(1) 94年7月、給与の遅配等軍内部の不満を背景にジャメ中尉がクーデターを起こし、ジャワラ政権が崩壊し、同中尉を議長とする軍事暫定統治評議会が設置された。ジャメ政権は早期の民政移行期間を表明し、96年8月に改正憲法国民投票を実施、政党活動禁止措置を解除した。同年9月に大統領選挙が実施され、ジャメ大統領が選出された。97年1月には国民議会選挙が実施され、同年3月新内閣が発足し、民政移管が完了した。
(2) 外交面では、ジャワラ前政権は、穏健な非同盟主義を基調としつつ、英連邦加盟国としての西側諸国との友好的関係維持、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)内における発言力強化に努めてきた。94年7月のクーデターを機に、米国から経済協力停止等の厳しい措置を受けたが、これらの措置は現在も続いており、現政権はECOWAS諸国等近隣諸国との関係維持に努めている。なお、98年1月以降2年間、国連安保理非常任理事国に選出されている。
(3) 経済面では、GDPの約30%と労働人口の約70%を農業が占める農業国であるが、一次産品の国際価格の低迷等による経済困難に陥り、これに対し、86年から世銀・IMFの支援の下、包括的な構造調整を実施してきた。94年7月のクーデター発生後は、物資の流通が減少し、観光等の産業が打撃を受けたが、民主化の進展、治安の回復とともに観光分野を中心に雇用の拡大、流通面を含む経済も上向きの傾向が見られている。また、クーデター以降中断されてきた世銀・IMFによる構造調整支援は、98年4月に世銀が、6月にはIMFが各々再開に合意した。
(4) 我が国は、ガンビアから魚介類等を輸入し(98年輸入額919万ドル)、同国に鉄鋼、漁船、自動車等を輸出している(同輸出額667万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 875 | 1,113 | 1,147 | 1,181 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 229 | 354 | - | 407 |
一人当たり(ドル) | 260 | 320 | - | 340 | |
経常収支(百万ドル) | 21.63 | -8.19 | -47.70 | - | |
財政収支(百万ダラシ) | 23.18 | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 22.2 | 14.7 | 12.4 | 11.6 | |
対外債務残高(百万ドル) | 369.1 | 424.9 | 455.6 | 430.1 | |
為替レート(年平均、164ドル=ダラシ) | 7.883 | 9.546 | 9.789 | 10.200 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 10.0 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 47(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | 78(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | 110(97年) | |
下位20%の所得又は 消費割合(%) |
- | 4.4(92年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | 1,050(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | - | 61(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | 65(96年) | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | 50(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | 44(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
1 | 1(95年) |
中等教育 | - | - |
我が国は、94年7月のクーデター以前は、食糧増産援助、水産分野、水供給分野等における無償資金協力及び水産分野等での研修員受入等の技術協力を中心に実施し、90年度及び92年度には、ガンビアの構造調整努力を支援するため、合計6億円のノン・プロジェクト無償援助を供与した。
しかし、上記クーデターの発生を機に、94年9月、我が国はODA大綱を踏まえ、緊急的かつ人道的性格を有する援助を除き、原則として新規の援助を停止した。96年に入り一連の民主化プロセスが進展したことに鑑み、ODA大綱を踏まえ、97年3月、同国に対する援助の再開を決定した。また、98年2月には無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施した。今後は、当面、即効性が高く広く国民に裨益する食糧援助及び食糧増産援助や民主化を促進しガバナンスの構築に資する支援等につき検討していく方針である。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
10.36(90) 2.00(87) 0.09(90) 0.16(76) 0.17(29) |
1.14(10) 0.29(13) 0.01(10) 0.06(29) 0.41(71) |
11.50(100) 2.29(100) 0.10(100) 0.21(100) 0.58(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
11.50(100) 2.29(100) 0.10(100) 0.21(100) 0.58(100) |
累計 | 57.03(89) | 7.29(11) | 64.32(100) | - | -(-) | 64.32(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
2.3 0.1 0.2 |
25.1 17.2 17.4 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
-1.7 -2.9 -1.4 |
24.0 23.8 25.5 |
(3)年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | なし | 42.71億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
6.09億円
研修員受入 51人 |
91 | なし | 11.88億円
地方飲料水供給計画(1/4期) (4.45) |
0.56億円
研修員受入 6人 |
92 | なし | 8.06億円
地方飲料水供給計画(2/4期) (3.06)ノンプロジェクト援助 (3.00) 食糧増産援助 (2.00) |
0.44億円
研修員受入 2人 |
93 | なし | 12.00億円
地方飲料水供給計画(3/4期) (3.06) |
0.80億円
研修員受入 7人 |
94 | なし | なし | 0.37億円
研修員受入 1人 |
95 | なし | なし | 0.18億円 機材供与 1.9百万円 |
96 | なし | 0.29億円
緊急無償民主化支援(UNDPを通じた供与) (0.10) |
0.01億円 研修員受入 2人 |
97 | なし | 0.22億円
草の根無償(4件) (0.22) |
0.10億円
研修員受入 6人 |
98 | なし | 1.65億円
食糧増産援助 (1.50) |
0.76億円
研修員受入 7人 |
98年度までの累計 | なし | 81.81億円 | 9.33億円
研修員受入 82人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.76年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-09.htm)
(参考)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
シバノール医療設備支援計画 障害者救済補助計画 女性のための小規模事業支援計画 |