2020年版開発協力白書 日本の国際協力

(3)安定・安全のための支援

グローバル化やハイテク機器の進歩と普及などに伴い、国際的な組織犯罪やテロ行為は、国際社会全体の脅威となっています。薬物や銃器の不正な取引、人身取引(性的サービスや労働の強要等)注19、サイバー犯罪、資金洗浄(マネーロンダリング)注20などの国際的な組織犯罪は、近年、その手口が一層多様化・巧妙化しています。また、イラクとレバントのイスラム国(ISIL)の影響を受けた各地の関連組織などによるテロ行為や、暴力的過激主義の思想に感化された個人によるホームグロウン・テロ注21の問題も深刻な脅威をもたらしています。さらに、アフリカ東部のソマリア沖・アデン湾や西部のギニア湾および東南アジアにおける海賊・海上武装強盗問題も依然として懸念されます。

国境を越える国際組織犯罪、テロ行為や海賊行為に効果的に対処するには、1か国のみの努力では限界があるため、各国による対策強化に加え、開発途上国の司法・法執行分野における能力向上支援などを通じて、国際社会全体で法の抜け穴をなくす努力が必要です。

●日本の取組

ア.治安維持能力強化
エルサルバドルでの技術協力「地域警察活動に基づく新警察モデルの実施強化プロジェクト」において、警察官が地域住民にハンモック作りの技術を教えて自立を支援し、治安の良い地域作りを促進。JICAとブラジルの三角協力により実施(写真:松木雄一/JICA)(三角協力については用語解説を参照)。

エルサルバドルでの技術協力「地域警察活動に基づく新警察モデルの実施強化プロジェクト」において、警察官が地域住民にハンモック作りの技術を教えて自立を支援し、治安の良い地域作りを促進。JICAとブラジルの三角協力により実施(写真:松木雄一/JICA)(三角協力については用語解説を参照)。

日本は、国内治安維持の要となる警察機関の能力向上について、制度づくりや行政能力向上への支援など、人材の育成に重点を置きながら、日本の警察による国際協力の実績と経験を踏まえた知識・技術の移転を中心とした支援を行っています。

その一例として、警察庁では、インドネシアなどのアジア諸国を中心に専門家の派遣や研修員の受入れを行い、民主的に管理された警察として国民に信頼されている日本の警察のあり方を伝授しています。

イ.テロ対策

2020年は、新型コロナの感染拡大により、国際的なテロ対策も新たな時代に入りました。パンデミックの影響は、国内の政治、経済、社会のみならず、国際政治経済秩序、さらには人々の行動、意識、価値観にまで波及しており、テロを取り巻く環境も大きく変化しています。テロリストは、ガバナンスの脆弱(ぜいじゃく)化、貧困、人種・民族問題の顕在化による社会的分断など、パンデミックを受けた社会の新たな状況にも適応しつつ、アジアを含む各地域でテロ活動を継続しています。更には、世界的に人々の情報通信技術への依存が高まったことで、インターネット・SNSを使ったテロリストによる過激思想の拡散や、テロ資金獲得といったサイバー空間におけるテロにつながる違法行為に対する包括的な対応が緊急の課題となっています。

また、2019年に「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」がイラクおよびシリアにおける支配地を喪失したことも受け、外国人テロ戦闘員の帰還・移動の問題に関しては、元戦闘員およびその家族の送還、適切な訴追、脱過激化、リハビリ、社会再統合を含む対策を講じること、また、特に若者や女性が暴力的過激主義に感化されないよう、草の根レベルでの啓蒙活動やコミュニティ強化を行うことが非常に重要となっています。このほかにも、差し迫った課題としては、海上保安の強化、刑務所内での暴力的過激主義の予防および受刑者の処遇などがあり、本年はこれらテロを取り巻く環境に新型コロナ感染拡大が与えた影響にも迅速に対応するべく、国際機関を通じて様々なプロジェクトを実施しています。

