定するもの)が国民投票で圧倒的多数で採択され、これを受けて93年12月大統領選挙が実施され、同大統領が初の民選大統領として当選した。95年6月には、複数政党制導入後初の総選挙が実施され、与党統一進歩党(PUP)勝利を収めた。96年2月には給与問題に端を発する国軍兵士による反乱事件が発生したが、国民は同大統領の民主化路線を支持した。98年12月の大統領選挙では同大統領が再選された。
(2) 外交面では、独立以来社会主義陣営寄りの非同盟路線を採ってきたが、コンテ政権成立後、フランスをはじめとする西側諸国との関係強化に努めている。国民の約75%がイスラム教徒であるため、アラブ、イスラム圏諸国との連帯感は強い。また、リベリア内戦やシエラ・レオーネ内戦の仲介に協力し、難民を受け入れている。
(3) 経済面では、農業等の第一次産業及び鉱業が基盤である。第一次産業は労働人口の約85%、GDPの約35%を占め、鉱業部門では、ボーキサイト(世界の埋蔵量の3分の1を占め、世界第2位の生産量)、ダイヤモンド等を産出し、GDPの約40%を占めている。
コンテ政権は市場経済を導入し、85年以来世銀・IMFの支援の下、食糧自給の達成、公務員の削減、財政の健全化、金融改革の推進等を内容とする構造調整計画を実施している。これにより中長期的経済成長を目指しているが、失業の増加やインフレ等が生じ、経済の効率化と国民生活の安定の両立が課題である。
(4) 我が国は、ギニアから海産物、アルミニウム鉱等を輸入し(98年輸入額約650万ドル)、同国に自動車、鉄鋼板等を輸出している(同輸出額2,009万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 5.718 | 6,591 | 6,759 | 6,920 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 2.756 | 3,593 | 3,804 | 3,830 |
一人当たり(ドル) | 480 | 550 | 560 | 550 | |
経常収支(百万ドル) | -203.0 | -219.5 | -177.3 | - | |
財政収支(百万ギニアドル) | -61.090 | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 20.0 | 25.0 | 14.6 | 21.5 | |
対外債務残高(百万ドル) | 2,476 | 3.242 | 3,240 | 3,520 | |
為替レート(年平均、1米ドル=ギニア・フラン) | 660.2 | 991.4 | 1,004.0 | 1.095.3 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 245.7 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 44 | 46(97年) |
乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
140 | 120(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 26.3(91年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
237 | 182(97年) | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | 3.0(91年) | 6.4(94年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
800(80-90年平均) | 880(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 76 | 64(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
1(80-90年平均) | 2(90-98年平均) | |
初等教育純就学率(%) | 26 | 37(96年) | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 32(88-90年平均) | 55(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | 32 | 34(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
67 | 64(95年) |
中等教育 | 24 | - |
我が国は、これまで運輸分野における有償資金協力のほか、食糧、水供給分野等の基礎生活分野を中心とする無償資金協力、農業、通信・放送分野等での研修員受入等の技術協力により援助を実施している。また、同国の構造調整努力に対する支援として、86年度及び88年度に合計60億円の構造調整借款を供与したほか、98年度までに合計44億円のノン・プロジェクト無償資金協力を供与した。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助実施を検討していく方針である。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
21.57(64) 37.87(75) 14.86(81) 4.97(-) 42.35(-) |
1.70( 5) 2.30( 5) 3.43(19) 1.48(-) 1.81(-) |
23.27(69) 40.16(79) 18.30(100) 6.45(-) 44.16(-) |
10.53 10.58 - - - |
10.50(31) 10.58(21) -(-) -2.02(-) -1.86(-) |
33.77(100) 50.74(100) 18.30(100) 4.43(100) 42.29(100) |
累計 | 224.77(69) | 26.95( 8) | 251.72(77) | - | 76.05(23) | 327.76(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 103.7 フランス 52.8 フランス 48.6 |
日本 50.7 米国 24.0 米国 22.0 |
米国 28.0 日本 18.3 ドイツ 15.9 |
ドイツ 15.2 ドイツ 17.8 イタリア 14.8 |
ベルギー 5.7 カナダ 9.1 カナダ 9.8 |
50.7 18.3 4.4 |
220.4 134.7 125.5 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 65.1 CEC 61.5 CEC 105.1 |
IDA 56.8 IDA 43.0 CEC 38.1 |
IMF 22.0 UNHCR 22.4 UNHCR 26.2 |
UNHCR 19.7 AfDB 7.3 IMF 22.2 |
AfDB 7.9 UNDP 3.4 AfDB 17.6 |
18.8 2.7 13.1 |
190.2 140.3 222.2 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 |
160.10億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
110.93億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
23.07億円
研修員受入 103人 |
91 | なし | 23.59億円
地方小学校建設計画(1/2期) (8.79) |
1.19億円
研修員受入 14人 |
92 | なし | 18.92億円
地方小学校建設計画(2/2期) (7.91) |
1.30億円
研修員受入 13人 |
93 | なし | 25.49億円
コナクリ市東部地域飲料水供給計画(1/2期) (19.32) |
1.18億円
研修員受入 14人 |
94 | なし | 21.86億円
コナクリ市東部地域飲料水供給計画(2/2期-1) (0.88) |
1.88億円
研修員受入 19人 |
95 | なし | 19.23億円
コナクリ市東部地域飲料水供給計画(2/2期-2) (13.44) |
2.50億円
研修員受入 25人 |
96 | なし | 5.70億円
食糧増産援助 (3.50) |
1.07億円
研修員受入 13人 |
97 | なし | 24.98億円
ノンプロジェクト無償 (15.00) |
1.29億円
研修員受入 23人 |
98 | なし | 22.80億円
債務救済 (1.52) |
3.72億円
研修員受入 24人 |
98年度までの累計 | 160.10億円 | 273.50億円 | 37.20億円
研修員受入 248人 |
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
3. | 78年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-10.htm) | |
(参考)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
マリ中央中学・高等学校校舎拡張兼図書室建設計画 ワサヤ保健所建設計画 ディンギライ県立ウマール・タール中学兼高等学校校舎拡張計画 シセラ中学校建設計画 ガッタ・クビ小学校建設計画 シエラ・レオーネ難民児童救済計画 ココデ魚燻製婦支援計画 ファンダジ小学校建設計画 クルサ県立図書館及び保健教育センター整備計画 コナクリ盲学校資機材整備計画 クンダラ中学校兼高等学校校舎改修計画 ファタコ図書館整備計画 |