(2)開発協力人材・知的基盤の強化

ルワンダのマハマ難民キャンプで、子どものビタミン摂取用補助食品を母親たちに配給するWFPルワンダ事務所の並木愛(なみきあい)事業政策担当官(JPO派遣制度を利用して、2018年からWFPルワンダ事務所に勤務)(写真:WFP)
日本政府は、国連関係機関で勤務する日本人職員数を2025年までに1,000人とする目標を掲げ、大学や国際機関駐日事務所などと連携しつつ、世界を舞台に活躍する人材の発掘・育成・キャリア構築を積極的に支援しています注19。「開発協力を担う人材の育成」(ODAに関する有識者懇談会提言)も踏まえ、中等・高等教育機関や既就職者を対象に、国際機関の採用制度を説明するセミナーを、国内外で開催しています。最近では主にオンラインで実施することにより、海外在住の現職の国際機関職員も登壇し、具体例を交えて紹介することが可能になっています。このほか、動画配信、国際機関の幹部や人事担当者によるセミナーの実施等も行っています。
また、日本政府は、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度を通じて(詳細は図表IV-2「日本人が国際機関職員になるための主な方法」を参照)、開発協力分野を含む国際機関で活躍する人材の育成に努めています(国際機関日本人職員の活躍については第Ⅰ部の「コロナ禍の世界の現場で活躍する国際機関日本人職員」を、JPOから国際機関職員となった方のキャリアインタビューについては「国際協力の現場から」も参照)。外務省はこれまでに累計1,800名以上、2020年度は54名のJPOを派遣しました。このほか、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」注20も実施しています(詳細は「平和構築分野での人材育成」を参照)。
JICAでは、国際協力キャリア総合情報サイト「PARTNER」注21を通じ、省庁、JICAに加え、NGO、国際機関、企業および大学等の幅広い主体の国際協力に関する情報(求人および各種研修・セミナー等)を一元的に発信しているほか、人材の登録、キャリア相談などを行っています。さらには、開発協力に関わりの深い研究を行い、将来同分野で活躍する意思を持っている大学院生などに対し、インターンシップを実施しています。また、JICAは、国際協力専門員制度により、高い専門的な能力と途上国での豊富な業務経験を持つ人材を確保するとともに、人材育成のため、ジュニア専門員の採用や、能力強化研修なども実施しています。
また、JICA緒方貞子平和開発研究所注22では、開発協力の現場で得られた知見を分析、総合してJICAの事業にフィードバックさせ、人間の安全保障の実現およびSDGsの達成に貢献するとともに、人材育成にも寄与しています。

- 注19 : 外務省国際機関人事センター・ホームページ(https://www.mofa-irc.go.jp/)では、国際機関空席情報や国際機関で働くための様々な情報提供をしています。
- 注20 : 平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/peace_b/j_ikusei_shokai.html
- 注21 : 国際協力キャリア総合情報サイト「PARTNER」:http://partner.jica.go.jp/
- 注22 : 2020年4月1日、JICA研究所は緒方貞子氏によるJICA研究所の設立趣旨を継承・発展させ、世界の平和と開発への知的貢献を強化するためにJICA緒方貞子平和開発研究所に名称を変更。