開発協力トピックス5
アフリカと「共に成長するパートナー」として~TICAD 8~

金属製品を製造する日本企業でインターンシップを行うABEイニシアティブ注4留学生(写真:JICA・株式会社サンテック)

基礎教育アクセス、教育の質、男女間公平性改善に向け、コミュニティ参加型の教育・学校運営モデルの開発を支援(マダガスカル)(写真:JICA)
アフリカ開発会議(TICAD)は、アフリカの開発をテーマとする国際会議で、1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行およびアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催するものです。2022年8月27日から28日にはチュニジアで第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)が開催され、20名の首脳級を含むアフリカ48か国の代表などが参加しました。
TICAD 8において、岸田総理大臣は、アフリカの潜在性を世界の成長の原動力と捉え、「人への投資」や「成長の質」を重視し、今後3年間で官民合わせて300億ドル規模の資金を投入し、(1)グリーン投資、(2)投資促進、(3)開発金融、(4)保健・公衆衛生、(5)人材育成、(6)地域の安定化、(7)食料安全保障の分野での取組を行うことを表明しました。また、「経済」、「社会」、「平和と安定」の3つの全体会合に加え、ビジネス・フォーラムを開催し、同フォーラムには日本企業およびアフリカ企業からそれぞれ約100名が参加し、日本とアフリカとのビジネス関係の強化を議論しました。会合最終日には、今後の日・アフリカ関係やポスト・コロナ時代のアフリカの持続的な成長に向けた道標となる「TICAD 8チュニス宣言」が採択されました。
アフリカの持続的な成長を後押しするべく、今後3年間で、日本は上記7つの分野での取組を中心に、アフリカ各国のニーズに沿った様々な支援を実施していきます。例えば、(3)「開発金融」について、アフリカ開発銀行(AfDB)との協調枠組み(EPSA5)注1の下、債務健全化に着実かつ顕著な前進が見られる国を支援するため、新たに設置する特別枠最大10億ドルを含め、最大50億ドルの資金協力を表明しました。そのほか、日本は、公正かつ透明な開発金融の実現に向け、アフリカ各国政府や国際機関と連携し、債務管理能力構築の支援を行っています。
(7)「食料安全保障」については、ウクライナ情勢の影響を受けた食料危機に対応するため、アフリカに対し総額1.3億ドルの食料支援を実施したほか、中長期的な食料生産能力の強化に向け、AfDBの緊急食糧生産ファシリティへの約3億ドルの協調融資を行うことを表明しました。また、長期的な食料生産拡大に向けた取組として、これまで日本は、コメ生産量の倍増を目標に、「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」注2を通じてアフリカ自身の穀物生産能力を強化するとともに、「市場志向型農業振興(SHEP)注3」アプローチによる園芸作物の生産普及を通じて、アフリカの小規模農家の所得向上を支援しています。TICAD 8では、これらの取組を通じて、計20万人の農業分野の人材を育成する旨を表明しました。
日本は、これからもアフリカと「共に成長するパートナー」として、アフリカ自身が目指す強靱(じん)で持続可能なアフリカを実現していくため、力強く後押ししていきます。
注1 用語解説を参照。
注2 「開発協力の現場から4」を参照。
注3 用語解説を参照。
注4 用語解説を参照。