(1) アフリカの地理的特色
アフリカ(ここではサハラ砂漠以南のアフリカ地域を指す:但しスーダンを除く。以下同様)は、47ヶ国の開発途上国により構成される。同地域は、極めて多様な気候状況の中に分布しているが、サハラ砂漠、カラハリ砂漠のような乾燥地帯や高温多湿な熱帯雨林地帯が比較的多くの部分を占めているのが特徴である。
(2) アフリカの政治、経済及び社会状況
政治面では、従来国家としての統一性を維持する観点から指導者の出身民族グループを中心とした一党独裁体制が少なからず見られていたが、90年代に入り、多くの国において、政権側からの自発的な形であるいは国民からの要求に応ずる形で、複数政党制への移行及び複数政党制の下での自由選挙の実施等、民主化の動きが主流となってきた。
これに伴い、長年大統領の地位にあった指導者が政権の座から退き、あるいは国民の要求に大幅に譲歩せざるをえない事態が生じている。
経済面では、80年代以降、それまでの生産部門の低迷、公共セクターの肥大化、一次産品の国際市況の低迷等による経済の停滞を克服する観点から、市場経済原理導入を主眼とする世銀・IMF主導型の構造調整政策が多くの国で開始された。具体的には、緊縮財政とマネーサプライの抑制、公共料金や補助金の見直し、各種規制の緩和、為替の切り下げ、公企業の民営化、行財政改革の実行等の取組みがほとんどの国で実施されている。この結果、紆余曲折を経ながらも改革の成果を挙げた国々として、ウガンダ、ガーナ、象牙海岸等がある。
他方、構造調整政策の実施に伴い、緊縮財政政策、公務員の削減による失業者の増加、社会サービスの低下等から、特に社会的弱者に対するしわ寄せ(いわゆる構造調整の社会的側面)が問題となっていることも事実である。更に、厳しい自然環境に加え、急激な人口増加と貧困等を背景に、経済活動等のための森林伐採と砂漠化が進行し、土壤の生産力低下が一層貧困に拍車をかけるといった悪循環が生じる等アフリカの経済社会状況は依然厳しい。
同地域では、国連の認定するLLDC(後発開発途上国)48ヶ国(97年)のうち32ヶ国が、また、世銀の基準(98年)による低所得国63ヶ国のうち39ヶ国が存在する。97年時点で一人当たりGNPが1,000ドルを超える国は9ヶ国(セイシェル、ガボン、モーリシャス、南アフリカ共和国、ナミビア、ボツワナ、スワジランド、カーボ・ヴェルデ、赤道ギニア)にとどまっている。
(3) 我が国との関係
我が国とアフリカとの間の貿易投資関係は全体として依然停滞傾向にある。98年の我が国の対サハラ以南アフリカ諸国輸出総額は42億5,189万ドル(前年比10.6%増)、輸入総額は34億4,720万ドル(前年比17.3%減)であり、我が国の総輸出額及び総輸入額のそれぞれ1.1%及び1.2%にすぎない。98年度の我が国の対アフリカ直接投資は前年比39.8%増の569億円であるが、対外直接投資の1.1%にとどまっている。
アフリカ地域
図-1 アフリカ地域
他方、我が国は、アフリカの諸問題解決に貢献することは世界の平和と安定のためにグローバルな責任を有する我が国の責務であるとの観点から、アフリカ諸国の経済的困難の克服に向けての自助努力を支援するため、経済協力の拡大、人的交流と相互理解の増進に加え、後述する二回にわたる「アフリカ開発会議」の開催等、内外世論の喚起等に努力している。更に、開発と密接に関係し、開発に深刻な影響を及ぼす紛争に関しても、アフリカ諸国自身の紛争予防・管理・解決能力の強化のための協力に努めている。
アフリカ地域
表-1 アフリカ諸国の人口、一人当たりGNP及び我が国との関係
国名 | 人口 | 一人当たり GNP |
対日輸出 | 対日輸入 | 在留邦人 | 在日外国人 |
1997年 (千人) |
1997年 |
1998年 (百万円) |
98.10.1 現在(人) |
98.12.31 現在(人) |
||
アンゴラ ウガンダ エティオピア エリトリア ガーナ カーボ・ヴェルデ ガボン カメルーン ガンビア ギニア ギニア・ビサオ ケニア コモロ コンゴー共和国 コンゴー民主共和国 サントメ・プリンシペ ザンビア シェラ・レオーネ ジブティ ジンバブエ スワジランド セイシェル 赤道ギニア セネガル 象牙海岸 ソマリア タンザニア チャード 中央アフリカ トーゴー ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナ・ファソ ブルンディ ベナン ボツワナ マダガスカル マラウイ マリ 南アフリカ共和国 モザンビーク モーリシァス モーリタニア リベリア ルワンダ レソト |
11,659 20,317 59,750 3,773 17,985 401 1,153 13,936 1,181 6,920 1,137 28,612 518 2,708 46,709 138 9,443 4,748 636 11,468 958 78 420 8,790 14,211 8,775 31,316 7,153 3,418 4,345 117,897 1,623 9,799 10,474 6,435 5,796 1,533 14,148 10,276 10,290 40,604 16,630 1,148 2,461 2,886 7,895 2,014 |
260 330 110 230 390 1,090 4,120 620 340 550 230 340 400 670 110 290 370 160 - 720 1,520 6,910 1,060 540 710 - 210 230 320 340 280 2,110 200 250 140 380 3,310 250 210 260 3,210 140 3,870 440 - 210 680 |
2,438 961 10,612 276 9,661 2 6,193 1,505 1,173 833 119 3,186 6 469 4,992 - 15,170 127 - 19,606 1,281 755 4,659 899 1,860 1 8,816 402 79 8 11,087 2,425 7 618 23 104 186 4,065 5,832 96 304,289 2,439 3,805 13,168 4 87 1 |
5,724 4,813 8,558 1,995 10,484 558 4,574 3,111 870 2,630 200 25,884 486 755 1,252 168 4,271 443 2,466 12,041 339 1,839 445 3,601 6,608 76 10,135 149 646 3,149 29,981 787 573 981 234 1,985 344 4,333 3,747 1,362 232,047 3,031 9,975 2,286 118,349 1,525 531 |
7 84 112 0 253 5 27 34 7 15 0 810 0 4 0 2 225 0 26 236 10 7 0 153 195 0 301 10 25 4 100 20 71 26 1 24 45 127 136 25 2,747 73 31 17 1 16 0 |
3 309 235 3 1,438 0 13 111 15 147 2 265 0 19 129 0 94 37 6 36 0 9 0 111 68 3 196 7 7 18 1,456 1 5 4 3 12 3 40 17 89 265 4 66 7 10 17 51 |
(注)1.人口、一人当たりGNPは世銀アトラスによる。
2.輸出入統計は、日本側通関統計(対日輸出はCIF価額、対日輸入はFOB価額)による。
3.在留邦人数は外務省調べ、在日外国人は法務省調べ。
表-2 アフリカ諸国の累積債務状況
(1) 累積公的債務残高の推移
年/地域 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 |
アフリカ | 153.811 (11.9) |
165.383 (11.9) |
174.183 (12.0) |
169.842 (11.8) |
163.273 (11.5) |
途上国計 | 1,288,435 | 1,392,494 | 1,454,229 | 1,443,719 | 1,420,061 |
(注)( )内は、途上国計に占める割合(%)。
(2) 債務返済比率(DSR)の推移(%)
年/地域 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 |
アフリカ | 15.1 | 14.5 | 15.6 | 14.2 | 12.8 |
途上国計 | 17.5 | 16.9 | 16.8 | 17.2 | 17.0 |
(注)1.世銀「Global Development Finances 1999」による。
2.アフリカにはスーダンを含む。
(1) 我が国は、特に70年代後半から対アフリカ援助の拡充に努めており、79年には我が国二国間ODA総額の約10%を占めるに至った。その後、有償資金協力及び無償資金協力双方を通じた構造調整支援の大幅増により、89年には二国間ODA総額の15.3%に相当する10億3,964万ドルに達したが、多くの国における累積債務問題の深刻化に伴う有償資金協力の減少、一部地域での情勢の不安定化に伴う援助停止等のため、90年以降二国間ODA総額に占める割合は概ね10%前後で推移し、98年には9億5,029万ドルで11.0%となった。
我が国とアフリカ諸国の関係は、一部の国を除き依然としてあまり緊密とは言えないが、人道的観点からの援助ニーズは広く存在しており、我が国は全てのアフリカ諸国に対し緊急援助を含む援助実績を有している。