日本は2019年度、UNDPと国連女性機関(UN Women)が実施する、女性や若者のエンパワーメントといったコミュニティ支援のプロジェクトに計240万ドル、UN Womenが実施する、セネガルの国境地域におけるコミュニティレベルの対話促進による平和構築および女性や若者の和平仲介者育成を目指す事業に21万ドル、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)が実施する、刑務所内での過激化防止のための職員の能力向上や収容者のリスク分析に基づく分類手法の導入等を実施するプロジェクトに約140万ドルを拠出するなどしています。

ウ.国際組織犯罪対策

グローバル化の進展に伴い、国境を越えて大規模かつ組織的に行われる国際組織犯罪の脅威が深刻化しています。日本は、テロを含む国際的な組織犯罪を防止するための法的枠組みである国際組織犯罪防止条約(UNTOC)の締約国として、同条約に基づく捜査共助などによる国際協力を推進しているほか、主に次のような国際協力を行っています。

…薬物取引対策

日本は国連の麻薬委員会などの国際会議に積極的に参加するとともに、UNODCに拠出し、薬物対策を支援しています。具体的には、薬物問題がとりわけ深刻であるアフガニスタンおよび周辺地域での取締能力強化支援や、アジア地域を中心とした国境管理支援を行い、薬物の不正取引の防止に取り組んでいます。

そのほか、警察庁では、アジア・太平洋地域を中心とする関係諸国において、薬物情勢、捜査手法および国際協力に関する討議を行い、相互協力体制の構築を図っています。

…人身取引対策
ベトナムでの技術協力「被害者支援及びカウンセリングのための人身取引対策ホットライン運営強化プロジェクト」における、ホットライン111のハノイオペレーションセンターの様子(写真:JICA/ベトナム労働傷病兵社会省児童保護局)

ベトナムでの技術協力「被害者支援及びカウンセリングのための人身取引対策ホットライン運営強化プロジェクト」における、ホットライン111のハノイオペレーションセンターの様子(写真:JICA/ベトナム労働傷病兵社会省児童保護局)

日本は、人身取引(性的サービスや労働の強要等)に関する包括的な国際約束である人身取引議定書の締約国であり、2014年に策定された「人身取引対策行動計画2014」に基づき、重大な人権侵害であり、極めて悪質な犯罪である人身取引の根絶のため、様々な取組を行っています。また、同行動計画を踏まえて、2014年以降の日本政府による人身取引対策に関する取組の年次報告を公表し、各省庁・関係機関およびNGOなどとの連携を強化しています。

日本で保護された外国人人身取引被害者に対して、日本は、国際移住機関(IOM)への拠出を通じて、母国への安全な帰国支援や、被害者に対する教育支援、職業訓練等の自立・社会復帰支援を実施しています。また、日本は、JICAの技術協力やUNODCやUN Womenなどの国連機関のプロジェクトへの拠出等を通じて、主に東南アジアの人身取引対策および被害者保護に向けた取組に貢献しているほか、人の密輸・人身取引および国境を越える犯罪に関するアジア・太平洋地域の枠組みである「バリ・プロセス」への拠出・参加なども行っています。

…資金洗浄対策等

国際組織犯罪による犯罪収益は、さらなる組織犯罪やテロ活動の資金として流用されるリスクが高く、こうした不正資金の流れを絶つことも国際社会の重要な課題です。そのため、日本としても、1989年のアルシュ・サミット経済宣言に基づき設置された金融活動作業部会(FATF)などの政府間枠組みを通じて、国際的な資金洗浄(マネーロンダリング)対策、およびテロ資金供与対策に係る議論に積極的に参加しています。また、日本はUNODCと連携し、バングラデシュ、モルディブ、パキスタンを含む南アジア地域を中心に、テロ資金供与対策として法整備支援をはじめとする能力構築支援などに取り組んでいます。

エ.海洋、宇宙空間、サイバー空間などの課題に関する能力強化
…海洋
フィリピンで日本政府が円借款で建造を支援した巡視船「マラブリゴ」を視察した茂木外務大臣(2020年1月)

フィリピンで日本政府が円借款で建造を支援した巡視船「マラブリゴ」を視察した茂木外務大臣(2020年1月)

