(1) 75年のポルトガルからの独立後、政府(MPLA:アンゴラ解放人民運動)、UNITA(アンゴラ全面独立民族同盟)及びFNLA(アンゴラ解放民族戦線)の三者間で交戦状態が続き、75年FNLAがUNITAに吸収された後は、ソ連及びキューバの支援を受けた政府側と南アフリカの支援を受けたUNITAとの間の内戦が拡大した。91年5月には和平協定の調印に至り、同協定に基づき92年9月国連の監視下で大統領選挙及び議会選挙が行われたが、選挙結果への不満を理由にUNITAが武力行使に出て内戦が再開した。その後、94年11月のルサカ協定に基づき、停戦に至り、97年4月には、統一国民和解政府が成立し、同年7月より国連アンゴラ監視団(MONUA)が派遣された。しかし、UNITAの和平プロセスの義務不履行により和平プロセスの進行が停滞したため、98年12月には政府側がUNITA本拠地を攻撃し、内戦が再開された。
(2) 主要産業は農業及び鉱業であり、そのうち石油で外貨収入の約90%、GDPの約45%を賄っている。インフラ・生産施設管理能力の低下、内戦による輸送施設等の破壊もあり、石油を除く全ての経済部門に影響が生じている中で、約110億ドルに上る対外債務の返済、財政赤字の削減等の課題を抱えている。また、内戦後の復興及び和平プロセスの実施に膨大な費用を要することも経済情勢に影を落としている。
(3) 我が国は、アンゴラから原油等を輸入し(98年輸入額1,997万ドル)、同国に自動車、機械等を輸出している(同輸出額4,442万ドル)。95年4月には、モコ首相が来日した。
我が国は、アンゴラの長年にわたる内戦状態のため、我が国の協力は、国際機関を通じた緊急・人道的援助のほか、草の根無償資金協力、研修員受入等の協力に限られてきた。しかし、94年11月のルサカ協定に伴い、和平到来の気運が高まったことを受け、我が国は、95年6月、無償資金協力及び技術協力に関する政策協議を実施した。同協議では、食糧の確保等の人道的援助のほか、内戦後の復興のための基礎的生活分野(BHN分野)及び、基礎インフラの復旧・整備等につき議論された。これを踏まえ、食糧援助、食糧増産援助のほか、同国の和平プロセス、復興努力を支援すべくBHN分野、インフラ分野の無償資金協力や、研修員受入、開発調査等の技術協力を実施していた。しかし、上述のような近年の内戦の再燃に伴い、アンゴラの実施体制や治安状況等に鑑み、限定的な援助を実施しているに留まっている。また、98年10月には、アンゴラ難民及び国内避難民等を支援すべくUNHCR、WFP等を通した約353万ドルの緊急無償資金協力を供与した。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 10,011 | 10,772 | 11,100 | 11,659 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | - | 4,422 | 2,972 | 3,012 |
一人当たり(ドル) | - | 410 | 270 | 260 | |
経常収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
財政収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | 8.1 | 12.0 | 15.4 | 15.9 | |
対外債務残高(百万ドル) | 8,594 | 11,515 | 10,541 | 10,160 | |
為替レート(164ドル=クワンザ) | - | - | - | - | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 1246.7 |
(参考2) 主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 46 | 47(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
173 | 125(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
292 | 209(97年) | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | 1,500(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 58 | 58x(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
1(80-90年平均) | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 35(88-90年平均) | 32(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
231 | 222(95年) |
中等教育 | - | - |
(1) 我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
0.05(-) -(-) 3.77(73) 10.72(89) 14.11(79) |
0.07(-) 0.12(100) 1.41(27) 1.26(11) 3.74(21) |
0.12(-) 0.12(100) 5.17(100) 11.98(100) 17.85(100) |
- - - - - |
-0.01(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
0.11(100) 0.12(100) -5.17(100) (-)11.98(100) 17.85(100) |
累計 | 31.61(-) | 7.07(-) | 38.67(-) | 1.85 | -0.32(-) | 38.35(100) |
(注) ( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 35.1 スペイン 41.8 スペイン 30.9 |
米国 31.0 スウェーデン 36.2 ポルトガル 29.4 |
ノールウェー 28.8 ポルトガル 33.5 スウェーデン 27.8 |
スウェーデン 26.5 オランダ 30.1 ノールウェー 24.5 |
ポルトガル 24.0 ドイツ 25.3 米国 22.0 |
0.1 5.2 12.0 |
241.7 294.4 227.0 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 71.4 CEC 94.3 CEC 70.2 |
WFP 42.4 WFP 66.6 WFP 59.7 |
IDA 30.3 IDA 37.8 IDA 27.9 |
UNICEF 20.1 UNICEF 15.9 UNHCR 16.0 |
UNHCR 4.6 UNHCR 14.2 UNDP 15.5 |
7.9 20.8 19.3 |
176.7 249.7 208.6 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 | なし | 3.09億円 (内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
|
91 | なし | 2.85億円
栄養改善計画 (2.57) |
0.05億円
研修員受入 2人 |
92 | なし | 1.54億円
食糧援助 (1.00) |
0.14億円 研修員受入 4人 |
93 | なし | 5.97億円
国内被災民向け食糧援助(WFP経由) (2.00) |
0.02億円 研修員受入 3人 |
94 | なし | 6.00億円
国内被災民向け食糧援助(WFP経由) (3.00) |
0.06億円 研修員受入 6人 |
95 | なし | 11.48億円
食糧援助 (4.00) |
0.65億円
研修員受入 6人 |
96 | なし | 11.76億円
食糧援助 (7.00) |
1.70億円
研修員受入 3人 |
97 | なし | 22.83億円
ルアンダ電話網改善計画(1/2期) (8.54) |
3.08億円
研修員受入 9人 |
98 | なし | 25.26億円
ルアンダ電話網改善計画(2/2期) (9.90) |
4.71億円
研修員受入 9人 |
98年度までの累計 | なし | 90.78億円 | 10.43億円
研修員受入 46人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.88年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/905-01.htm)
4.ICRC経由でアフガニスタン、アンゴラ、アゼルバイジャン等11か国への供与にて合計約1.7億円。
(参考) 98年度実施開発調査案件
案件名 |
国家開発・改善計画のための総合地理データベース構築調査(第2年次) 国家開発・改善計画のための総合地理データベース構築調査技術評価審査(第2年次) |