同時に、我が国は、国際機関のノウハウ、ネットワークの活用という観点から、アフリカ開発銀行(AfDB)及びアフリカ開発基金(AfDF)等を通じた援助を実施しており、我が国のAfDB及びAfDFに対する出資及び拠出は域外加盟国中それぞれ第2位及び第1位である。また、アフリカのための特別支援プログラム(SPA)における世銀等との協調融資、世銀・IMFの支援を受けた構造調整政策の実施を前提とした経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)という形で国際機関との協調を図りつつアフリカ支援を行っている。
(2) 我が国の対アフリカ二国間ODAの特徴は無償資金協力の比重が高いことであり、98年支出純額では、その66.9%が無償資金協力である。(我が国二国間ODA全体に占める無償資金協力のシェアは25.2%。)一方、我が国二国間ODA全体の42.3%を占める有償資金協力の比重は、対アフリカ援助においては12.6%に留まっている。これは、近年の累積債務問題の中でアフリカにおいて債務負担能力の問題から円借款を供与しうる国がそもそも少なくなったこと、国連貿易開発会議(UNCTAD)の貿易開発理事会(TDB)決議を受けた対LLDC援助の原則無償化という基本的方針に基づき多くのアフリカ諸国を含むLLDCに対し、積極的に無償資金協力で対応してきたこと等によるものである。
(3) 98年度の対アフリカ無償資金協力実績は、交換公文ベースで総額約726.39億円(アフリカ難民向け援助を含む)と97年度の約835.61億円(同)に比べて減額している。
対アフリカの無償資金協力の特徴としては、食糧援助、食糧増産援助を含む基礎生活分野への援助の比重が大きいことが挙げられる。また、これまで基本的に円借款で対応してきた道路等の基礎インフラ整備についても、LLDCを中心とする開発途上国の財政事情等を考慮し、個別の案件に応じて無償資金協力により対応している。
草の根無償資金協力は、開発途上国の地方公共団体、途上国において活動しているNGO等からの比較的小規模なプロジェクト要請に対し、迅速かつ的確に対応することを可能としている。98年度は28ヶ国のアフリカ諸国に対し、252件で合計12.19億円の援助を実施し、金額ベースでは全プロジェクトに占めるアフリカ諸国の割合は約21.4%と比較的大きい。
また、経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)については、98年度は8ヶ国に対し合計82億円を供与している。このうち、98年度より、ノン・プロジェクト無償資金協力の見返り資金(注:被援助国政府が供与された資金を国内輸入業者に売却する際、あるいは輸入した資機材を国内の最終需要者に売却または貸与等を行う際に被援助国政府の手元に入る現地通貨)を利用して、開発途上国が策定している環境保全や社会開発分野における開発プログラムを支援するための環境・社会開発セクター・プログラム無償資金協力を開始し、98年度はエティオピア、セネガル及びジンバブエの3ヶ国に対し合計14億円を供与している。
技術協力については、98年度は43ヶ国に協力実績があり、保健・医療、農業等の分野での研修員受入、保健・医療、人造り等の分野での専門家派遣、農業、社会基盤等の分野での調査団派遣、人造り、工業等の分野での青年海外協力隊派遣、農業、水供給等の分野での開発調査等を実施している。特に、青年海外協力隊派遣におけるアフリカの比重は非常に高く、98年度までの累計人数の31.8%を占めているのが大きな特徴である。有償資金協力については、債務返済能力に問題のある国が多いことから供与対象国が少ないが、98年度は債務繰延べを含め5ヶ国に対し合計422.94億円を供与しており、97年度(7ヶ国に対し243.16億円)に比べ増加している。
(4) 難民援助
アフリカにおける難民問題については、人道的考慮から、また地域の平和と安定の維持の観点からもその解決に努める必要があり、我が国は各国の国内被災民向け援助(各国実績参照)のほか、WFPを経由した食糧援助、UNHCR、UNICEF等への資金拠出等(表-7参照)を積極的に行っている。98年度は、アンゴラ、シエラレオーネ、リベリア及びルワンダの国内被災民などに対し、UNHCR、UNICEF等へ合計1,084万ドルの緊急無償資金協力を供与した。
表-3 アフリカ地域に対する我が国二国間ODA実績
暦年 | 1988 | 1989 | 1990 | 1991 | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 累計 | ||
ODA | 贈与 | 無償資金協力 | 525.96 (29.36) |
518.59 (35.5) |
423.23 (33.3) |
480.13 (30.8) |
552.39 (31.5) |
575.83 (31.9) |
702.27 (28.5) |
817.44 (29.2) |
659.59 (27.5) |
519.87 (27.5) |
636.38 (25.8) |
7,591.85 |
技術協力 | 110.41 (7.8) |
113.46 (7.7) |
124.89 (7.6) |
131.27 (7.0) |
136.27 (6.4) |
186.77 (7.2) |
210.34 (7.0) |
245.21 (7.1) |
221.26 (7.0) |
209.11 (6.9) |
193.97 (6.97) |
2,389.90 | ||
贈与計 | 636.37 (21.9) |
632.05 (20.8) |
548.12 (18.2) |
611.40 (18.0) |
688.66 (17.8) |
762.60 (16.5) |
912.61 (16.8) |
1,062.65 (16.5) |
880.84 (15.8) |
728.98 (14.5) |
830.35 (16.78) |
9,981.75 | ||
政府貸付等 | 247.55 (7.0) |
407.59 (10.9) |
243.63 (6.2) |
298.37 (5.4) |
170.15 (3.7) |
203.50 (5.7) |
231.60 (5.4) |
270.28 (6.6) |
186.40 (6.7) |
73.84 (4.7) |
119.93 (3.28) |
3,663.19 | ||
政府開発援助計 (ODA計) |
883.93 (13.8) |
1,039.64 (15.3) |
791.75 (11.4) |
909.77 (10.3) |
858.81 (10.1) |
966.10 (11.8) |
1,144.22 (11.8) |
1,332.93 (12.6) |
1,067.24 (12.8) |
802.82 (12.1) |
950.29 (11.04) |
13,644.95 |
(注)( )内は各形態別の全世界合計(東欧を含む)に占めるアフリカ地域の割合(%)。
図-2アフリカ地域及び全世界に対する我が国二国間ODAの形態別構成(98年、支出純額)
表-4アフリカ地域に対する我が国無償資金協力の分野別実績
年度 | 一般 | 水産 | 緊急 | 文化 | 小計 | 食糧 (KR) |
食糧増産 (2KR) |
総計 |
96 | 451.04 (23.3) |
15.30 (14.3) |
37.14 (36.4) |
3.21 (12.8) |
506.69 (23.4) |
73.00 (54.7) |
121.50 (40.2) |
701.19 (27.0) |
97 | 582.57 (30.0) |
53.40 (50.1) |
7.22 (5.7) |
2.72 (10.9) |
645.91 (29.4) |
84.00 (55.0) |
105.70 (38.4) |
835.61 (31.8) |
98 | 524.78 (27.9) |
35.27 (40.1) |
16.63 (8.1) |
2.10 (9.2) |
578.78 (26.3) |
62.40 (43.7) |
82.40 (31.6) |
723.58 (27.8) |
(注)1.「一般」には、「一般プロジェクト無償」、「経済構造改善努力支援(ノン・プロジェクト)無償」、「債務救済」及び「草の根無償」が含まれる。
2.( )は、金額の全世界合計に占めるシェア(%)。
年度 | 医療・保健 | 教育・研究 | 民生 環境改善 |
農林業 | 通信・運輸 | 債務救済 | その他 | 合計 |
96 | 53.42 (22.9) |
56.80 (28.9) |
119.19 (34.4) |
14.77 (35.1) |
105.60 (26.3) |
15.57 (5.1) |
85.69 (24.3) |
451.04 (23.3) |
97 | 33.98 (15.4) |
109.54 (46.9) |
158.01 (38.9) |
15.78 (24.5) |
68.35 (17.6) |
33.31 (11.9) |
163.60 (46.9) |
582.57 (30.0) |
98 | 39.64 (16.5) |
79.08 (43.3) |
77.57 (31.3) |
29.85 (41.3) |
111.82 (30.4) |
60.71 (18.0) |
126.11 (29.0) |
524.78 (27.9) |
(注)1.「一般」には、「経済構造改善努力支援(ノン・プロジェクト)無償」及び「草の根無償」が含まれる。
2.( )は、金額の全世界合計に占めるシェア(%)。
表-5 アフリカ地域に対する我が国技術協力の年度別・形態別実績
年度 | 経費総額 (億円) |
研修員受入 (人) |
専門家派遣 (人) |
調査団派遣 (人) |
協力隊派遣 (人) |
94 | 196.10 (15.1) |
1,043 (11.1) |
222 (7.4) |
1,042 (13.5) |
296 (26.5) |
95 | 204.63 (15.1) |