海洋国家である日本は、エネルギー資源や食料の多くを海上輸送に依存しており、海からの脅威への対処を始め、海上交通の安全確保は国家の存立・繁栄に直結する課題です。また、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序は、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現のため、日本のみならず、地域の経済発展にも極めて重要です。

日本は、海洋における法の支配の確立・促進のため、ODAなどのツールを活用して、巡視船の供与、技術協力、人材育成などを通じ、インド太平洋地域の海上保安機関等の法執行能力の向上を途切れなく支援し、被援助国の海洋状況把握(MDA)能力向上のための国際協力も推進しています。具体的には、ベトナム、フィリピンなどに対し、船舶や海上保安関連機材の供与を実施しているほか、インドネシア、マレーシアなども含めたシーレーン沿岸国への研修・専門家派遣等を通じた人材育成も進めています。また、2020年11月に開催された第12回日メコン首脳会議において、菅総理大臣から、「5つの協力」の1つとして、メコン諸国のMDA能力向上のための情報集約ウェブポータルを提供するとともに人材育成を行う旨を発表しました(自由で開かれたインド太平洋実現のための取組については「開発協力トピックス」を参照)。

また、日本は、アジア地域の海賊・海上武装強盗対策における地域協力促進のため、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)の策定を主導しました。各締約国は、同協定に基づいてシンガポールに設置された情報共有センター(ReCAAP-ISC)を通じ、海賊・海上武装強盗に関する情報共有および協力を進めており、日本は、事務局長および事務局長補の派遣や財政支援により、ReCAAP-ISCの活動を支援しています。また、2017年から日本が主導し、ReCAAP-ISCと共催で、締約国等の海上法執行機関の海賊対策に係る能力構築を目的とした研修を実施しています。

アフリカ東部のソマリア沖アデン湾における海賊による脅威に対しては、日本は2009年から海賊対処行動を実施しています。また、日本は、ジブチ行動指針注22の実施のために国際海事機関(IMO)が設立した信託基金に1,553万ドルを拠出しています。この基金により、海賊対策のための情報共有センター、ジブチの地域訓練センターが設立され、同地域訓練センターではソマリア周辺国の海上保安能力向上のための訓練プログラムが実施されています。日本はまた、ソマリアおよびその周辺国における海賊容疑者の訴追とその取締り能力向上支援のための国際信託基金注23に対して累計450万ドルを拠出し、海賊の訴追・取締強化・再発防止に努める国際社会を支援しています。ほかにも、海上保安庁の協力のもとで、ソマリア周辺国の海上保安機関職員を招き、「海上犯罪取締り研修」を実施しています。さらに、日本はソマリア海賊問題の根本的な解決にはソマリアの復興と安定が不可欠との認識のもと、2007年以降、ソマリア国内の基礎的社会サービスの回復、治安維持能力の向上、国内産業の活性化のために約5億ドルの支援も実施しています。

また、シーレーン上で発生する船舶からの油の流出事故は、航行する船舶の安全に影響を及ぼすおそれがあるだけでなく、海岸汚染により沿岸国の漁業や観光産業に致命的なダメージを与えるおそれもあり、こうした事態に対応する能力強化も重要です。このため、日本は、アジアと中東・アフリカを結ぶシーレーン上に位置するスリランカに対し、海上に排出された油の防除能力強化を支援する専門家(油防除対応能力向上アドバイザー)を派遣しています。また、モーリシャス沿岸における貨物船油流出事故を受け、日本は、モーリシャス政府からの要請に応じて同国に3回にわたって国際緊急援助隊を派遣し、同国政府や関係国・機関と協力して、油の流出状況の調査や油防除作業の他、環境分野に関する支援活動を行いました。また、現地で使用しうる油防除に関する資機材を先方政府に提供しました(詳細は案件紹介も参照)。

