(1) 87年のベン・アリ首相の大統領就任後、88年4月の複数政党制の導入、同年7月の憲法改正等民主化の推進に努力しているほか、イスラム原理主義運動への対応をはじめ治安の安定に意を払っている。94年3月の国民議会選挙では、野党が現政権下で初めて議席を獲得し、経済発展の成功等もあり現在の政情は安定している。99年10月には、大統領選挙が行われ、対立候補が立つ予定である。
(2) 外交は、非同盟中立を基本とし、北アフリカ諸国内協力関係の推進を図るとともに、欧米諸国、特にフランスと緊密な関係にあり、全体として穏健かつ現実的である。d経済面では、ここ数年、年5%前後の経済成長率を達成し、インフレ率も低く抑えられ、安定した経済発展を続けている。テュニジアの産業構造は、農業12%、製造業18%、サービス業35%となっており、商業、運輸・通信、観光、住宅等のサービス部門が相対的に発達している。
また、テュニジア政府は構造調整政策との政策的整合性を確保した第9次経済・社会開発5か年計画(1997~2001年)を策定し、年率6%の経済成長率、2001年までのインフレ率3.5%への抑制等を目標としつつ、具体的には、貿易の自由化、公社・公団の民営化及び規制緩和、財政運営能力の強化、教育プログラムの改善、外資導入の規制緩和等に取り組むこととしている。
(3) 我が国は、テュニジアから魚介類、パルプ、石油精製品等を輸入し(98年輸入額1,845万ドル)、同国に自動車、機械、電気製品等を輸出している(同輸出額9,800万ドル)。96年7月には、ベン・アリ大統領が来日した。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 8,175 | 8,987 | 9,132 | 9,215 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 11,592 | 16,369 | 17,581 | 19,433 |
一人当たり(ドル) | 1,420 | 1,820 | 1,930 | 2,110 | |
経常収支(百万ドル) | -463 | -737 | -536 | - | |
財政収支(百万ディナール) | -585.5 | -543.6 | -599.0 | - | |
消費者物価指数(90年=100) | 100.0 | 130.0 | 135.6 | 142.1 | |
DSR(%) | 24.5 | 17.0 | 16.5 | 16.0 | |
対外債務残高(百万ドル) | 7,691 | 10,914 | 11,465 | 11,323 | |
為替レート(年平均、1米ドル=ディナール) | 0.8783 | 0.9458 | 0.9734 | 1.1059 | |
分類(DAC/国連) | 低中所得国/- | ||||
面積(千平方キロメートル) | 155.4 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 67 | 69(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
48 | 30(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | 3.9(90年) | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
62 | 33(97年) | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | 5.9(90年) | 5.9(90年) | 妊産婦死亡率(10万人当たり人数) | 50(80-90年平均) | 170(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | 35 | 33(95年) | 避妊法普及率(15-49歳女性/%) | 50(80-90年平均) | 60(90-98年平均) | |
初等教育純就学率(%) | 95 | 98(96年) | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | 68(88-90年平均) | 90(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | 46 | 47(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
7 | 6(95年) |
中等教育 | 44 | - |
(1) 我が国は、テュニジアが、穏健かつ現実的な外交政策をとり先進諸国との関係が良好であること、経済回復に向けて構造調整政策を順調に推進していること等に鑑み、有償資金協力及び技術協力を中心に積極的に援助を実施している。96年3月の円借款政府調査団の際には、同国を円借款の年次供与国とする方針を伝達した。
98年4月には、経済協力政策協議を実施し、1)主要産業の一つである農業及び水産業の開発・振興の支援、2)限られた水資源の効率的利用のために、農業用水、飲料用水確保のための水資源開発への支援、3)持続的経済成長を支える基礎インフラ整備分野への支援、4)都市・地方間の格差是正のための地方開発分野への支援、5)発展のための持続可能性確保のための環境分野での支援の5分野を重点分野とすることを確認した。
(2) 有償資金協力については、93年度以降毎年連続して円借款を供与している。今後も同国の経済開発を支援するため、農業及び水産業の振興、水資源開発、基礎インフラ整備、地方開発、環境の各分野において、重点的に支援を実施していく方針である。