1,170 (11.2) |
242 (7.8) |
1,126 (13.1) |
339 (28.2) |
96 | 222.73 (15.4) |
1,236 (11.5) |
197 (6.5) |
1,307 (14.6) |
276 (26.8) |
97 | 240.24 (16.3) |
1,480 (13.0) |
249 (8.3) |
1,451 (16.3) |
291 (25.6) |
98 | 221.11 (15.2) |
1,679 (8.5) |
247 (7.3) |
1,206 (15.1) |
266 (23.1) |
累計 | 3,000.11 (14.6) |
15,475 (8.7) |
4,066 (7.7) |
16,073 (11.9) |
6,064 (31.8) |
(注)1.JICA実績ベース。
2.( )は、全世界に占める中央アジア及びコーカサス地域のシェア(%)。
表-6 アフリカ地域に対する我が国技術協力の分野別人数実績(98年度までの累計)
研修員受入 | 専門家派遣 | 調査団派遣 | 協力隊派遣 | |
計画・行政 開発計画 行政 公共・公益事業 公益事業 運輸交通 社会基盤 通信放送 農林・水産 農業 畜産 林業 水産 鉱工業 鉱業 工業 エネルギー 商業・観光 商業・貿易 観光 人的資源 人的資源 科学・文化 保健医療 社会福祉 その他 |
553 1,285 244 1,064 828 1,765 2,020 253 430 520 266 1,554 219 306 71 1,396 33 2,318 284 66 |
126 78 82 208 203 196 513 143 209 228 33 187 53 25 9 536 48 1,087 20 82 |
586 122 1,753 1,471 2,216 631 2,449 124 596 878 564 403 927 4 52 976 2 1,363 23 933 |
38 354 53 126 620 321 836 222 104 127 9 891 13 14 1 1,214 328 719 - 74 |
計 | 15,475 | 4,066 | 16,073 | 6,064 |
(注)JICA人数実績による。
表-7 我が国のアフリカ難民に対する援助実績
国名 | 93年度 | 94年度 | 95年度 | 96年度 | 97年度 | 98年度 |
UNHCR (現金拠出) |
(2,110) 25.74 |
(3,900) 41.34 |
(4,190) 41.06 |
(4,800) 46.56 |
(4,300) 46.01 |
(4,174) 49.25 |
WFP (食糧援助、現金拠出) |
(4,070) 49.65 |
(4,954) 52.51 |
(5,601) 54.89 |
(5,512) 43.77 |
(2,875) 30.76 |
(3,475) 41.00 |
合計 | (6,180) 75.39 |
(8,854) 93.85 |
(9,791) 95.95 |
(9,312) 90.33 |
(7,175) 76.77 |
(8,649) 90.25 |
(注)1.食糧援助は、70年度より実施
2.92年度以降WFP経由食糧援助は下記の通り。
WFP経由アフリカ難民向け食糧援助実績
年度 | 金額 (億円) |
区分 | 案件 |
90 91 92 93 94 95 96 97 98 |
16.0 10.0 29.47 0.36 31.44 10.0 36.57 4.93 48.0 4.05 30.00 8.92 30.5 0.27 39.00 20.0 |
食糧援助 食糧援助 食糧援助 災害援助 食糧援助 災害援助 食糧援助 災害援助 食糧援助 災害援助 食糧援助 災害援助 食糧援助 災害援助 食糧援助 災害援助 |
マラウイ(5)、モザンビーク(3)ジンバブエ(1)(ジンバブエ・メイズ)、ソマリア(2)スーダン(2)(米国産小麦)、アンゴラ(3)(タイ米) エティオピア及び周辺国(8.5)(米国産小麦)、リベリア(1.5)(タイ米) エティオピア及び周辺国、南部アフリカ(16.97)(米国産小麦及び米国産又はアルゼンティン産メイズ) ソマリア及び周辺国(12.5)(米国産小麦及び小麦粉、タイ米) リベリア(0.36)(乾パン、輸送費) リベリア、スーダン、エティオピア、トーゴー難民及びルワンダ避難民(22.44)(米国産小麦、小麦粉、メイズ及びタイ米) リベリア(2)(タイ米)、アンゴラ(5)(米国産メイズ) シェラ・レオーネ(1)(タイ米)、エリトリア(1)(米国産小麦) スーダン(10)(乾パン輸送費等) リベリア、スーダン、エティオピア、ソマリア難民及びルワンダ、ブルンディ紛争被災民(23.58)(米国産小麦、南アフリカ産メイズ及びタイ米) リベリア(2)(タイ米)、エリトリア(2)(米国産小麦) アンゴラ(6)(南アフリカ産及び米国産メイズ) スーダン(3)(米国産小麦粉) スーダン(4.24)(緊急食糧輸送計画) ルワンダ(0.69)(乾パン輸送費用) リベリア、スーダン、エティオピア、エリトリア、ソマリア、シェラ・レオーネ、ルワンダ、ブルンディ難民(36)(米国産及びタンザニア産メイズ、オーストラリア産小麦、南アフリカ産メイズミール、ブルグア小麦) ルワンダ(5)(タイ米)、ブルンディ(5)(タイ米) エリトリア(2)(米国産小麦) スーダン(2.45)(乾パン輸送費用) アンゴラ(1.5)(魚缶詰及び輸送費用) リベリア、ソマリア、スーダン、ルワンダ、ブルンディ、シェラ・レオーネ難民及び国内被災民(30)(メイズミール、小麦、小麦粉、豆、メイズ) ザイール東部/ルワンダ(8.92)(緊急食糧輸送計画) ソマリア、スーダン、エティオピア、ジブティ、ケニア、コンゴ(民)、ルワンダ、ブルンディ及びシエラ・レオーネ難民並びにソマリア国内被災民(20.5)(メイズミール、小麦、豆、メイズ) スーダン国内被災民(7)(小麦・メイズ・ソルガム) ソマリア国内被災民(3)(メイズ) ケニア(0.27)(食糧、生活物資の空輸費) ソマリア、スーダン、エチオピア難民(5)(小麦・メイズ) ソマリア国内被災民(6)(メイズ) リベリア難民および国内被災民(7)(メイズミール・小麦粉、豆) ルワンダ、ブルンジ難民(8)(豆) ギニアビサウ国内被災民(3)(メイズミール) スーダン国内被災民(10)メイズ アンゴラ(2.00)(魚缶詰) |
表-8 アフリカ地域に対するDAC諸国のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 2,701.3 フランス 2,423.9 フランス 3,166.1 |
日本 1,333.0 ドイツ 1,234.0 米国 1,371.0 |
ドイツ 1,281.8 日本 1,067.3 ドイツ 945.4 |
米国 1,248.0 米国 936.0 日本 802.8 |
オランダ 723.6 オランダ 702.2 英国 633.3 |
1,333.0 1,067.3 802.8 |
10,695.1 10,066.7 9,304.5 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
日本 270.3 日本 186.4 イタリア 127.9 |
フランス 96.8 ドイツ 148.7 ドイツ 84.6 |
ドイツ 76.7 イタリア 134.8 日本 73.8 |
ポルトガル 67.0 スペイン 40.4 ポルトガル 47.9 |
イタリア 27.0 ポルトガル 30.7 スペイン 47.3 |
270.3 186.4 73.8 |
401.0 384.6 133.3 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 1,823.4 フランス 1,772.8 フランス 1,701.6 |
日本 817.4 日本 659.6 米国 550.0 |
ドイツ 585.6 ドイツ 484.5 日本 519.9 |
米国 495.0 デンマーク 438.0 スウェーデン 411.5 |
デンマーク 444.9 スウェーデン 404.5 ドイツ 358.2 |
817.4 659.6 519.9 |
6,551.3 6,055.8 5,712.1 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
フランス 781.1 フランス 847.9 米国 805.0 |
米国 738.0 米国 633.0 フランス 730.9 |
ドイツ 619.4 ドイツ 600.8 ドイツ 502.5 |
オランダ 352.5 オランダ 367.0 オランダ 308.5 |
日本 245.2 英国 250.8 英国 282.5 |
245.2 221.3 209.1 |
3,742.9 3,626.5 3,459.1 |
表-9 アフリカ地域に対するDAC主要援助国の二国間ODAの推移
国名 | 92年 | 93年 | 94年 | 95年 | 96年 | 97年 |
フランス | 3,120.8(55.1) | 3,021.2(49.1) | 3,121.5(47.2) | 2,701.3(42.0) | 2,423.85(42.1) | 2,166.1(45.4) |
米国 | 1,296.0(23.6) | 1,462.0(21.2) | 1,462.0(21.2) | 1,248.0(22.2) | 936.00(13.5) | 1,371.0(27.8) |
ドイツ | 1,256.9(26.0) | 1,291.6(28.8) | 1,179.5(28.5) | 1,281.8(26.6) | 1,234.00(27.2) | 945.4(26.0) |