そのほかにも、国際水路機関(IHO)では、日本の海上保安庁海洋情報部が運営に参画し、2009年以降毎年、日本財団の助成のもと、途上国の海図専門家を育成する研修を英国で実施し、これまで41か国から72名の修了生を輩出しています。IHOとユネスコ政府間海洋学委員会では、世界海底地形図を作成する大洋水深総図(GEBCO)プロジェクトを共同で実施し、日本の海上保安庁海洋情報部を含む各国専門家の協力により、世界海底地形図の改訂が進められています。また、2004年以降毎年、日本財団の助成のもと、GEBCOに貢献できる人材育成研修を米国ニューハンプシャー大学で実施し、これまで43か国から96名の修了生を輩出しています。

…宇宙空間
グアテマラ初の超小型衛星を前に記念撮影を行うデル・バジェ大学衛星開発チームとJAXA関係者(写真:JAXA)

グアテマラ初の超小型衛星を前に記念撮影を行うデル・バジェ大学衛星開発チームとJAXA関係者(写真:JAXA)

日本は、宇宙技術を活用した開発協力・能力構築支援の実施により、気候変動、防災、海洋・漁業資源管理、森林保全、資源・エネルギーなどの地球規模課題への取組に貢献しています。また、宇宙開発利用に取り組む新興国や開発途上国の人材育成も積極的に支援してきました。特に、日本による国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」を活用した実験環境の提供や小型衛星の放出は国際的に高く評価されています。2020年4月には、「きぼう」からの超小型衛星放出の機会を途上国に提供する宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国連宇宙部(UNOOSA)の協力枠組み「KiboCUBE」プログラムを通じて、グアテマラ初の小型衛星が放出されました。グアテマラ大統領からは祝意のメッセージビデオが送られ、現地における日本の宇宙協力に対する期待の高まりがうかがえました。また、6月から10月には、学生がISS船内ドローンを動かすためのプログラムを作成し、「きぼう」船内で与えられた課題をクリアしながら、その時間や課題対応力を競う、きぼうロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)が開催され、日本およびアジア太平洋地域7か国/地域から313チーム、1,168人の学生が参加しました。

このほか日本は、2016年に宇宙分野における途上国に対する能力構築支援をオールジャパンで戦略的・効果的に行うための基本方針を策定し、積極的な支援を行っています。たとえば、モザンビークやコンゴ民主共和国などにおいて、「だいち2号」による熱帯林のモニタリング(JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム:JJ-FAST)を活用した森林モニタリングシステムを実施しています。

…サイバー空間
インドネシアにおける「サイバーセキュリティ人材育成プロジェクト」でのカリキュラム作成についての議論の様子(写真:JICA)

インドネシアにおける「サイバーセキュリティ人材育成プロジェクト」でのカリキュラム作成についての議論の様子(写真:JICA)

近年、自由、公正かつ安全なサイバー空間に対する脅威への対策が急務となっています。この問題に対処するためには、世界各国の多様な主体が連携する必要がありますが、開発途上国をはじめとする一部の国や地域におけるセキュリティ意識や対処能力が不十分であることは、日本を含む世界全体にとっての大きなリスクとなります。また、日本国民の海外渡航や日本企業の海外進出は、渡航・進出先国が管理・運営する社会インフラおよびサイバー空間に依存しています。そのため、世界各国におけるサイバー空間の安全確保のための協力を強化し、途上国に対する能力構築のための支援を行うことは、その国への貢献となるのみならず、日本と世界全体にとっても有益です。

日本は、2013年12月の日ASEAN特別首脳会議の合意に基づき開催されている日ASEANサイバー犯罪対策対話に出席しており、2019年1月にブルネイで開催された第3回対話では、日本におけるサイバー犯罪対策の取組の紹介などを行いました。このほか、国際機関がアジア諸国を対象に行うサイバーセキュリティに係る能力構築のためのプロジェクトへの拠出なども行っています。

また、2009年より日・ASEANサイバーセキュリティ政策会議を開催しており、日・ASEANの枠組みにおけるサイバーセキュリティ政策の相互理解と連携を強化するとともに共通課題の解決に向けた協力を実施しています。この枠組みのもと、2013年度よりASEAN加盟国とサイバー演習および机上演習を継続的に実施しています。

