ODAとは? 国際協力とNGO(非政府組織)

計画、教材の開発

※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations


(1)計画の立案

□役割分担の合意 教材を使う教員、教育を受ける子ども、子どもの保護者(地域住民)、教材を再版・普及していく地方政府などが教材をめぐる関係者である。
事業の実施段階から実施後まで、それぞれが担う役割を協議し、合意する。作業および予算・人材確保を含めた計画を立てる。
□対象地域・学校の特定 教育の公平性、実行可能性を考慮し、新規の教材を導入するのに妥当な範囲(地理的広がり、対象校、対象人数、対象学年など)を特定する。
より低コストで、より確実に広範囲に行き渡るよう、媒体(教材の種類・形式、ラジオ放送という場合も)や普及のしくみについて検討する。
少数民族地域や僻地など通常教材の届きにくい学校は、できるだけ対象に含める。その場合は、とくに固有の状況、置かれている社会的な立場などを考慮した教材開発・導入を計画に入れる。


(2)教材開発

□地方政府、教員、住民が開発に加わる 教材づくりは、各関係者とともに、目的、内容、デザイン、使い方を検討する。教育行政官が意義を認めるだけでなく、現場の教員が使いたくなることが重要。住民が加わることで、「供給可能、適切、入手しやすい」を満たすものとすることができる。
□生徒中心の学習を促す教材 教員が一方的に授業をするのではなく、生徒とのコミュニケーションをよくし、生徒の意見や感情表現を促す教授法など、主体的に参加しやすい教材づくりを工夫する。
□人格的な成長を促す教材 民話は生きる上での価値観や倫理観を育む。また、お話は子どもの概念的な発達を促す。
□ライフ・スキルの向上を促す教材 主体的に学び、理解する力、考える力、コミュニケーション能力、意思決定、自己表現、自己管理など、ライフ・スキル(生きる力)能力を高めるという観点も必要。
□文化的な配慮 生活に根ざした内容や伝承文化を教材の題材とするなど、伝統や文化に配慮する。
ただし、特定の地域の文化を仔細に描写するほど特殊性が顕著に表れ、汎用性が少なくなり、他の地域では当てはまらない傾向が強くなる。教材を導入する範囲と地域性のバランスに注意が必要である。
□使用する言語への注意 教材に使用する言語を決めるにあたっては、教材を配布する地域の範囲と、そこで使用されている言語(子どもたちの母語)、公用語がどの程度されるのか、教育政策は公用語(国語)以外の言語を授業で使用することを、どこまで許容しているのか、などについて把握しておく。
必要に応じて2つの言語を組み合わせたり、母語による指導を行うなどの工夫をする。
□ジェンダーの公平性と現地文化 ジェンダーの公平性を追求しながら、その土地の文化との兼ね合いを探る。
□現行のカリキュラムとの整合性 新たな教材は、現行のカリキュラムに組み入れるものを開発する。現場の教員にとって負担を感じさせず、必要性が理解されてこそ、導入でき、普及する。
□持続可能性を考慮 正教材は政府が、副教材は教師自身が、無理なく自ら作成・普及することができる教材とする。お金をかけず、例えば、政府が通常実施している教員研修で採用しやすいものにする、材料に現地で容易に調達できるものを使用するなど、3A(Affordable, Appropriate, Accessible)「供給可能、適切、入手しやすい」を考慮する。
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