ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[12]サウディ・アラビア


1.概説


 (1) 世界最大の原油輸出量及び原油確認埋蔵量を誇るとともにイスラム教聖地の守護者としての地位を背景として、アラブ・イスラム世界で枢要な地位を占めている。また政治的には、中近東域内の穏健・安定勢力として、極めて重要な役割を担っている。
 湾岸危機に際し、多国籍軍の駐留等によって、国内各層に政治的・文化的に大きな影響を受け、また、戦費負担や資本の逃避等のため財政状況の悪化が生じたが、国家基本法の発布(92年3月)等の内政改革措置により国内の安定を図っている。

 (2) 外交面では、欧米諸国及びGCC(湾岸協力理事会)諸国との連帯強化を図り、エジプト、シリアとの関係強化を行っている。他方、湾岸危機に際してイラク寄りとみられたジョルダン、イエメン、スーダン、パレスチナ解放機構(PLO)等とは長らく関係が冷却化したが、94年よりPLO、95年よりイエメン、ジョルダンとの関係が改善している。また、イランとの二国間関係はイラン革命以降良好ではなかったが、97年来関係改善の兆しが見られ、関係拡大が着実に進展している。

 (3) 経済構造は原油に依存するモノカルチャーであるが、70年度からこれまで6次にわたり経済開発5ヶ年計画を実施し、石油依存からの脱却、工業化の推進、労働者の自国民化に取り組んでいる。しかしながら依然として、石油依存度は高く、また、人口増に伴う雇用機会の創出が大きな課題となっている。
 財政に関し、80年代半ば以降の石油価格の低迷や、湾岸危機の際の歳出拡大のために、財政赤字が拡大したが、歳出削減と公共料金の値上げ等によって財政赤字の削減に乗り出し、財政好転の兆しが見られた。しかし、98年に入ってからの更なる石油価格の低迷により、再度緊縮財政を余儀なくされている。

 (4) サウディ・アラビアの原油確認埋蔵量(98年末現在)は2,615億バレルで世界の24.8%を占め(旧中立地帯の半分を含む。以下同じ。)、我が国にとって第2位の原油供給国である(98年シェア23.7%)。貿易関係については、我が国はサウディ・アラビアから原油、石油製品等を輸入し(98年輸入額71億7,313万ドル)、同国に自動車、機械機器等を輸出しており(同輸出額39億9,920万ドル)、我が国は同国にとって最大の輸出相手国である(輸入相手国としては第3位)。また、両国間の要人往来も活発で、最近では、94年11月に皇太子・同妃両殿下、95年9月に村山総理(当時)、97年11月には橋本総理(当時)が同国を訪問した。96年5月にはサウード外相、98年10月にはアブドゥッラー皇太子が来日した。特に97年11月の橋本総理の訪問の際には、「21世紀に向けた包括的パートナーシップ」を我が国より提案し、その結果21世紀に向けて両国が共同で取り組む重要課題が98年10月に「日本・サウディ協力アジェンダ」としてまとめられ、今後はその報告書を基に具体的に取り組んでいく方針である。


 (参考1)主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 14,902 18,979 19,409 20,066
名目GNP 総額(百万ドル) 133,540 143,430
一人当たり(ドル) 7,040 7,150
経常収支(百万ドル) -4.152 -5,325 681 254
財政収支(百万ドル)
消費者物価指数 100.0 107.1
DSR(%)
対外債務残高(百万ドル)
為替レート(年平均、1米ドル=サウディ・リアル) 3.7450 3.7450 3.7450 3.7450
分類(DAC/国連) 高中所得国/-
面積(千平方キロメートル) 2149.7

 (参考2)主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命(年) 65 71(97年) 乳児死亡率
(1000人当たり人数)
65 21(97年)
所得が1ドル/日以下の人口割合(%)   5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
91 28(97年)
下位20%の所得又は消費割合(%) 妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
18(90-97年平均)
成人非識字率(%) 38 37(95年)  避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
初等教育純就学率(%) 62 61(96年) 安全な水を享受しうる人口割合(%) 94(88-90年平均) 93(96年)
女子生徒比率(%) 初等教育 46 48(96年) 森林面積
(1000平方キロメートル)
12 2(95年)
中等教育 44 46(96年)