日本 | 858.8(11.2) | 966.1(12.0) | 1,144.3(12.0) | 1,333.0(12.8) | 1,067.27(13.0) | 802.8(12.3) |
イタリア | 723.4(33.6) | 523.3(27.6) | 391.2(21.3) | 356.6(44.3) | 321.56(39.6) | 277.7(61.2) |
スウェーデン | 708.9(52.2) | 491.1(38.1) | 457.5(33.3) | 400.7(33.7) | 484.40(34.7) | 414.9(34.3) |
オランダ | 630.6(41.3) | 472.3(26.9) | 540.7(31.8) | 723.6(32.2) | 702.15(30.9) | 603.1(28.3) |
英国 | 697.9(53.7) | 446.5(30.2) | 606.0(36.6) | 591.6(35.4) | 625.37(34.9) | 633.3(32.0) |
全DAC諸国計 | 11,735.0(32.5) | 10,550.9(27.3) | 11,279.9(27.4) | 10,669.5(26.3) | 10,066.67(25.8) | 9,304.5(28.8) |
(注) ・( )内は、各DAC諸国の二国間ODAの総計(東欧を除く)に占めるアフリカ地域のシェア(%)
・91年のフランスの実績は、海外領土(TOM)を含み海外県(DOM)を除く。
表-10アフリカ地域に対するDAC主要援助国の国別二国間のODA実績(97年)
フランス | 米国 | ドイツ | 日本 | イタリア | スウェーデン | オランダ | 英国 | DAC合計 | |
アンゴラ ウガンダ エティオピア エリトリア ガーナ カーボ・ヴェルデ ガボン カメルーン ガンビア ギニア ギニア・ビサオ ケニア コモロ コンゴー共和国 コンゴー民主共和国 (旧ザイール) サントメ・プリンシペ ザンビア シェラ・レオーネ ジブティ ジンバブエ スワジランド セイシェル 赤道ギニア セネガル セント・ヘレナ 象牙海岸 ソマリア タンザニア チャード 中央アフリカ トーゴー ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナ・ファソ ブルンディ ベナン ボツワナ マイヨット マダガスカル マラウィ マリ 南アフリカ モザンビーク モーリシャス モーリタニア リベリア ルワンダ レソト |
5.6 5.2 7.6 1.8 12.5 5.4 20.7 199.8 0.6 48.6 6.0 6.0 13.9 242.4 12.9 6.9 3.1 2.9 46.1 -0.8 -0.0 3.4 5.2 142.2 0.0 133.7 1.5 79.6 48.2 31.1 32.6 4.0 6.6 94.6 56.3 5.9 26.6 0.7 102.3 311.0 1.7 63.2 34.0 45.0 10.6 30.7 0.9 10.7 2.0 |
22.0 36.0 60.0 12.0 44.0 8.0 2.0 2.0 5.0 22.0 11.0 17.0 0.0 0.0 0.0 0.0 48.0 13.0 0.0 19.0 2.0 0.0 1.0 30.0 0.0 10.0 6.0 13.0 5.0 0.0 2.0 12.0 17.0 16.0 14.0 3.0 22.0 9.0 0.0 33.0 27.0 38.0 104.0 71.0 -1.0 2.0 12.0 9.0 2.0 |
15.7 38.5 58.3 10.2 42.4 11.1 1.0 57.1 3.8 15.9 1.3 43.7 0.3 8.0 15.8 0.3 16.9 2.9 1.6 38.4 -1.0 0.6 0.1 34.2 0.0 21.0 1.7 59.3 27.6 8.8 8.7 14.1 26.6 17.4 31.4 6.1 20.3 7.2 0.0 47.5 32.8 55.7 29.6 40.5 -15.3 16.8 -5.7 26.0 5.8 |
12.0 26.9 37.3 12.4 70.2 2.4 0.4 4.9 0.2 4.4 7.5 68.8 0.4 0.1 5.8 0.9 43.5 1.2 11.4 38.7 9.3 0.6 0.0 25.4 0.1 33.4 0.4 55.4 0.4 20.0 27.5 0.6 4.9 13.6 8.2 0.0 18.8 9.8 0.0 29.5 35.1 26.1 28.9 38.1 3.5 35.5 0.5 8.1 5.7 |
9.2 73.4 31.7 12.7 0.2 0.5 0.6 18.7 0.3 14.8 0.3 18.3 0.0 2.4 1.3 0.0 18.8 0.0 1.7 5.0 0.3 0.0 0.0 8.7 0.0 0.5 6.1 4.0 0.2 0.0 0.0 0.1 0.0 11.0 3.9 1.3 0.4 0.1 0.0 0.8 0.3 3.7 1.4 20.4 0.0 0.4 0.0 4.1 0.2 |
27.8 31.3 36.0 5.0 3.8 2.2 0.0 0.0 0.7 0.2 5.5 17.3 0.0 1.2 6.7 0.0 21.3 0.8 0.0 22.9 0.1 0.0 0.0 1.8 0.0 0.2 7.5 48.2 0.5 0.4 0.1 0.6 14.9 0.3 1.4 3.0 0.0 8.5 0.0 0.0 5.3 0.8 41.1 52.1 0.0 0.2 5.8 1.9 6.5 |
21.7 33.4 35.4 5.9 17.4 9.4 0.1 8.0 2.2 0.2 8.0 31.7 0.4 0.2 7.3 0.2 24.3 1.4 0.0 24.1 0.9 0.0 0.0 12.0 0.0 5.5 6.1 52.4 1.9 0.5 0.4 1.1 8.1 6.4 36.6 4.0 11.1 4.5 0.0 2.9 12.4 33.5 35.9 42.7 0.1 1.0 8.3 29.2 0.4 |
5.4 78.2 21.6 1.7 38.1 0.0 0.0 3.8 2.4 0.7 0.1 46.6 0.0 0.0 5.0 0.0 93.7 8.0 0.0 22.2 3.2 0.6 0.0 1.0 14.7 1.6 2.8 67.6 0.2 0.0 0.5 14.2 7.3 1.3 1.0 1.7 0.0 6.5 0.0 1.2 28.4 1.5 38.8 72.5 1.4 0.4 4.3 10.0 7.4 |
227.0 438.8 372.5 80.9 291.9 68.0 30.3 330.2 17.4 125.5 58.5 301.0 15.3 260.0 104.5 21.2 367.0 41.4 62.2 222.5 16.3 6.3 17.8 292.0 14.8 232.7 46.0 569.1 96.4 61.3 75.7 52.2 122.9 181.2 217.9 38.2 148.0 55.8 102.3 549.0 174.0 256.6 415.0 621.6 2.7 95.5 31.0 178.7 44.6 |
合計 | 2,166.1 | 1,371.0 | 945.4 | 802.8 | 277.7 | 414.9 | 603.1 | 633.3 | 9,304.5 |
(注)合計には、「その他」、「分類不能」が含まれている。
表-11 アフリカ地域に対する国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
IDA 2,275.5 IDA 2,445.0 IDA 2,249.2 |
CEC 1,723.0 CEC 1,984.0 CEC 1,769.4 |
IMF 1,548.0 AfDF 565.0 AfDF 558.5 |
WFP 614.4 WFP 542.0 WFP 476.4 |
AfDF 535.4 UNHCR 365.0 UNDP 374.7 |
1,424.0 1,054.5 850.5 |
8,120.4 6,955.5 6,278.7 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
IDA 2,275.5 IDA 2,445.0 IDA 2,249.2 |
IMF 1,548.0 AfDF 565.0 AfDF 558.5 |
AfDF 535.4 IMF 155.5 CEC 93.1 |
CEC 111.6 CEC 121.1 IFAD 36.8 |
IFAD 63.3 IFAD 65.8 IMF 22.8 |
0.0 0.0 19.2 |
4,533.9 3,352.3 2,979.6 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 1,569.2 CEC 1,808.7 CEC 1,612.7 |
WFP 614.4 WFP 542.0 WFP 476.4 |
UNHCR 417.5 UNHCR 365.0 UNHCR 360.1 |
- - IFA D2.8 |
- - - |
0.0 0.0 0.0 |
2,601.2 2,715.7 2,452.0 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
UNICEF 278.9 UNDP 341.4 UNDP 374.7 |
UNDP 276.9 UNICEF 256.6 UNICEF 252.8 |
UNTA 154.8 UNTA 75.7 UNTA 80.9 |
UNFPA 73.8 UNFPA 66.0 UNFPA 69.0 |
CEC 42.2 CEC 54.3 CEC 63.6 |
158.9 93.5 6.1 |
985.4 887.5 847.1 |
(1) アフリカ地域の位置づけ
