(1) ブルネイは、豊富な石油・天然ガス生産により安定した経済基盤を有しているが、石油・天然ガス資源への過度の依存から脱却するため、経済の多様化を経済政策の主目標とし、各種産業の育成及び人材育成に努力している。
外交面では、旧宗主国である英国とは特別な関係にあり、独立後は直ちに英連邦、ASEAN、イスラム会議機構に加盟し、これらの機関の加盟諸国、米国、我が国及び韓国との関係緊密化を図っている。89年及び95年にはASEAN議長国としてASEAN外相会議等の会議を主催した。社会主義諸国との関係では、91年9月中国と、92年2月ヴィエトナムと外交関係を樹立した。
(2) 我が国との間では、最近の動きとして常陸宮・同妃両殿下が96年9月に、橋本総理大臣が97年1月に同国を訪問したのをはじめ、ブルネイからはハサナル・ボルキア国王が、昭和天皇大喪の礼(89年2月)及び即位の礼(90年11月)に参列するなど要人往来も盛んであり、また次官級の外交当局間協議が開始されるなど政策対話も進めつつある。
(3) 経済面では、安定した成長を示しており、成長率は96年3.5%、97年4.0%であったが、アジア経済危機の影響から、98年は1.0%に落ち込んだ。但し、石油採掘利権による納付金が多く安定した経済を維持しており、原油・石油製品及びLNGはブルネイの輸出総額の約93%を占める(95年)。我が国はブルネイ産原油の約3割、天然ガスのほぼ全量を輸入している。
(4) 第7次開発5カ年計画(1996-2000年)では、経済の多様化、社会基盤整備、人材養成等を主目標に掲げ、7分野(社会福祉、公共事業、運輸・通信、産業、公共建物、防衛・治安、その他)に総額72億ブルネイ・ドル(前計画比31%増)の予算が配分されており、特に民間部門振興を図るべく民間部門育成のための予算が多く割り当てられている(1ブルネイドルは約1.7ドル)。
(参考1)主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 256 | 285 | 290 | 308 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | - | - | - | - |
一人当たり(ドル) | - | - | - | - | |
経常収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
財政収支(百万ドル) | - | - | - | - | |
消費者物価指数 | - | - | - | - | |
DSR(%) | - | - | - | - | |
対外債務残高(百万ドル) | - | - | - | - | |
為替レート(1米ドル=ブルネイドル) | - | - | - | - | |
分類(DAC/国連) | DAC援助受取対象外/- | ||||
面積(千平方キロメートル) | 5.3 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命 (年) | - | 75(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 12(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率 (%) | - | - | 安全な水を享受しうる 人口割合(%) | - | - | |
女子生徒比率 (%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
5 | - |
中等教育 | - | - |
ブルネイは一人当たり所得が極めて高い(98年14,522ドル)ため、我が国をはじめ各国及び国際機関による援助実績は極めて少なく、協力分野も限られている。独立後間がなく、人口の僅少なブルネイにとって国造りを担う人材の育成が急務となっていることから、我が国は人材育成を中心に技術協力を行ってきた。我が国はブルネイが受け取る二国間ODAの大半(96年シェア93.8%、97年シェア≒100.0%)を供与してきた。なお、ブルネイが96年からDAC途上国リストパート1からパート2へ移行したことに伴い、技術協力に限って実施してきたODAによる協力を逓減させ、98年度をもって終了した。
(1) 我が国のODA実績 |
(支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 贈与 | 政府貸与 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
4.76(100) 4.05(100) 2.96(100) 0.21(100) 0.18(100) |
4.76(100) 4.05(100) 2.96(100) 0.21(100) 0.18(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
4.76(100) 4.05(100) 2.96(100) 0.21(100) 0.18(100) |
累計 | -(-) | 42.75(-) | 42.75(-) | - | -0.06(-) | 42.69(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(支出純額、単位:百万ドル)
DAC諸国、ODA NET | (支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
日本 4.1 日本 3.0 日本 0.2 |
フランス 0.1 英国 0.2 フランス 0.1 |
ドイツ 0.0 豪州 0.0 英国 0.0 |
英国 0.0 ドイツ 0.0 ドイツ 0.0 |
- - - |
4.1 3.0 0.2 |
4.2 3.2 0.3 |
DAC諸国、ODA NET | (支出純額、単位:百万ドル) |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
CEC 0.1 CEC 0.1 UNTA 0.0 |
UNTA 0.1 UNTA 0.0 - |
UNDP 0.0 - - |
- - - |
- - - |
0.0 0.0 0.0 |
0.1 0.1 0.0 |
(3) 年度別・形態別実績 |
(単位:億円) |
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 |
90年度 までの 累計 |
なし | なし |
20.63億円 研修員受入 476人 |
91 | なし | なし |
2.46億円 研修員受入 94人 |
92 | なし | なし |
4.91億円 研修員受入 90人 |
93 | なし | なし |
3.27億円 研修員受入 97人 |
94 | なし | なし |
2.17億円 研修員受入 101人 |
95 | なし | なし |
1.96億円 研修員受入 85人 |
96 | なし | なし |
1.80億円 研修員受入73人 |
97 | なし | なし |
1.32億円 研修員受入 69人 |
98 | なし | なし |
0.75億円 研修員受入 49人 |
98年度までの累計 | なし | なし |
39.28億円 研修員受入 1,134人 |
(注) | 1. | 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金 協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の 実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日まで にE/N署名を行ったもの。) |
2. | 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、 技術協力はJICA経費実績ベースによる。 | |
(参考1)98年度までに実施済及び実施中のプロジェクト方式技術協力案件
案件名 | 協力期間 |
林業研究 コンクリート構造物腐食研究 |
85.10~92.9 87.10~92.9 |