ODAとは? ODA予算・実績

国別援助実績
1991年~1998年の実績
[1] ウズベキスタン


1.概説

 (1) 91年12月、ソ連の解体とともに実質的な独立国家となった。カリモフ大統領は95年3月、国民投票で99.6%の支持票を得て任期を2000年まで延長している。同大統領は「漸進主義」(市場経済への段階的移行)による改革を行い、政治的には保守的である。議会では「人民民主党」と改称した旧共産党が勢力を占め、大統領を支持している。イスラム急進派の活動は禁止されており、国内に大きな民族紛争はない。
 外交面・貿易面では依然としてロシアとの関係が強いが、ロシア依存からの脱却を志向している。一方で、西側諸国との関係重視、イスラム諸国との関係改善と連携強化を図っており、欧州安保協力機構(OSCE)をはじめ、国連、IMF、世銀、アジア開発銀行(ADB)に加盟、国際機関や先進諸国による経済支援に期待しているが、企業の民営化、金融市場、農業の近代化は立ち遅れている。

 (2) ウズベキスタン経済は、97年綿花生産量が約390トンと世界第4位、金の生産は世界第6位である。また、天然ガスが豊富であり、石油、石炭、非鉄金属産業も発達している。同国はもともと農業国であり、エネルギー自給も達成していることから、CIS諸国の中ではソ連崩壊の影響による生産低下が最も少ない。96年にGNP成長がプラスに転じた。
 ウズベキスタンは94年6月に独自通貨「スム」を導入、96年の国際収支悪化に伴い、外貨交換の制限、外貨割当や輸入制限の強化等の措置をとったため、為替市場に混乱をもたらし、外国からの投資の大幅な減少を招いた。98年7月、外貨取引の段階的な自由化を決定したが、実施の見通しは立っていない。

 (3) 民間の経済協力調査団の派遣や日本・ウズベキスタン経済委員会など、我が国とは官民とも交流が盛んである。94年5月にカリモフ大統領、最近では99年3月にスルターノフ首相が訪日、99年5月に高村外務大臣がウズベキスタンを訪問している。
 二国間の貿易関係は十分に活発とはいえないが、我が国からの主要輸出品目は通信機器、石油ガス用鋼管、主要輸入品目は金、綿花、亜鉛等となっている。


(参考1) 主要経済指標等

90年 95年 96年 97年
人口(千人) 22,771 23,228 23,667
名目GNP 総額(百万ドル) 21,979 23,490 24,236
一人当たり(ドル) 970 1,010 1,020
経常収支(百万ドル)
財政収支(百万ドル)
消費者物価指数
DSR(%) 6.2 7.0 13.0
対外債務残高(百万ドル) 1,787 2,363 2,761
為替レート(1米ドル=スム)
分類(DAC/国連) 低所得国/-
面積(千平方キロメートル) 414.2

(参考2) 主要社会開発指標

90年 最新年 90年 最新年
出生時の平均余命(年) 68(97年) 乳児死亡率
(1000人当たり人数)
24(97年)
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) 5歳未満児死亡率
(1000人当たり人数)
31(97年)
下位20%の所得又は消費割合(%) 妊産婦死亡率
(10万人当たり人数)
24(90-97年平均)
成人非識字率(%) 0(95年) 避妊法普及率
(15-49歳女性/%)
初等教育純就学率(%) 安全な水を享受しうる人口割合(%) 57(96年)
女子生徒比率(%) 初等教育 49(96年) 森林面積
(1000平方キロメートル)
91(95年)
中等教育


2.我が国政府開発援助の実績とあり方

 (1) ウズベキスタンはソ連崩壊後の新たな国際情勢において地政学的に重要な位置を占めている国であり、また同国の民主化、市場経済導入への動きはODA大綱の観点からも望ましいものであるため、同国が人材不足や経済インフラの老朽化、環境悪化などの問題に効率的に対処し、経済的な困難を克服するために、我が国は同国に対し積極的な支援を行っている。

 (2) 我が国は、ウズベキスタンが93年1月にDAC途上国リストに掲載される以前の91年から研修員受入れや専門家派遣などの協力を開始しており、また、旧ソ連諸国に対する総額2億ドルの緊急人道支援の一部として、医薬品、ワクチン等の供与を中心に、93年以降1,520万ドル相当の支援を実施している。

 (3) 有償資金協力では、運輸・通信インフラの整備への協力を実施している。無償資金協力では、保健医療分野への一般無償資金協力のほか、ノンプロジェクト無償資金協力及び食糧増産援助、文化無償等を実施している。技術協力では、市場経済、環境、各種行政分野を中心に研修員を受け入れるとともに、重要政策中枢支援として市場経済化に資する人材育成のための協力を進めている。99年度からは、青年海外協力隊が派遣されることとなった。開発調査は、環境案件であるアラル海沿岸の給水計画調査を行ったのをはじめ、資源開発、運輸分野等を対象に実施してきている。
 98年11月、ウズベキスタンとの間で無償資金協力、技術協力及び開発協力に関する政策協議を行い、その結果等を踏まえ、1)市場経済化移行支援、2)運輸インフラ整備、3)環境保全、4)地方医療、5)民主化・行政支援を重点分野としている。