アフリカ地域では、近年、民主化へ向けての進展や南部アフリカの安定等好ましい動きが見られ、着実な経済成長を達成する国も増加した。しかしながら、経済のグローバル化から取り残される懸念や、紛争、エイズ等開発を阻害する深刻な問題を抱える国も多い。また、アフリカの過半の国はLLDCであり、多くの重債務貧国が存在する。構造調整の実施に伴う社会的弱者に対するしわ寄せを軽減する観点からも、社会的弱者に直接役立つ基礎生活分野等に対する援助を積極的に行っていく必要がある。また、旱魃、民族紛争等に起因する飢餓や食糧難が頻発しており、我が国も食糧、医療等の緊急・人道的な援助を行う必要がある。更に、飢餓や食糧難を解決するためには、農産物の貯蔵・流通・加工等のポスト・ハーベスト関連部門、基礎教育や開発政策・行政面も含めた人材育成のための人造り分野、衛生的な水の確保に寄与し、女性の労働負担の軽減にも有益な水供給分野、道路等の基礎的なインフラ分野に対し支援することが求められる。アフリカ開発の重要性は、サミットでも議論される等、国際社会全体の関心事項となっている。
こうしたアフリカを取り巻く状況の中で、旧社会主義諸国での資金需要の高まりや、欧米諸国のアフリカに対する「援助疲れ」などから、日本の援助に対する期待が増大している。更に、アフリカ諸国の国際政治上の重要性を考えると、我が国としては今後とも、アフリカ諸国に対してもODA大綱に謳われている「国力に相応しい」協力を果たす必要がある。対アフリカ援助に当たっては、1)二国間友好関係の強化、2)多国間外交の場における我が国への支持・協力の確保、3)アフリカが抱える課題(経済社会開発の促進、紛争の解決、緊急人道援助等)に対する貢献(国際貢献)、といった外交目的の達成を念頭に置くことが重要である。
(2) アフリカ開発会議(TICAD)-我が国の対アフリカ援助のあり方
93年10月、我が国は国連及びGCA(アフリカのためのグローバル連合)との共催で、アフリカ諸国や援助国、国際機関等の参加を得て「アフリカ開発会議(TICAD:Tokyo International Conference on African Development)」を開催した。この会議は、援助国、国際機関、アフリカ諸国が一堂に会しアフリカの開発のあり方について議論するとともに、アフリカの現状や支援の必要性に関する国際・国内世論の理解と支持を深めることを目的としたものであり、会議の成果としてその後のアフリカ開発の指針ともいうべき「東京宣言」を採択した。
その後、アジア、アフリカ諸国間の協力を推進することを目的として「アジア・アフリカ・フォーラム」(94年12月インドネシア、97年6月タイ)を国連等との協力により開催した。
また、96年4月に南アフリカで行われた第9回国連貿易開発会議(UNCTAD)総会において、我が国は「対アフリカ支援イニシアティブ」として、特に経済・社会開発の遅れているアフリカ地域に対し、積極的な協力を行っていくことを表明し、具体的には、第2回アフリカ開発会議(TICAD2)の開催を表明したほか、以下の内容を支援策として打ち出した。
(イ)アフリカ人造り支援構想
TICAD2に向けて、我が国はアフリカにおける人造りを一層強化し、以下の計画を推進する。
(a)アフリカに対する教育支援("Education for All")
(i)遅くとも2015年までにアフリカ諸国の全ての子供が初等教育を受けられるようにする("Education for All")ことを国際社会の目標とすることを支持し、この目標達成のために我が国が積極的な役割を果たす。
(ii)初等教育の普及を中心とした教育支援をアフリカ諸国に対して引き続き推進することとし、無償資金協力及び技術協力を中心に、向こう3年間で1億ドルを目途とする支援を実施する。
(b)3,000名の研修員の本邦招聘
向こう3年間で3,000名程度の技術研修員の我が国への受入れに努める。
(c)アフリカ開発のための南南協力への支援
アジア・アフリカ諸国の南南協力に向けた努力を支援するため、我が国がUNDPに設置した「人造り基金」の一部をアジア・アフリカ協力を含む南南協力推進のために重点的に活用する。
(ロ)ポリオ根絶支援構想("Health for All")
アフリカ諸国において全ての人々の健康が確保されるよう("Health for All")アフリカ地域における2000年までのポリオ根絶に向け1995年にアフリカ地域WHO事務局(AFRO)が策定した「ポリオ・ワクチン全国一斉投与計画(NID)(5歳未満の全児童を対象としたポリオ・ワクチンの全国一斉投与)の目標達成のために積極的な支援を行う。このため、NIDに必要なワクチン、コールドチェーン、ポリオ判別診断機材等の供与、専門家の派遣等を実施する。
これらの成果として、アフリカ人造り構想に関し、小学校建設計画等に対し、98年度までに202.96億円の援助を行い、技術研修員等の我が国への受入につき、98年度までに2,269名の研修員を招聘した。また、並びに南南協力への支援として、96年度及び97年度に3つのプロジェクトに対してUNDP等を通じ83.5万ドルをイヤマークした。
また、ポリオ根絶支援構想として、ケニア、タンザニア、ガーナ、象牙海岸及びマラウィに対しワクチン及びコールドチェーンの供与を実施し、98年度までに20.18億円の援助を実施している。
表-12 IDA「アフリカ基金」との特別協調融資(SJF)実績
年 月 | 国名 | 案件名 | 金額(億円) |
86.5 86.6 86.9 86.10 86.2 87.7 87.7 87.8 87.12 87.12 88.1 88.12 88.12 89.1 89.2 |
トーゴー マラウィ ソマリア ギニア ブルンディ マラウィ ガーナ ニジェール 中央アフリカ ザイール マダガスカル トーゴー ギニア ブルンディ マリ |
構造調整計画(II) 構造調整計画(III) 農業資機材計画(I) 構造調整計画(II) 構造調整計画 構造調整計画(III)(追加分) 構造調整計画 運輸セクター計画 綿花セクター調整計画 構造調整計画 工業貿易政策調整計画 構造調整計画(III) 構造調整計画(II) 構造調整計画(II) 公企業部門調整計画 |
25.00 53.00 12.00 50.00 16.00 22.00 10.00 32.00 6.00 11.00 10.00 19.00 10.00 17.00 40.00 |
合計 | 333.00 |
表-13 「サハラ以南アフリカ債務困窮低所得国に対する特別援助プログラム」(SPA、SPA2及びSPA3)における協調融資等実績
年 月 | 国名 | 案件名 | 金額(億円) |
88.6 88.7 89.2 89.3 89.9 90.6 90.12 |
セネガル ケニア ガーナ ケニア マラウィ セネガル ガーナ |
構造調整計画(III) 農業セクター調整計画 金融セクター調整計画 工業セクター調整計画 工業貿易政策調整計画 第4次構造調整計画 第2次構造調整計画 |
41.00 95.00 125.58 91.10 37.57 79.60 50.42 |
SPA 合計 | 520.27 |
91.4 92.8 92.12 93.4 93.7 93.10 94.1 |
ケニア ガーナ ザンビア ウガンダ モーリタニア ケニア マラウィ |
金融セクター調整計画 民間投資促進計画 民営化・産業改革計画支援のための商品借款 構造調整計画 公企業セクター調整計画 輸出促進計画 企業家育成・旱魃対策計画 |
69.42 63.45 97.46 62.47 46.63 82.49 74.36 |
SPAII 合計 | 496.28 |
95.12 95.12 96.3 96.3 96.12 96.12 |
マリ モーリタニア ベナン ガーナ トーゴー マラウィ |
教育セクター調整計画 民間セクター振興計画 構造調整計画(3) 民間セクター調整計画 経済復興調整計画 財政改革・規制緩和計画 |
47.02 28.21 37.62 59.93 49.46 53.76 |
SPAIII 合計 | 276.00 |
97.1~97.12 98.1~98.12 |
モザンビーク外8ケ国 モーリタニア外9ヶ国 |
ノン・プロジェクト無償資金協力 ノン・プロジェクト無償資金協力 |
108.00 111.00 |
SPAIV 合計 | 219.00 | ||
合計 | 1.511.55 |
表-14 アフリカ諸国に対する経済構造改善努力支援無償(ノン・プロジェクト無償)実績
国名(32か国) | |||||||||
91年度 | 92年度 | 93年度 | 94年度 | 95年度 | 96年度 | 97年度 | 98年度 | 合計 | |
ウガンダ エティオピア ガーナ カメルーン ガンビア ギニア ギニア・ビサオ ケニア コンゴー民主共和国 サントメ・プリンシペ ザンビア シエラ・レオーネ ジブティ ジンバブエ スーダン セネガル 象牙海岸 ソマリア タンザニア 中央アフリカ トーゴー ナイジェリア ニジェール ブルキナ・ファソ ブルンディ ベナン マダガスカル マラウィ マリ モザンビーク モーリタニア ルワンダ |
5 20 9 35 3 25 25 25 35 5 3 5 5 5 7 |
25 3 9 3 2 25 25 25 35 9 25 25 9 |
5 20 35 25 3 10 5 3 |
20 10 20 15 20 15 20 15 5 20 4 |
10 15 10 10 10 15 15 15 5 5 3 15 10 |
10 3 3 3 5 5 15 15 15 |
10 15 15 15 3 10 15 15 15 3 10 10 15 |
6 20 4 15 15 3 15 |
54 81 120 9 6 44 12 115 35 2 185 6 3 125 25 134 152 9 165 19 17 90 45 11 8 36 110 26 45 130 38 15 |