無償資金協力については、一人当たりGNPが比較的高い水準にあることから一般無償資金協力は行ってないが、85年度以降ほぼ毎年度文化無償資金協力を実施している。
技術協力については、保健・医療、水産業等の分野において、プロジェクト方式技術協力をはじめ、研修員受入、青年海外協力隊派遣、開発調査等を中心に実施している。
また、99年3月には、我が国のサハラ以南アフリカ諸国に対する効果的・効率的な技術協力を推進するための「アフリカにおける南南協力推進のための日・テュニジア三角技術協力計画」に関する枠組み文書の署名がなされ、具体的な実施計画を作成し、実施していく。
(1)我が国のODA実績
暦年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
6.31(-) 6.98(-) 6.71(-) 6.54(57) 6.40(22) |
6.31(-) 6.98(-) 7.59(-) 6.88(60) 13.68(47) |
- 1.57 6.43 22.48 32.01 |
-12.17(-) -15.68(-) -10.96(-) 4.61(40) 15.49(53) |
-5.86(100) -8.69(100) -3.37(100) 11,49(100) 29.17(100) |
累計 | 10.81(4) | 88.12(36) | 98.97(40) | 290.51 | 148.69(60) | 247.66(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2)DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 | ||||||||||
95 96 97 |
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|
-8.7 -3.4 11.5 |
52.1 41.5 69.3 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 | ||||||||||
95 96 97 |
|
|
|
|
|
2.0 -0.8 -1.8 |
42.6 123.2 143.0 |
(3)年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度までの累計 |
405.50億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
3.36億円 内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照 |
50.57億円
研修員受入 195人 |
91 | なし | なし | 7.56億円
研修員受入 20人 |
92 | なし | 0.45億円 スポーツ委員会に対する体育器材 (0.45) |
11.55億円
研修員受入 27人 |
93 |
87.18億円 都市間伝送路網整備拡充計画 (87.18) |
なし | 6.88億円
研修員受入 25人 |
94 |
75.77億円 南部地域上下水道整備計画 (75.77) |
0.46億円 テュニジア国立交響楽団に対する楽器 (0.46) |
4.21億円
研修員受入 33人 |
95 |
185.51億円
北部地域導水・灌漑計画 (141.30) |
0.50億円 国立劇団に対する照明・音響機材 (0.50) |
6.51億円
研修員受入 39人 |
96 |
173.33億円
96年度円借款 (173.33) |
0.80億円
青少年・スポーツ資料研究センター機材供与 (0.50) |
4.53億円
研修員受入 35人 |
97 |
158.89億円
97年度円借款 (158.89) |
9.27億円
|
8.11億円
研修員受入 48人 |
98 |
155.87億円
対テュニジア円借款 (155.87) |
0.87億円
草の根無償(9件) (0.41) |
7.71億円
研修員受入 40人 |
98年度までの累計 | 1,242.05億円 | 15.71億円 | 107.61億円
研修員受入 462人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3.77年度から90年度までの有償資金協力及び無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/904-16.htm)
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案件名 | 協力期間 |
薬品品質管理 国立漁業開発センター 人口教育促進 漁業訓練計画 |
78.4~83.9 78.7~82.12 93.3~99.3 98.8~01.7 |
(参考2)98年度実施開発調査案件
案件名 |
産業廃棄物リサイクル計画調査(第2年次) 工業技術支援組織強化計画調査(第1年次) 工業技術支援組織強化計画予備調査 |
(参考3)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
シリアナ精神・身体障害者職業訓練センター整備計画 バジナ小学校整備計画 ハムサスナヤ小学校整備計画 ケフ県身体・精神障害者学校送迎用バス購入計画 児童養護施設用小型バス購入計画 精神障害児施設のための小型バス購入計画 トズール県内小学校及び青少年の家基礎設備整備計画 4地域救護センター機材整備計画 シディ・アラヤ青少年の家建設計画 |