(1) 86年1月に政権に就いたムセヴェニ大統領は、部族間対立の融和、人権尊重を唱え、ほぼ全土の治安回復に成功した。95年10月新憲法の制定、96年5月の大統領選挙、同年6月の国会議員選挙が実施される等、民主化努力が続けられている。
(2) 外交面では、善隣友好、非同盟主義をとり、アフリカ統一機構(OAU)及び英連邦諸国との連帯を図るとともに、先進諸国との関係強化にも積極的である。また、東アフリカ協力(EAC)、東・南部アフリカ共同体(COMESA)といった地域協力推進にも積極的な取組みを見せ、ムセヴェニ大統領はその強力なリーダーシップと国際場裡での活発な発言等によりアフリカ新世代の指導者の中でも注目される存在である。他方、周辺諸国特にスーダン及びコンゴー民主共和国(旧ザイール)との関係悪化が懸念されている。
(3) 経済面では、農業部門がGDPの約50%、輸出の殆ど及び労働人口の約90%を占めている。ムセヴェニ大統領就任後、87年に世銀・IMFの支援を得て「復興開発計画」を策定して構造調整を推進し、年率約7%の成長を達成している。現在は、経済成長と貧困緩和、マクロ経済の安定、輸出障壁の除去及び関税改革を内容とする中期開発戦略(96~98年)等の開発計画に基づき、インフレ率、財政赤字の対GNP比削減等の成果を上げ、マクロ経済は安定している。今後は概ね達成された自由化経済の枠組みの中で、民間投資等の一般経済活動を如何に活発化させていくかが課題である。
(4) 我が国は、ウガンダからコーヒー等を輸入し(98年輸入額715万ドル)、同国に自動車等を輸出している(同輸出額3,693万ドル)。94年9月には、ムセヴェニ大統領が来日し、我が国からは99年8月に鈴木官房副長官が訪問した。先方在京大使館が94年9月に再開され、97年3月には我が方の在ウガンダ大使館が開設された。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 17,358 | 19,168 | 19,741 | 20,317 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 3,814 | 4,668 | 5,826 | 6,608 |
一人当たり(ドル) | 220 | 240 | 300 | 330 | |
経常収支(百万ドル) | -263.3 | -338.9 | -252.3 | -3987.8 | |
財政収支(百万ウガンダ・シリング) | -62,394 | -131,554 | -112,872 | -120,191 | |
消費者物価指数(90年=100) | 100.0 | 260.5 | 273.1 | - | |
DSR(%) | 59.9 | 20.0 | 20.0 | 22.1 | |
対外債務残高(百万ドル) | 2,583 | 3,573 | 3,674 | 3,708 | |
為替レート(年平均、164ドル=ウガンダ・シリング) | 428.9 | 968.9 | 1,046.1 | 1,083.0 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 199.7 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 52 | 41(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
99 | 99(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | 69.3(89-90年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
164 | 162(97年) | ||
下位20%の所得又は消費割合(%) | 8.5(89-90年) | 6.6(92-93年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
300(80-90年平均) | 550(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 52 | 38(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
-5(80-90年平均) | 15(90-98年平均) | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 21(88-90年平均) | 42(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | 46(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
63 | 61(95年) |
中等教育 | - | 18(96年) |
我が国は、ウガンダが、ムセヴェニ政権の下民主化に向けて努力していること、87年以来世銀・IMFと協調し構造調整政策を積極的に推進していること、現在は政治的・経済的安定を回復し開発需要も高いこと等に鑑み、積極的に援助を実施している。具体的には、食糧増産援助、教育、電力、道路整備分野に対する無償資金協力及び人的資源、行政分野等における研修員受入、農業分野等における開発調査を中心とする技術協力を実施している。また、同国の構造調整努力を支援するため、93年度に62億円の円借款を供与したほか、98年度までに合計54億円のノン・プロジェクト無償援助を供与した。
97年7月、経済協力政策協議を行い、ウガンダの開発計画及び開発ニーズ、我が国のこれまでの協力実績を踏まえ、今後の援助の重点分野を基礎インフラ、人的資源開発、基礎生活支援及び農業開発とすることで合意した。
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
30.32(62) 17.16(41) 20.02(74) 19.77(74) 16.88(71) |
4.97(10) 6.75(16) 6.88(26) 7.10(26) 7.03(29) |
35.29(72) 23.91(57) 26.90(100) 26.86(100) 23.91(100) |
13.50 17.89 - - - |
13.43(28) 17.89(43) -(-) -(-) -(-) |
48.73(100) 41.80(100) 26.90(100) 26.86(100) 23.91(100) |
累計 | 176.62(63) | 44.69(16) | 221.31(79) | 63.35 | 58.13(21) | 279.45(100) |
(注) ( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
英国 67.7 英国 69.4 英国 78.2 |
デンマーク 60.1 デンマーク 68.0 イタリア 73.4 |
米国 49.0 ドイツ 40.4 デンマーク 58.4 |
ドイツ 47.2 スウェーデン 32.7 ドイツ 38.6 |
日本 41.8 オランダ 32.6 米国 36.0 |
41.8 26.9 26.9 |
423.1 369.9 438.8 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
IDA 152.0 IDA 115.7 IDA 207.3 |
CEC 112.9 CEC 57.5 CEC 54.0 |
IMF 27.3 AfDF 35.4 AfDE 34.6 |
AfDF 26.6 UNHCR 21.1 WFP 31.3 |
WFP 23.6 UNDP 19.0 UNHCR 22.6 |
56.6 52.7 48.4 |
398.9 301.4 398.3 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | 10.08億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
89.11億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
14.63億円
研修員受入 226人 |
91 | なし | 18.01億円
マケレレ大学基礎科学教育施設整備計画(2/2期) (1.39) |
0.84億円
研修員受入 18人 |
92 | なし | 15.36億円
カンパラ配電網整備計画(2/2期) (3.20) |
1.57億円
研修員受入 23人 |
93 | 62.47億円 構造調整計画 (62.47) |
24.26億円
首都圏配電網整備計画(1/2期) (14.36) |
6.05億円
研修員受入 29人 |
94 | なし | 7.49億円
首都圏配電網整備計画(国債2/2期-1) (2.61) |
4.54億円
研修員受入 35人 |
95 | なし | 34.26億円
首都圏配電網整備計画(国債2/2期-2) (7.05) |
6.84億円
研修員受入 51人 |
96 | なし | 21.96億円
建設機械修理工場整備計画(国債2/2) (3.79) |
9.30億円
研修員受入 53人 |
97 | なし | 25.56億円
ナカワ職業訓練校改善計画(国債2/2期) (4.88) |
8.09億円
研修員受入 56人 |
98 | なし | 20.63億円
カンパラ市内幹線道路改善計画 (7.36) |
6.56億円
研修員受入 60人 |
98年度までの累計 | 72.55億円 | 256.64億円 | 58.41億円
研修員受入 551人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。) 2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。 3.66年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-02.htm) 4.ICRC経由でアフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン等11か国への供与にて合計約1.7億円。 |
(参考1) 98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案件名 | 協力期間 |
職業訓練センター ナカワ職業訓練校 |
68.6~74.6 97.5~02.5 |
(参考2) 98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
ムコノ県小学校施設供与計画 クミ県カチョチ小学校建設計画 |