合計 | 212 | 220 | 106 | 129 | 138 | 74 | 151 | 78 | 1.872 |
(3) 第2回アフリカ開発会議(TICAD2)-21世紀に向けたアフリカ開発
アフリカ開発のための政策的枠組みを記述した93年のTICADにおける「東京宣言」を踏まえつつ、21世紀のアフリカ開発に向け、「貧困削減と世界経済へのアフリカの統合」を基本テーマに、我が国は、98年10月に、我が国、国連及びGCAの共催で第2回アフリカ開発会議(TICAD2)を東京で開催した。同会議は、80ヶ国、40国際機関、NGO22団体が参加して行われ、貧困削減・生活水準の向上のため、アフリカ自身の自主的な取組み(オーナーシップ)に基づく包括的なアプローチを通じてアフリカ人の潜在力を最大限に活かし、更に対等なパートナーとしてドナー国・機関とアフリカが共同の取組みを進めていく(パートナーシップ)べきとの認識が共有され、このような考え方に基づき、同会議では、「新開発戦略」の基本的考え方を具体化するものとして、「21世紀に向けたアフリカ開発:東京行動計画」を採択した。同計画では、アフリカ開発を効果的に進めるための基本姿勢として、1)援助国間の協調の強化、2)アフリカの域内協力と統合の推進、及び、3)南南協力(特にアジア・アフリカ協力)の拡大を重視することとし、その上で、1)教育、保健・人口、貧困層支援などの社会開発、2)民間セクター・工業、農業開発、対外債務問題等の経済開発、及び、3)開発の基盤(「良い統治」の促進、紛争予防と紛争後の開発)を優先分野として、目標を定めつつ具体的な行動を進めていくこととした。また、上記優先分野を実施していく上で、共通の課題として、1)人造り、国としての制度作り、2)女性の社会・経済活動への参画(ジェンダー)、及び、3)環境保全に配慮することとしている。
また、アフリカ開発のプロジェクトのうち、行動計画を具体化する上での参考となりうる約370の開発プログラム・プロジェクトを記載した「例示リスト」を作成した。こうした「東京行動計画」及び「例示リスト」の策定を通じ、実質的な成果を挙げ、我が国が会議開催のリーダーシップを発揮したことに対しアフリカ諸国をはじめとする国際社会から高い評価が得られた。TICAD2において我が国は、対アフリカ支援策を表明したが、その主な内容は以下の通りである。
1)教育・保健医療・水供給分野で向こう5年間を目途に900億円程度の無償資金協力を行う。
この結果、約200万人の児童生徒に新たな教育施設が提供され、1,500万人以上の保健・衛生面をはじめとする生活環境が改善されることが期待される。
2)寄生虫対策センターの設置
アフリカ(ガーナ及びケニア)及びアジアに、世界保健機関(WHO)とも協力しつつ、「人造り・研究活動」の拠点として機能するセンターを立ち上げ、寄生虫対策の国際的な研究の連携・情報交換の場とするとともに、周辺諸国の人材研修等南南協力の推進拠点とする。
3)「アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム」の開催及び「アジア・アフリカ投資情報サービスセンター」の設置アジア企業の対アフリカ投資を促進するために、
アジア企業とアフリカ企業とが一堂に会しビジネス取引成立を支援するための情報支援の場としてのフォーラムを99年10月にマレイシアで開催するほか、国連工業機関(UNIDO)等の国際機関と協力して、既にネットワークを有するマレイシアの半官半民企業であるSIBEXKINK社内に、アジア・アフリカ投資情報サービスセンターを設置し、インターネットを介してアフリカ投資情報を提供する。
4)債務管理に関する能力向上(キャパシティ・ビルディング)
我が国の二国間技術協力及びUNDPやアフリカ開発銀行(AfDB)との連携を通じ、重債務を負っているアフリカ諸国の債務管理能力の向上を支援する。
5)今後5年間で2,000名のアフリカの人材が南南協力の下で研修を受けることを支援
(i)アジア諸国・北アフリカ諸国等で行うJICA第三国研修に5年間で1,000名のアフリカ人研修員を受け入れる予定。
(ii)インドネシア政府がブルネイの資金協力を得て1998年2月に建設した「インドネシア南南協力技術協力センター」をアジア側の南南協力の拠点と位置づけ、ここに向こう5年間で約1,000名程度のアフリカ諸国の研修生を受け入れるための資金を支援する。
6)アフリカ人造り拠点設置構想
アフリカにおける人造りの拠点を設置する。そのモデルケースとして、ケニアのジョモケニヤッタ農工大学(JKUAT)への我が国の協力(約20年間のプロジェクト技術協力及び約90億円の無償資金協力の実績あり)が成果を上げていることを踏まえ、JKUATをベースとして、他ドナーとも積極的に連携しつつ、実用・応用研究や企業化・商品化の分野において周辺国も裨益する人造り活動を行う。
今後は、「東京行動計画」を国・地域の各レベルで具体化していくことが重要である。その際、同計画で設定された目標の達成度を評価・モニターするための地域別レビュー会合の開催、アジア・アフリカ協力の具体的なプログラムやプロジェクトの実施促進等をUNDPアジア・アフリカ協力基金(TICADファシリティー)を通じて行う予定である。また世銀が中心となって推進されている「アフリカのための特別支援計画(SPA)」等国際的な努力と協調しながら支援を行うことが重要となっている。
(4) 我が国のアフリカ向け援助の基本方針
上記(2)アフリカ開発会議(TICAD)、(3)第2回アフリカ開発会議(TICAD2)を踏まえて、我が国としては、次の諸点を重視して支援を行う。
1)貧困対策や社会開発への支援・及び砂漠化対応等に対する支援
2)人材育成及び政策立案・実施能力構築への支援
3)アフリカの経済的自立へ向けた民間セクター・工業・農業等の開発への支援(南南協力によるアジアの開発の成果と経験のアフリカへの移転、農業をはじめとする産業の生産力向上に資する基礎的インフラ整備、域内地域協力の促進等)
4)アフリカの安定の基盤となる民主化・紛争予防や紛争後の復興に対する支援
5)債務負担の軽減に資する支援(支援の決定に当たっては、債務国の構造改革に取り組む姿勢を勘案する)
(5) ODA大綱原則のアフリカ諸国における運用状況
我が国は、ODA大綱において途上国の軍事支出の動向や人権・自由の保障状況等に十分注意を払う旨の考え方を明示しているが、近年、アフリカの多くの国々が、民主化政策を推進するとともに、市場指向型経済導入の努力として構造調整政策を進めており、我が国は、ODA大綱原則の観点からもこれらの諸政策の動向に注目していく必要がある。
例えば、南アフリカ共和国においては、94年4月に同国史上初めて黒人を含む全人種の参加の下で総選挙が実施され、人種間の融和を掲げるマンデラ政権が誕生した。これは民主的、平和的に新体制への移行を成功させた象徴的なケースであり、南アフリカ自身の民主化及び経済発展を促し、南部アフリカ地域、ひいてはアフリカの開発全体にも貢献する観点から、98年度には教育関連の無償資金協力や水供給関連の円借款等を実施し、同国の国造り及び人造りを支援している。
ナイジェリアに対しては、民主化に逆行する動き、人権問題等を考慮し、94年3月以降、新規援助を除く緊急的かつ人道的性格を有するものを除き停止していたが、99年2月の国民議会選挙及び大統領選挙並びに5月の民政移管完了を機に、これまでの新規援助停止の原則を見直すこととした。
コンゴー民主共和国(旧ザイール)については、経済困難や民主化の遅れに対し国民の不満が高まり、91年暴動が発生して治安が悪化したため、同国に対する援助は事実上実施困難な情勢となり援助を中断した。その後樹立されたカビラ新政権は民主化プロセスの進展、経済再建に向けた努力等を国際社会に約束したため、我が国を含む国際社会は一定の支援を検討していたが、98年8月、反政府勢力による武力蜂起が発生し、事実上の内戦状態に陥ったため、援助は中断したままとなっている。
その他、ケニアでは大統領選挙・議会選挙が実施され民主化の進展が見られるが、汚職問題への取り組みや治安の確保に対するケニア側の一層の努力を促し、貧困層への裨益や行政能力の向上を重視して援助を実施していく等ODA大綱を踏まえた援助政策を実施している。
なお、開発途上国は各々多様な経済的・社会的背景を有しているため、西側先進国の政治制度や価値観を一方的に押し付けることは必ずしも適当ではない。ODA大綱原則の運用に際しては、開発途上国の努力の動向を注視しつつ、適切な運用を図ることとしている。
(6) 民主化支援
開発途上国の民主化促進にあたっては、開発途上国の民主化をより直接的に支援することも重要である。93年1月には、アフリカ9ヶ国の中堅クラスの指導者を招聘して、市場経済化と民主主義の関係、民主主義的な選挙制度等について、我が国の経験、制度等を紹介するための民主化研究セミナーをJICA主催にて開催している。それ以降、これまでに、南部アフリカ地域(94年度/10ヶ国)、東部アフリカ地域(96年度/6ヶ国)、仏語圏アフリカ地域(97年度/10ヶ国)及び英語圏アフリカ地域(98年度/5ヶ国)をそれぞれ対象に同様のセミナーを開催した。
また、アフリカ諸国の民主化プロセスの一環として複数政党制の下で議会選挙・大統領選挙を予定している国が、選挙に必要な機材の供与等につき我が国に対して援助を要請することが近年多く見られる。98年度では、中央アフリカ、ナイジェリア及びレソトの選挙実施に対して民主化のための緊急無償援助94万ドルをUNDP等を通じて供与したほか、ナイジェリアの選挙に対し、選挙監視員を派遣している。更には、99年4月にはジブティ大統領選挙に対する選挙監視員の派遣、99年6月には南アフリカ総選挙に対する資金協力及び選挙監視員の派遣を実施している。
今後とも、経済的困難の中で民主化を目指すアフリカ諸国に対し、可能な支援を行う方針である。