2.我が国の政府開発援助の実績とあり方


 我が国は、サウディ・アラビアの一人当たりGNPが高い水準であるため、資金協力を実施していないが、我が国との緊密な経済関係、技術協力に関する援助需要の大きさ等に鑑み、プロジェクト方式技術協力をはじめ、通信・放送、鉱工業等の分野における研修員受入、専門家派遣、開発調査等の技術協力を実施している。98年度までの技術協力累計実績(JICA経費実績ベース)は139.74億円である。今後とも、同国の人材育成及び技術水準の向上を支援するため、「日本・サウディ協力アジェンダ」の人造り(教育、職業訓練)、環境、医療等の分野を中心に技術協力を実施していく方針である。


3.政府開発援助実績

(1) 我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)
贈与 政府貸付 合計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98
-(-)
-(-)
-(-)
-(-)
-(-)
8.13(100)
8.28(100)
8.71(88)
6.67(-)
9.13(99)
8.13(100)
8.28(100)
8.71(88)
6.67(-)
9.13(99)


1.14

0.05
-(-)
-(-)
1.14(12)
-11.45(-)
0.05(1)
8.13(100)
8.28(100)
9.85(100)
-4.78(100)
9.18(100)
累計 2,99(1) 103.35(43) 106.34(45) 143.57 132.12(55) 238.47(100)

 (注) ( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。


(2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合計
95
96
97
日本 8.3
日本 9.9
フランス 1.6
フランス 4.1
フランス 2.1
ドイツ 0.8
ドイツ 1.9
ドイツ 0.6
オーストリア 0.1
オーストリア 0.1
オーストリア 0.1
日本 -4.8
イタリア 0.1
ノールウェー 0.0
8.3
9.9
-4.8
14.5
12.6
-2.4

国際機関、ODA NET
(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合計
95
96
97
UNDP 5.1
UNDP 4.8
UNDP 5.3
UNTA 1.1
UNHCR 1.2
UNTA 1.2
UNHCR 1.1
UNTA 0.6
UNHCR 1.2
CEC 0.2



0.3
9.3
9.4
7.8
15.9
17.1

(3) 年度別・形態別実績

(単位:億円)
年度      
90年度までの累計 なし 3.83億円

(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照)

72.96億円

研修員受入 671人
専門家派遣 332人
調査団派遣 366人
機材供与 1,344.4百万円
プロジェクト技協 2件
開発調査 6件

91 なし なし 8.40億円

研修員受入 54人
専門家派遣 42人
調査団派遣 45人
機材供与 236.3百万円
プロジェクト技協 2件
開発調査 1件

92 なし なし 7.31億円

研修員受入 37人
専門家派遣 34人
調査団派遣 14人
機材供与 221.6百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 1件

93 なし なし 7.47億円

研修員受入 44人
専門家派遣 27人
調査団派遣 37人
機材供与 101.1百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 1件

94 なし なし 7.14億円

研修員受入 44人
専門家派遣 19人
調査団派遣 52人
機材供与 13.9百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 1件

95 なし なし 7.50億円

研修員受入 69人
専門家派遣 38人
調査団派遣 16人
機材供与 17.0百万円
プロジェクト技協 1件

96 なし なし 8.32億円

研修員受入 62人
専門家派遣 29人
調査団派遣 30人
機材供与 111.4百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 2件

97 なし なし 8.97億円

研修員受入 88人
専門家派遣 37人
調査団派遣 66人
機材供与 65.0百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 2件

98 なし なし 11.66億円

研修員受入 157人
専門家派遣 31人
調査団派遣 84人
機材供与 79.9百万円
プロジェクト技協 1件
開発調査 4件

98年度までの累計 なし なし 139.75億円

研修員受入 1,226人
専門家派遣 589人
調査団派遣 710人
機材供与 2,190.6百万円
プロジェクト技協 3件
開発調査 12件

(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
   2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
   3.88年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
     (http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/904-12.htm


 (参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件

案件名 協力期間
リヤド電子技術学院
海水淡水化訓練センター
リヤド技術短期大学電子工学技術教育改善
74.6~96.9
82.1~92.2
97.4~01.3

 (参考2)98年度実施開発調査案件

案件名
北部紅海沿岸生物環境・生物インベントリー調査(第2年次)
アラビア湾環境モニタリング計画調査
アラビア湾環境モニタリング計画予備調査(C/M)(水質モニタリング)(公害対策)
標準化機関強化計画(消費者保護)本格調査(第3年次)

(地図画像)プロジェクト所在図(イエメン、サウディ・アラビア、ジョルダン、オマーン、パレスチナ、レバノン)



このページのトップへ戻る
前のページへ戻る次のページへ進む目次へ戻る