(2)自然災害時の人道支援

大雨・洪水の被害を受けたジブチ市内の小中学校において、排水および機能復旧作業を行う自衛隊員の様子(写真:防衛省)(「国際協力の現場から」も参照)

2020年11月、グアテマラにおけるハリケーン被害に対する緊急援助物資の引き渡しの様子(写真:JICA)
日本は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府、または国際機関の要請に応じ、直ちに緊急援助を行える体制を整えています。日本の人的援助としては、国際緊急援助隊があり、①被災者の捜索・救助活動を行う「救助チーム」、②医療活動を行う「医療チーム」、③感染症対策を行う「感染症対策チーム」、④災害の応急対策と復旧活動について専門的な助言・指導などを行う「専門家チーム」(モーリシャスへの緊急援助隊派遣については、案件紹介を参照)、⑤大規模災害など、特に必要があると認められる場合に、医療活動や援助関連の物資や人員の輸送を行う「自衛隊部隊」(詳細は「国際協力の現場から」を参照)を、個別に、または組み合わせて派遣します。
また、物的援助としては、緊急援助物資の供与があります。日本は海外4か所の倉庫に、被災者の当面の生活に必要なテント、毛布などを備蓄しており、災害が発生したときには速やかに被災国に物資を供与できる体制にあります。日本は、2020年には、フィリピン、オーストラリア、フィジー、レバノン、スーダン、ニジェール、ベトナム、カンボジア、ニカラグア、ホンジュラス、グアテマラ、コロンビアなどに対して緊急援助物資の供与を行いました。
さらに、日本は、海外における自然災害や紛争の被災者、難民・避難民等を救援することを目的として、被災国の政府や被災地で緊急援助を行う国際機関などに対し、緊急無償資金協力を行っています。国際機関などが実際に緊急援助活動を実施する際のパートナーとして、日本のNGOが活躍することも少なくありません。
また、日本のNGOはODA資金を活用した被災者支援も行っています。日本のNGO、経済界、政府による協力・連携のもと、緊急人道支援を行う組織であるジャパン・プラットフォーム(JPF)は、自然災害や紛争によって発生した被災者および難民・避難民への支援を行っており、JPFの加盟NGOは、現地政府の援助がなかなか届かない地域で、そのニーズに対応した様々な被災者支援を実施しています(「イ.日本のNGOとの連携」も参照)。
また、自然災害の多い日本とASEANにとって、災害対応は共通の課題です。日本は、2011年に設立されたASEAN防災人道支援調整センター(AHA(アハ)センター)の能力強化を目的として、情報通信技術システムの整備や人材育成などを行うとともに、緊急物資を迅速に被災国へ輸送するロジスティック・システムを構築し、同システムを活用した支援を行っています。