(7) 構造調整支援
前述の通り、多くのアフリカ諸国が、世銀・IMFの支援を得て構造調整の取組みを進めている。アフリカ諸国の自助努力に対する支援の必要性が高まっている。
これに対し我が国は、86年から、構造調整政策支援のため、有償資金協力を通じIDA(国際開発協会)の「アフリカ基金」との特別協調融資(SJF)(333億円、86~89年)、「アフリカのための特別支援プログラム」(SPA)におけるIDAとの協調融資(520億円、88~90年)を実施してきた。これはその後SPA II(91~93年)、SPA III(94~96年)、SPA IV(97~99年)と期間を延長して継続されており、我が国も引き続きこれに貢献している。
また、無償資金協力の分野では、経済構造改善努力支援無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)を実施しており、アフリカ諸国に対しては87年度から98年度の間に合計1856億円を供与した。この援助は、主にアフリカ諸国を対象として開始され徐々に対象国を非アフリカ諸国に広げてきた経緯があるが、上記SPA I~IVの枠組みを通じ欧米諸国との間で対アフリカ援助に関する援助協調を実施してきていること等から、関係諸国・機関の高い評価を得ている。
(8) 債務救済に対する協力
サハラ以南アフリカにおいては、脆弱な経済力に加え、構造調整政策に伴う困難、紛争や自然災害等の影響から、深刻な債務返済困難に陥っている国が多い。こうした状況に対し、78年の国連開発会議(UNCTAD)の特別貿易開発理事会(TDB)で開発途上国に対する債務救済措置を行うことが決議されたり、パリクラブ(累積債務国からの要請に基づき、債権国が公的債務の債務救済措置を調整する等の国際的な枠組み)において公的債権の返済負担の軽減措置が取り決められる等、国際的にも途上国の債務救済の重要性が指摘されている。また、強力な調整・改革プログラムの実施に努めている重債務貧困国の二国間、国際機関等の債務負担を持続可能な水準まで低減させることを目的とする重債務貧困国(HIPCs:Heavily Indebted Poor Countries)イニシアティブが96年9月に世銀・IMFにより策定されたが、HIPCsと認定された41ヶ国のうち、33ヶ国がサハラ以南アフリカ地域に存在する。更に、99年6月のケルン・サミットでは、債権者間の公正な負担等に基づきつつ、HIPCsイニシアティヴを改善・拡充し、より早く、深く、広範な債務救済を提供するケルン債務イニシアティブを打ち出した。
こうした動きに対し、従来より我が国は、LLDC諸国に対しては原則無償資金協力を実施するととともに、パリクラブの国際的枠組みの下での債務救済繰り延べ、債務国に対する債務帳消しと同等の効果を有する債務救済無償資金協力の供与を行っている。98年度は、債務繰延を2ヶ国で約167.07億円を実施し、債務救済無償資金協力を8ヶ国で60.71億円を供与した。
また、アフリカ諸国の債務管理能力向上を支援するため、98年10月のTICAD2では、我が国技術協力による研修事業や、我が国の資金を活用したアフリカ開発銀行(AfDB)やUNDPを通ずる人材研修を行うことを発表した。
(9) 地球規模問題に対する協力
アフリカ諸国における人口増加率は平均約3%と極めて高い水準にあるが、人口の増加は、生活水準の向上、環境保全に大きな負担をもたらす深刻な問題となっている。また、アフリカ大陸は多様な生物の宝庫であり酸素の供給源ともなる広大な熱帯雨林地帯を有し、更には、サハラ砂漠等の深刻な砂漠化問題にも直面しており、環境保全のために積極的な協力を必要としている。こうした貧困・人口増加・環境劣化が悪循環をなす状態にあるアフリカにおいては、全体としてより効果が高まるよう総合的な視点で協力を検討していく必要がある。
また、近年エイズ感染者の急増が世界的に大きな問題となっているが、特にアフリカには世界の約35%の感染者が存在していると考えられており(WHO推計)、その拡大防止が緊急の課題になっている。我が国は、「人口・エイズに関する地球規模問題イニシアティブ(GII)」として、人口・エイズ分野において積極的な協力を進めていくことを表明している。アフリカ地域の人口・エイズ関連協力については、ガーナ、ケニア、セネガル、タンザニアを重点国と位置付けている。協力の具体例としては、タンザニアにおける母子保健の日英連携プロジェクト、ウガンダにおけるカウンセラー訓練施設建設等を実施している。
(10) 途上国の女性支援(WID)
アフリカの食糧生産の8割近くは女性の手に委ねられている(国連統計)等アフリカ開発における女性の役割の重要性は、我が国を含む援助国の共通の認識となっている。我が国は、WID/ジェンダーの視点を念頭に置きつつ、社会全体の持続可能な経済社会開発を目標としているが、アフリカにおけるこの分野の具体的な取組みとしては、93年より実施されるアフリカの女性教師の本邦招聘、アフリカ地域へのWID分野の青年海外協力隊の派遣が挙げられる。
(11) 他ドナーとの連携強化
アフリカは、元来歴史的にも地理的にも我が国との関係が希薄であることもあり、案件発掘のための情報収集、協力実施段階におけるきめ細かい配慮、協力終了後の的確なフォローアップ等を十分に行うための協力実施体制の一層の整備に特に配慮する必要がある。同時に、歴史的にも関係が深い。欧米諸国や、アフリカ諸国内にもネットワークを有する世銀、UNDP、UNICEF等の国際機関との連携をできる限り図ることが重要である。我が国は、DAC新開発戦略のパートナーシップの考え方に基づき、世銀・UNDP等が主催する援助国会合や現地におけるドナー代表者の会合を通じて、各ドナーとの意見交換を行い当該国に対する整合性のとれた援助政策策定の支援等を実施に努めている。
現在、アフリカの多くの国で、セクター別投資計画(SIP)に基づくドナー連携が進められている。SIPは、被援助国が主体的に各セクターの開発計画を立案し、これを被援助国・ドナー間で吟味した上で、これまで各ドナーがプロジェクト単位で個別に実施してきた援助をドナー自身もセクターレベルで位置付けるように努め、ドナー間の援助調整を通じ、効率的かつ効果的な開発を進めることを目的としている援助アプローチである。これはまた、DAC新開発戦略の中でも強調されているオーナーシップ、パートナーシップの考え方具体化にも合致するものであり、我が国としても積極的に参画していくことが重要である。
表-15アフリカ地域に対する我が国の二国間ODA形態別・国別・年度別実績
国名 | 94年度 | 95年度 | 96年度 | 97年度 | 98年度 | 累計 |
アンゴラ ウガンダ エティオピア エリトリア ガーナ カーボ・ヴェルデ カボン カメルーン ガンビア ギニア ギニア・ビサオ ケニア コモロ コンゴー共和国 コンゴー民主共和国 サントメ・プリンシペ ザンビア シエラ・レオーネ ジブティ ジンバブエ スワジランド セイシェル 赤道ギニア セネガル 象牙海岸 ソマリア タンザニア チャード 中央アフリカ トーゴー ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナ・ファソ ブルンディ ベナン ボツワナ マダガスカル マラウィ マリ 南アフリカ共和国 モザンビーク モーリシァス モーリタニア リベリア ルワンダ レソト |
- - - - - - (4)18.52 (5)5.81 - - - (2)107.16 - - - - (1)136.46 - - - - - - - (3)24.51 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - |
- - - - (1)207.32 - - - - - - - - - - - - - - (2)52.09 - - - (7)7.63 - - - - - - - - - - - (5)37.62 (4)46.85 - - (3)47.02 - - - (6)28.21 - - - |
- - - - - - - - - - - (1)156.57 - - - - - - - (2)114.51 - - - - - - - - - (5)49.46 - - (6)1.06 - - - - - (4)53.76 - (3)78.31 - - - - - - |
- - - - (1)102.87 - (4)8.99 (5)2.19 - - - - - - - - (2)65.19 - - - - - - (7)0.68 - - - - - - - - (6)0.94 - - - - - - - (3)62.30 - - - - - - |
- - - - (2)96.51 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - (1)104.05 - - (3)60.84 - (4)45.38 - - - - |
- 72.55 37.00 - (2)1,191.00 - 69.93 104.85 - 160.10 - (1)1,736.25 - - (5)497.54 - (3)965.43 61.71 - (8)380.65 - - - 158.56 164.16 66.06 (7)403.01 - 6.00 93.46 (4)873.82 - 34.00 - 33.00 37.62 132.46 (6)411.01 (9)341.36 94.92 201.45 40.51 91.34 114.07 68.50 46.49 - |
合計 | 292.46 | 426.74 | 453.67 | 243.16 | 306.78 | 8,688.81 |
(注)1.「年度」の区分は交換公文締結日による。
2.「金額」は交換公文ベースで、債務繰延を含む。
3.○の中の数字はアフリカ地域における順位。
