(1) 90年9月の複数政党制導入の決定に基づき、91年1月複数政党制下初の国民議会選挙が実施され、「民主主義のための運動」(MPD)が勝利を収めた。また、同年2月独立以来初めて国民直接投票による大統領選挙が実施され、MPD支持のモンテイロ候補が現職大統領を破って選出され、同年4月に新政府が発足した。極めて模範的かつ平和裡に行われた政権交替は、国際社会からも西アフリカにおける民主主義の成功例として高く評価されている。95年12月の国民議会選挙においてMPDが引き続き勝利を収め、96年2月の大統領選挙ではモンテイロ大統領が再選され、民主化は着実に進展している。
(2) 外交面では、善隣友好、非同盟を基本とする現実路線を堅持している。近年は、近隣諸国との関係強化に努めるとともに、経済協力、外国投資誘致の観点から、先進諸国との関係を強化している。
(3) 経済面では、農業・漁業が主要産業となっているが、火山性で起伏の多い地形や乾燥気候による降雨不足のため、農業生産、飲料水、電力の確保は困難な状況にある。特に農林漁業人口が8割を占めるが、食糧の自給率は低く、外国からの食糧援助に依存している。同国の外貨獲得源は本国在住人口の約1.5倍にも上る60万人の在外移民からの送金、海上・航空の交通に係る中継地収益であるが、慢性的財政赤字を補うには程遠い。現在、経済成長促進、貧困撲滅、民間部門活性化、地方分権化等を柱とする第4次国家開発計画(1997-2001)を実施している。
(4) 我が国は、カーボ・ヴェルデからマグロを輸入し(98年輸入額2万ドル)、同国に自動車、液体ポンプ等を輸出している(同輸出額440万ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 371 | 380 | 389 | 401 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 331 | 366 | 393 | 436 |
一人当たり(ドル) | 890 | 960 | 1.010 | 1090 | |
経常収支(百万ドル) | -11.94 | -38.77 | - | - | |
財政収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 5.1 | 3.1 | 2.9 | 5.5 | |
対外債務残高(百万ドル) | 135.3 | 2220.3 | 210.6 | 220.0 | |
為替レート(年平均、1米ドル=カーボ・ヴェルデ・エスクード) | 70.031 | 76.853 | 82.591 | 93.177 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千㎞2) | 4.0 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 67(97年) |
乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 28(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
- | - |
中等教育 | - | - |
我が国は、カーボ・ヴェルデが市場指向型経済の導入及び民主化に向けて努力していること、依然として開発需要の高いこと等に鑑み、累次の食糧援助、食糧増産援助をはじめとする無償資金協力及び研修員受入を中心とする技術協力により、水産、人的資源、通信等の分野に対して協力を実施している。また、地下水開発にかかる開発調査を実施中である。今後とも、同国の民主化、経済改革努力を支援するため、基礎生活分野を中心に援助実施を検討していく方針である。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
2.56(86) 2.02(90) 3.34(92) 1.98(84) 1.75(63) |
0.39(13) 0.23(10) 0.30( 8) 0.36(15) 1.04(37) |
2.96(100) 2.25(100) 3.64(100) 2.35(100) 2.79(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
2.96(100) 2.25(100) 3.64(100) 2.35(100) 2.79(100) |
累計 | 51.33(88) | 6.97(12) | 58.35(100) | - | -(-) | 58.35(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
ポルトガル 13.1 ポルトガル 15.1 ポルトガル 12.4 |
ドイツ 10.7 ドイツ 12.3 ドイツ 11.1 |
オランダ 10.4 オランダ 12.1 オランダ 9.4 |
フランス 8.6 米国 7.0 米国 8.0 |
オーストリア 0.4 ルクセンブルグ 6.0 ルクセンブルグ 7.1 |
2.3 3.6 2.4 |
76.9 77.5 68.0 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 10.9 CEC 16.0 CEC 22.1 |
WFP 9.2 IDA 7.5 IDA 8.2 |
AfDF 6.1 WFP 6.9 AFDF 3.8 |
IDA
5.9 AfDB 5.5 WFP 3.0 |
UNTA 2.0 UNDP 1.1 UNTA 1.4 |
5.8 2.5 3.7 |
39.9 39.6 42.0 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | なし | 40.65億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
4.27億円
研修員受入 14人 |
91 | なし | 9.80億円
零細漁業開発計画 (6.80) |
0.83億円
研修員受入 1人 |
92 | なし | 8.79億円
島嶼間輸送船供与計画 (7.79) |
0.87億円
研修員受入 3人 |
93 | なし | 3.00億円
食糧援助 (1.00) |
0.54億円
研修員受入 6人 |
94 | なし | 2.50億円
食糧援助 (1.00) |
0.26億円 研修員受入 6人 |
95 | なし | 3.50億円
食糧援助 (1.50) |
0.29億円
研修員受入 7人 |
96 | なし | 3.55億円
食糧増産援助 (2.00) |
0.17億円 研修員受入 5人 |
97 | なし | 2.96億円
草の根無償 (3件)(0.26) |
0.92億円
研修員受入 9人 |
98 | なし | 8.50億円
ミンデロ漁港建設計画(1/2期) (7.05) |
2.02億円
研修員受入 9人 |
98年度 までの累計 | なし | 83.25億円 | 0.18億円
研修員受入 60人 |
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
3. | 78年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-06.htm) |
|
(参考1)98年度実施開発調査案件
案件名 |
サンチャゴ島地下水開発計画調査(第2年次) |
(参考2)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
サン・ビセンテ島給水車供与計画 マイオ島診療所医療機器供与計画 障害者異動車両供与計画 アシャンダ・ファゼンダ小学校教室建設計画 カーボ・ヴェルデNGO強化計画 |