(1) 91年のマドリード会議で開始された中東和平プロセスにおいて、イスラエル政府は、92年から96年の間のラビン首相及びペレス首相の率いる労働党政権時代において、アラブ近隣諸国、パレスチナとの間で直接交渉を続け、多国間協議の場でも積極的に対応した。しかし、96年2月から3月にかけてイスラエル国内で発生した一連のテロ事件等の影響から、同年6月、右派リクード率いるネタニヤフ政権への政権交替が起こった。同政権は、和平プロセスの継続を明確にし、既存の暫定自治拡大合意に基づく西岸主要都市ヘブロンからの軍撤退合意(97年1月)や西岸における軍の追加的な部分撤退に関するワイ・リバー合意(98年10月)を成立させたが、自国の安全保障確保を強調し、合意の履行には消極的姿勢をとったため、和平プロセスの停滞を招いた。このような情勢の中、99年5月の総選挙の結果、同年7月、故ラビン首相の遺志の継承を標榜するバラック労働党党首率いる左派・中道を軸とする新政権が発足した。バラック新首相は、政権発足直後から和平当事者及び欧米諸国と精力的に会談し、9月5日には、エジプトのシャルム・エル・シェイクにてワイ・リバー合意実施に関する覚書を締結するなど和平プロセスの本格的な再開に向けた努力を継続している。
(2) 主要産業は、工業(ダイヤモンド研磨加工、ソフトウェア等)、農業(柑橘類、野菜等)である。中東和平の進展等を背景に90年~95年では6%台の高い経済成長率を維持してきたものの、中東和平プロセスの停滞等により96年から減少傾向にあり、98年の経済成長率は1.7%となっている。
(3) 我が国は、イスラエルから研磨ダイヤモンド等を輸入し(98年輸入額7億8,364万ドル)、同国に対して自動車、機械、化学品等を輸出している(同輸出額10億4,520万ドル)。我が国との二国間関係は進展しており、94年12月にはラビン首相(当時)、97年8月にはネタニヤフ首相(当時)が来日し、95年9月には、村山総理(当時)、96年8月には池田外務大臣(当時)、99年1月には高村外務大臣、同年3月には町村政務次官が同国を訪問した。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 4,636 | 5,521 | 5,692 | 5,836 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 50,866 | 87,875 | 90,310 | 94,402 |
一人当たり(ドル) | 10,970 | 15,920 | 15,870 | 16,180 | |
経常収支(百万ドル) | -89 | -6,339 | -7,057 | - | |
財政収支(百万ニュー・シュケル) | -5,640 | -13,106 | -13,028 | - | |
消費者物価指数(90年=100) | 100 | 185 | 206 | 224 | |
DSR(%) | - | - | - | - | |
対外債務残高(百万ドル) | - | - | - | - | |
為替レート (年平均、1米ドル=ニュー・シュケル) |
2.0162 | 3.0113 | 3.1917 | 3.4494 | |
分類(DAC/国連) | 移行国/- | ||||
面積(千平方キロメートル) | 20.6 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | 76 | 78(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
10 | 7(97年) | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
11 | 8(97年) | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | 6.9(92年) | 6.9(92年) | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
3(80-90年平均) | 7(90-97年平均) | |
成人非識字率(%) | - | 4(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | 99(96年) | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | 49 | 49(96年) | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
1 | 1(95年) |
中等教育 | 54 | 48(96年) |
我が国は、イスラエルの一人当たりGNPが高く、技術水準も高いことから、留学生受入等のほかは、原則として援助を実施していない。
(1) 我が国のODA実績
- | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
-(-) -(-) -(-) -(-) 0.08(25) |
0.95(100) 1.40(100) 0.93(100) 0.52(100) 0.24(75) |
0.95(100) 1.40(100) 0.93(100) 0.52(100) 0.32(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
0.95(100) 1.40(100) 0.93(100) 0.52(100) 0.32(100) |
累計 | 0.08(1) | 9.59(99) | 9.67(100) | - | -(-) | 9.67(100) |
(注) ( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
米国328.0 米国2,253.0 米国1,248.0 |
フランス10.2 フランス10.7 フランス4.8 |
オランダ7.8 オランダ6.6 オランダ2.0 |
日本2.1 日本1.6 日本0.5 |
スイス1.0 オーストリア0.8 フィンランド0.4 |
2.1 1.6 0.5 |
330.9 2,216.6 1,185.9 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 4.6 UNTA 0.1 CEC 10.0 |
UNTA 0.1 - UNTA 0.4 |
- - - |
- - - |
- - - |
0.2 0.0 0.0 |
4.9 0.1 10.3 |
(3)年度別・形態別実績
年度 | |||
90年度までの累計 | なし | なし |
0.00億円
研修員受入 5人 |
91 | なし | なし | なし |
92 | なし | なし |
0.06億円
研修員受入 2人 |
93 | なし | なし |
0.26億円
研修員受入 2人 |
94 | なし | なし |
0.02億円
研修員受入 2人 |
95 | なし | なし |
0.04億円
研修員受入 2人 |
96 | なし | なし | なし |
97 | なし | なし | なし |
98 |
なし |
なし |
調査団派遣 3人 |
98年度までの累計 | なし | なし |
0.34億円
研修員受入 13人 |
(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。