このほか、日本政府が拠出する日ASEAN統合基金(JAIF)を活用し、タイのバンコクに日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センターを設立し、ASEAN各国の政府機関や重要インフラ事業者のサイバーセキュリティ担当者などを対象に実践的サイバー防御演習(CYDER)等を提供することで、ASEANにおけるサイバーセキュリティの能力構築への協力を推進しています。2020年には、日ASEAN技術協力協定に基づく第1号案件として、ASEAN諸国およびASEAN事務局関係者を対象としたサイバーセキュリティに関する研修を1月から2月にかけて実施しました(詳細は案件紹介を参照)。

また、2017年からベトナム公安省のサイバー犯罪対策に従事する職員に対し、サイバー犯罪への対処などに係る知識・技能の習得および日ベトナム治安当局の協力関係の強化を目的とする研修を実施しています。

2018年度から、日米の政府および民間企業の専門家と協力し、インド太平洋地域向けに、電力やガスなどの重要インフラ分野に用いられる産業制御システムのサイバーセキュリティに関する演習を毎年度実施しています。

ASEAN

ASEAN地域のサイバーセキュリティ対策強化のための政策能力向上
技術協力(課題別研修)(2020年1月26日~2月7日)

研修の様子(写真:JICA)

研修の様子(写真:JICA)

オンラインセミナーの様子(写真:JICA)

オンラインセミナーの様子(写真:JICA)

近年目覚ましい経済成長を遂げているASEAN(東南アジア諸国連合)*1では、2015年末にASEAN共同体が発足し、域内統合が進められていますが、それに伴う課題も浮き彫りになっています。日本はASEANの統合プロセスを一層後押しするため、2019年5月、ASEAN各国との間の技術協力協定に加えて、共同体としてのASEANに対して技術協力を行うための協定を締結し、ASEAN全体にわたる人材育成を行うための仕組みを作りました。

そして、2020年1月、日本は同協定に基づく第1号案件として、日本で、ASEAN地域のサイバーセキュリティ対策強化のための政策能力向上のための研修を実施しました。本研修には、初めてASEAN事務局および日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)*2の職員が出席し、ODA卒業国*3であるシンガポール、ブルネイ等からの行政官を含む総勢17名の情報セキュリティ政策担当者が参加しました。

ASEAN各国での適切なサイバーセキュリティ政策の立案および実施を促すため、本研修では講義や日本国内の関連施設の見学などを通じて、日本のサイバーセキュリティ分野の取組や政府機関における情報セキュリティ・マネジメントを学ぶ機会を提供しました。また、参加者同士の活発な議論を通じて、ASEAN各国の状況について情報交換を行いました。

さらに、コロナ禍での研修事業の新たな試みとして、2020年9月には本研修に参加した元研修員向けのオンラインセミナーを実施しました。同セミナーには日本での研修に参加した17名のうち11名が出席し、各国の現状を共有するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらすサイバーセキュリティへの影響を含め、活発な議論が繰り広げられました。

日本は今後とも、このような研修事業を通じて、ASEANの域内統合に貢献するとともに、日本の提唱する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と本質的な原則を共有する「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の実現を促進すべく、日本とASEANの双方にとって有益な協力を行っていきます。


*1 ASEANの構成国については、注1を参照。

*2 詳細は「サイバー空間」を参照。

*3 所得水準が向上した結果、ODA対象国を定めるODA統計指示書付属書1に掲載されなくなり、ODA対象国から「卒業」した国々のこと。


  1. 注19 : 人を強制的に労働させたり、売春させたりすることなどの搾取の目的で、獲得、輸送、引き渡し、蔵匿、または収受する行為(人身取引議定書第3条参照)。
  2. 注20 : 犯罪行為によって得た資金をあたかも合法な資産であるかのように装ったり、資金を隠したりすること。麻薬の密売人が麻薬密売代金を偽名で開設した銀行口座に隠す行為がその一例。
  3. 注21 : 自国で成長した人が起こすテロのこと。
  4. 注22 : ソマリアとその周辺国の地域協力枠組み。
  5. 注23 : 2012年12月より国連薬物・犯罪事務所(UNODC)から引き継いで、マルチパートナー信託基金事務所(MPTF)が資金管理を行っている。
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