国名 | 94年度 | 95年度 | 96年度 | 97年度 | 98年度 | 累計 |
アンゴラ ウガンダ エティオピア エリトリア ガーナ カーボ・ヴェルデ カボン カメルーン ガンビア ギニア ギニア・ビサオ ケニア コモロ コンゴー共和国 コンゴー民主共和国 サントメ・プリンシペ ザンビア シエラ・レオーネ ジブティ ジンバブエ スワジランド セイシェル 赤道ギニア セネガル 象牙海岸 ソマリア タンザニア チャード 中央アフリカ トーゴー ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナ・ファソ ブルンディ ベナン ボツワナ マダガスカル マラウィ マリ 南アフリカ共和国 モザンビーク モーリシァス モーリタニア リベリア ルワンダ レソト |
6.00 7.49 (1)53.13 2.00 14.95 2.50 - 7.02 - 21.86 10.02 (3)49.34 2.50 - 0.68 1.00 (6)35.88 1.50 21.08 (5)39.22 3.07 2.01 - (9)29.57 (4)47.36 - (2)50.56 - (8)29.88 0.47 - 3.00 16.60 5.50 7.57 13.01 1.10 (5)25.61 19.39 7.85 0.89 (4)47.06 7.14 (10)26.10 2.00 (7)29.91 3.00 |
11.48 (8)34.26 (5)41.47 10.08 29.79 3.50 0.49 4.34 - 19.23 2.52 29.27 - - 0.61 1.00 (7)34.54 4.60 7.76 (4)45.26 11.16 2.62 0.02 (1)60.25 (3)48.30 - (2)49.94 - 27.73 4.31 - 3.50 3.23 17.75 5.50 21.37 1.10 (6)36.43 (10)31.04 25.76 1.77 22.00 - (9)33.23 8.98 10.33 9.87 |
11.76 21.96 18.58 12.35 27.43 3.55 - 4.45 0.29 5.70 10.33 (3)39.21 5.69 - 0.44 - (4)33.83 7.04 22.11 (7)28.68 4.83 - - (5)31.22 (6)29.12 - (2)48.67 - 22.15 11.47 - 3.00 20.76 6.00 - 26.38 1.59 (9)28.50 24.29 (10)27.99 2.12 (1)48.84 0.10 (8)28.51 - 14.91 5.28 |
22.83 25.56 (6)40.41 12.39 (4)45.42 2.96 0.17 11.17 0.22 24.98 24.58 31.18 1.80 - 0.08 1.50 23.18 - 9.53 (10)32.00 12.30 4.52 - (2)51.55 (3)47.86 3.43 (1)75.71 - 14.36 14.76 - 3.11 19.72 18.44 - 14.70 2.11 31.30 (5)45.10 (7)36.69 2.94 (9)35.67 - (8)36.40 0.54 8.30 2.99 |
(10)25.26 20.6 (4)42.10 - (2)57.11 8.50 0.18 12.38 1.65 22.80 6.83 21.63 1.50 - - 1.20 20.56 2.83 22.10 10.17 2.10 - - (7)31.08 (5)37.19 6.00 (1)100.97 - 16.09 6.12 0.84 0.22 12.97 (8)26.36 - 13.38 3.43 16.34 (6)31.51 17.94 11.83 (3)47.96 0.49 (9)25.36 1.58 6.02 0.39 |
90.78 256.64 (8)442.52 38.72 (5)533.88 83.25 2.85 101.48 81.81 273.50 104.26 (3)706.69 59.89 11.32 251.31 31.09 (2)741.80 93.76 157.17 (9)430.61 55.95 23.79 11.70 (4)704.80 379.66 175.17 (1)1.017.23 11.61 277.94 117.85 191.05 56.66 (10)404.18 179.52 129.23 196.67 15.19 (7)447.33 320.43 280.20 36.54 (6)526.49 48.40 285.30 88.47 255.34 36.12 |
合計 | 654.82 | 716.39 | 639.13 | 762.46 | ※703.60 | 10.749.94 |
(注)1.「年度」の区分は交換公文締結日による。
2.「金額」は交換公文ベースで、債務繰延を含む。
3.○の中の数字はアフリカ地域における順位。
※その他、国分類不能の難民向け食糧援助(WFP経由)20億円。
国名 | 94年度 | 95年度 | 96年度 | 97年度 | 98年度 | 累計 |
アンゴラ ウガンダ エティオピア エリトリア ガーナ カーボ・ヴェルデ カボン カメルーン ガンビア ギニア ギニア・ビサオ ケニア コモロ コンゴー共和国 コンゴー民主共和国 サントメ・プリンシペ ザンビア シエラ・レオーネ ジブティ ジンバブエ スワジランド セイシェル 赤道ギニア セネガル 象牙海岸 ソマリア タンザニア チャード 中央アフリカ トーゴー ナイジェリア ナミビア ニジェール ブルキナ・ファソ ブルンディ ベナン ボツワナ マダガスカル マラウィ マリ 南アフリカ共和国 モザンビーク モーリシァス モーリタニア リベリア ルワンダ レソト |
0.06 4.54 (10)7.49 0.18 (4)11.09 0.26 0.25 1.29 0.37 1.88 0.66 (1)39.05 0.39 0.12 0.19 0.34 (2)20.97 0.22 0.33 (5)10.06 0.77 0.68 0.59 (6)9.79 (7)9.53 - (3)26.19 0.19 1.78 0.26 1.17 1.02 (8)9.49 1.00 0.05 1.82 1.46 6.14 (9)8.50 3.37 0.41 1.71 1.13 1.30 - 0.09 0.74 |
0.65 (10)6.84 (5)12.81 1.05 (4)15.93 0.29 0.14 0.69 0.19 2.50 0.37 (1)36.89 0.58 0.13 0.46 0.77 (3)22.37 0.48 1.31 (7)9.91 0.89 0.80 0.45 (9)7.30 6.72 - (2)27.79 0.15 2.05 0.22 1.20 0.56 (8)7.63 1.22 - 0.93 2.45 6.48 (6)12.31 0.59 2.22 2.77 1.95 1.49 - - 0.27 |
1.70 (7)9.30 (8)8.74 0.89 (4)15.44 0.17 0.24 1.30 0.01 1.07 0.98 (1)38.53 0.16 0.11 0.59 1.96 (3)20.52 0.29 1.19 (6)14.01 0.86 1.07 0.19 (10)7.33 (9)7.89 - (2)31.20 0.17 3.70 0.63 0.52 1.45 4.35 0.97 - 1.39 3.73 3.22 (5)14.25 1.64 4.08 3.82 5.08 4.92 0.01 0.22 0.28 |
3.08 (9)8.09 (7)12.76 2.75 (3)18.64 0.92 0.42 1.69 0.10 1.29 0.85 (1)42.83 0.13 - 0.04 0.17 (4)18.08 0.19 0.81 (6)14.32 0.92 0.70 0.06 (8)10.47 (10)6.35 - (2)34.77 0.29 1.22 1.36 0.33 2.19 5.42 1.14 - 0.98 3.31 4.85 (5)15.35 2.24 5.54 4.28 1.98 4.81 - 0.36 0.30 |
4.71 6.56 8.35 0.96 19.38 2.02 0.33 2.06 0.76 3.72 0.40 35.52 0.05 - - 0.22 15.56 0.01 1.56 14.14 0.73 0.63 0.13 9.51 10.43 - 21.92 0.24 2.56 0.11 0.47 0.72 6.79 2.62 - 2.86 2.76 6.84 16.77 3.89 4.05 5.48 1.86 2.89 - 0.15 0.37 |
10.43 58.41 (7)105.25 5.84 (4)209.34 10.18 6.10 20.30 9.33 37.20 4.76 (1)621.07 6.99 1.81 65.44 5.92 (3)298.16 9.22 10.37 (9)101.37 19.11 8.63 2.46 (6)149.70 71.42 8.68 (2)408.55 1.36 20.96 5.63 (8)93.72 7.92 (10)92.01 14.01 6.93 12.07 20.21 69.51 (5)169.93 37.88 16.47 24.35 36.92 22.34 38.31 24.78 2.79 |
合計 | 196.10 | 202.80 | 220.17 | 236.38 | 221.11 | 2,984.16 |
(注)1.「年度」の区分は交換公文締結日による。
2.「金額」はJICA経費実績ベース
3.○の中の数字はアフリカ地域における順位。