(1) 91年5月にエリトリア人民解放戦線(EPLF)がエティオピアとの戦闘に勝利し、エリトリア臨時政府を樹立し、93年4月の国連監視下での住民投票の結果、同年5月にエティオピアから正式に独立した。イサイアス大統領を首班とする暫定政府は、民主的憲法の制定に着手し、97年5月、約3年間にわたる国民的議論を経て基本的人権及び複数政党制を保証する民主的憲法が制憲議会において採択された。
しかし、98年5月には、エティオピアとの間で国境画定を巡る武力衝突が生じ、99年2月には国境沿いに大規模な戦闘が再開した。両国はアフリカ統一機構(OAU)が提示した枠組み合意実施方策を受諾したが今後の具体的な和平への取り組みへの対応を含めその動向を注視していく必要がある。
(2) 長年にわたる戦闘状態により崩壊状態にある経済・社会インフラの復旧・整備、経済の再建が最大の課題である。繰り返し生ずる旱魃等により食糧不足が深刻化しており、食糧の70%を輸入または援助に頼っている。現在、世銀との協調の下、復興再建計画(RRPE)に基づき、農業、工業生産部門、社会インフラ整備、人的資源の開発を重点的に進めている。
(3)我が国は、93年9月に外交関係を開設し、エリトリアから胡椒、羊皮等を輸入し(98年輸入額199万ドル)、同国に車両、機械、部品等を輸出している(同輸出額1,489万ドル)。
我が国は、同国の民主化、経済改革努力、内戦後の国家再建への努力を支援するため、97年6月には無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施した。同政策協議では、厳しい状況にある食糧確保等の基礎生活分野、戦闘により破壊された港湾・道路等インフラの復旧・整備が開発の優先分野であることが確認された。
現在、エティオピアとの国境紛争は、前述の通り解決へ向けた動きが見られる一方、援助の実施に際し、安全面、紛争そのものに与える影響等の動向を注視していく必要がある。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | - | - | 3,698 | 3,773 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | - | - | - | 852 |
一人当たり(ドル) | - | - | - | 230 | |
経常収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
財政収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | - | 0.1 | 0.0 | 0.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | - | 36.7 | 44.3 | 75.5 | |
為替レート(164ドル=ナクファ) | - | - | - | - | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 101.0 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 51(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | 62(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | 95(97年) | ||
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | 1,000(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | - | - | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | 8(90-98年平均) | |
初等教育純就学率(%) | - | 30(96年) | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | 7(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | 45(96年) | 森林面積(1000平方キロメートル) | - | 3(95年) |
中等教育 | - | 42(96年) |
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
-(-) -(-) 0.92(46) 10.75(87) 14.16(91) |
0.06(100) 0.66(100) 1.09(54) 1.65(13) 1.39( 9) |
0.06(100) 0.66(100) 2.01(100) 12.41(100) 15.55(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
0.06(100) 0.66(100) 2.01(100) 12.41(100) 15.55(100) |
累計 | 25.83(84) | 4.85(16) | 30.69(100) | - | -(-) | 30.69(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
ドイツ 22.1 イタリア 28.1 イタリア 12.7 |
イタリア 16.4 ドイツ 22.3 日本 12.4 |
ノールウェー 14.1 米国 15.0 米国 12.0 |
デンマーク 6.9 ノールウェー 13.4 ドイツ 10.2 |
スウェーデン 5.4 オランダ 11.9 ノールウェー 8.8 |
0.7 2.0 12.4 |
94.6 124.8 80.9 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 24.8 UNDP 8.7 UNDP 7.7 |
WFP 8.2 UNICEF 8.7 CEC 7.5 |
UNICEF 5.7 CEC 8.0 UNICEF 6.3 |
UNDP 4.4 UNFPA 1.1 IDA 3.8 |
UNHCR 4.0 UNTA 0.8 UNTA 1.4 |
3.1 1.3 3.0 |
50.2 29.5 29.5 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
93 | なし | 1.00億円 国内被災民向け食糧援助(WFP経由) (1.00) |
0.02億円 研修員受入 1人 |
94 | なし | 2.00億円 国内被災民向け食糧援助(WFP経由) (2.00) |
0.18億円
研修員受入 5人 |
95 | なし | 10.08億円
マッサワ港機材整備計画 (2.05) |
1.05億円
研修員受入 13人 |
96 | なし | 12.35億円
南東部地域漁業開発計画(2/2) (9.35) |
0.89億円
研修員受入 4人 |
97 | なし | 12.39億円 道路建設機材整備計画 (12.39) |
2.75億円
研修員受入 7人 |
98 | なし | なし | 0.96億円
研修員受入 8人 |
98年度までの累計 | なし | 37.82億円 | 5.84億円
研修員受入 38人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) |
(参考) 98年度実施開発調査案件
案件名 |
地方都市地下水開発計画調査(第2年次) |