3.政府開発援助実績

 (1) 我が国のODA実績

(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 贈与 政府貸付 合計
無償資金協力 技術協力 支出総額 支出純額
94
95
96
97
98

-(-)
10.45(65)
19.07(75)
12.16(15)
7.81(8)

2.55(100)
5.60(35)
4.79(19)
7.70(9)
5.61(5)

2.55(100)
16.05(100)
23.86(94)
61.82(24)
96.39(13)


1.44
63.30
89.59
-(-)
-(-)
1.44(6)
63.30(76)
89.59(87)
2.55(100)
16.05(100)
25.29(100)
83.16(100)
103.00(100)
累計 49.49(21) 27.01(12) 76.50(33) 154.33 154.33(67) 230.81(100)

  (注) ( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。


 (2) DAC諸国・国際機関のODA実績

DAC諸国、ODA NET
(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 1位 2位 3位 4位 5位 うち日本 合計
95
96
97
ドイツ 46.6
ドイツ 29.8
日本  83.2
日本  16.1
日本  25.3
ドイツ 21.4
米国 1.0
米国 6.0
米国 2.0
フランス 0.8
フランス 1.8
フランス 1.6
英国   0.6
英国   1.0
イタリア 1.2
16.1
25.3
83.2
65.8
64.2
110.9

国際機関、ODA NET
(支出純額、単位:百万ドル)
暦年 1位 2位 3位 4位 5位 その他 合計
95
96
97
CEC  8.4
CEC 12.8
CEC 11.3
UNDP    2.5
UNICEF 3.4
UNDP   3.4
UNICEF 2.3
UNDP   3.1
UNICEF 2.5
UNTA  0.5
UNHCR 0.9
EBRD  1.1
UNFPA 0.1
UNFPA 0.6
UNFPA 0.4
0.2
0.4
0.5
13.8
21.2
19.2

 (3) 年度別・形態別実績

(単位:億円)
年度 有償資金協力 無償資金協力 技術協力
93 なし なし
1.06億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
開発調査
22人
2人
5人
1件
94
なし
15.97億円

小児科医療機材整備計画 (6.50)
ノンプロ無償 (9.00)
ナボイ劇場に対する視聴覚・照明機材供与 (0.47)

3.46億円
研修員受入
調査団派遣
機材供与
開発調査
17人
29人
9百万円
2件
95
127.00億円

地方通信網拡充計画 (127.00)

18.30億円

東部地域母子医療機材整備計画 (4.00)
ノンプロ無償 (10.00)
食糧増産援助 (4.00)
草の根無償(5件) (0.30)

4.34億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査
28人
2人
63人
12.4百万円
3件
96 216.28億円

鉄道旅客輸送力増強計画 (61.02)
地方3空港近代化計画 (155.26)

14.02億円

道路建設機材整備計画 (9.60)
食糧増産援助 (4.00)
草の根無償(6件) (0.42)

6.10億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査
28人
3人
77人
0.7百万円
4件
97 なし
11.28億円

中部地域母子病院医療機材整備計画 (6.76)
ウズベキスタン国立美術館展示機材供与 (0.39)
草の根無償(2件) (0.13)
食糧増産援助 (4.00)

5.81億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査
32人
22人
91人
17.5百万円
2件
98 なし

9.59億円

カラカルパクスタン母子病院医療機材整備計画 (4.70)
緊急無償洪水災害 (0.06)
食糧増産援助 (4.00)
草の根無償(5件) (0.43)
世界経済外交大学に対する日本語学習機材 (0.40)

3.51億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査
61人
15人
46人
8.0百万円
4件
98年度までの累計 343.28億円 69.16億円
24.32億円
研修員受入
専門家派遣
調査団派遣
機材供与
開発調査
188人
44人
311人
47.5百万円
7件

(注)1.「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
   2.「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。


(参考1) 98年度実施開発調査案件

案件名
航空輸送改善総合開発計画調査(第3年次)
水道事業経営改善計画事前調査(S/W協議)(施設維持管理)
水道事業経営改善計画事前調査(S/W協議)(組織・制度)
水道事業経営改善計画事前調査(S/W協議)(経営・財務分析)

(参考2) 98年度実施草の根無償資金協力案件

案件名
アンジャン国立医科大学医療機材整備計画
カラカルバクスタン眼科病院医療機材整備計画
ナマンガン州結核予防診療所整備計画
小児サナトリウム「チャルタック」医療機材整備計画
保水のための緑化植林計画

(地図画像)プロジェクト所在図



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