ODAとは? ODA評価

第3回ODA評価東京ワークショップ最終報告書

4. 第3セッション
議題2B: 合同評価 2

「合同モニタリング・評価の今後の作業」

 OECDのルンドグレン主任より、第1分科会の論議の結果について報告があった。同主任はプレゼンテーション及びその後のディスカッションの内容に関する主要なポイントを以下のようにまとめた。
  • 参加者から、共同の取り組みから個々の帰属を抽出することについての難しさが指摘された。
  • 合同評価のための共通枠組みを作成する必要については、概ね合意を得た。
  • 多くの参加者は、プロジェクトよりも高いレベルの枠組みへ移行することの重要性について指摘した。
  • 特定の国においては、PRSP等の全体戦略が評価の必要性を見極めるために活用できる全体枠組みとなる場合もある。
  • 特に、ドナーが当該セクターにわずかな資源しか提供していない場合には、合同でのセクター別評価が適切であるとは限らない。
  • オーナーシップをもった効果的なフォローアップを実現するには、評価プロセスにおけるパートナー国のリーダーシップが極めて重要である。
  • 参加者は、評価のキャパシティ・ビルディングに焦点をあてていく必要性に合意した。
  • 一部の参加者は、モンテレイ合意や目標8を含むMDGsについて、「より広い視野で考える」ことの重要性を強調した。

 第2分科会に関しては、共同議長を務めたJBICの松澤次長より、合同モニタリング・評価に関するADBの活動報告、合同モニタリング・評価に関するJBICのプレゼンテーションについて報告があった。同分科会のディスカッションの主なテーマは、キャパシティ、調整、オーナーシップとパートナーシップ、結果重視型アプローチであり、キャパシティについては、個人レベルでは進展しているものの、組織レベルではまだ不十分であること、ドナーによって異なる手続きが援助受入国の負担になっており、調整の必要性が浮き彫りになったことが報告された。また、オーナーシップとパートナーシップについては、多くの国にすでに合同モニタリング・システムが存在するが、これを更に拡大していく必要があること、そして最後に、ODAの結果重視型アプローチを促進・強化する必要があることが指摘された。

 ODA評価に関するワークショップも三回目を迎え、実際に行動を起こすべき時にきている点も付け加えられた。

ディスカッション

 廣野良吉成蹊大学名誉教授がこのセッションの議長を務めた。

 ベトナムのトラン課長は、評価を更に充実させるための課題は、評価の方法論の策定と相互理解の促進であると述べた。同氏は最後に、ベトナムは合同評価を歓迎しており、その前提条件としてドナー諸国からの人材育成支援を強く提案する、と述べた。

 ラオスのムアンラシー局長は、ラオスがモンテレイ会議後に、JICAの支援を受けて合同評価のためのメカニズムを構築した旨述べ、ラオスはこれまでのところ合同評価で大きな困難に直面することもなく、これを更に進展させていきたいと述べた。

 タイのピブンソンクラーム局長は、実際に行動に移すべき時だとする共同議長の発言を支持し、タイは東南アジア諸国連合(ASEAN)の枠組みの中で、貿易、農業、インフラ、観光、人材開発に関する自国の知見や経験の共有を通じ、ASEAN加盟国間のギャップ解消に努力していること、タイはいまや援助受入国を卒業し、他のドナー諸国の経験から教訓を得ることに意欲的であると述べた。同局長は、最後に、他のドナー諸国とともに、評価人材の育成に関するセミナーを来年タイで開催したいという意向を表明した。

 カンボジアのチェン事務局長は、カンボジアがCDメカニズムに従っており、同メカニズムをドナーと途上国の政策対話の場とみなしていると述べた。また、カンボジアはより組織的で一貫したキャパシティ・ビルディングを推進させ、評価の枠組みの中で能力を強化する必要があると述べた。

 ミャンマーのリン課長補佐は、ミャンマーは6つのプロジェクトによる援助を受けており、JICAとの技術協力プログラムはミャンマーの社会経済の発展に極めて重要な役割を果たしてきたと述べた。同課長補佐は更に、他の国際機関も援助計画を通じてミャンマーを支援していると述べ、一例として一次医療を重視したUNDPの「人材開発イニシアティブ計画」を紹介した。同課長補佐はミャンマーを代表して、国際社会のこれまでの援助プログラムに謝意を表した。 

 インドネシアのスティアワン局長は、国及び個人レベルの合同評価の重要な側面の1つは共通理解であり、これが将来のプロジェクトの円滑化につながると述べた。同局長は更に、合同モニタリング・評価をプロジェクト・レベルで始める必要があると述べた。

 ADBのウォルター課長はプロジェクト・ベースの協力から、より継続性のある協力に移行していく可能性について問題提起した。同課長は、第2分科会のディスカッションに基づき、国別プロジェクト・レビューの報告要件を調整する必要があると指摘した。同課長は最後に、タイが合同評価に関してイニシアティブをとり、他のドナー国と会議を開催する用意があることを表明したことを喜ばしく思うと述べた。

 JICAの富本次長は、JICAは各国のイニシアティブを積極的に支援し、キャパシティ・ビルディングをプロジェクト支援の最重要目標とみなし、この分野での進展を望んでいると述べた。また、アジアは自らの経験をアフリカと共有できるというメッセージを発すべきだと述べ、廣野議長もその重要性に言及した。

 マレーシアのチア部長は、マレーシアは二国間技術協力プログラムを行い、各国から年間1,000人前後の参加者を受け入れていると述べた。また、同部長は、マレーシアはアフリカ開発会議(TICAD)を支持しており、次回の「アジア・アフリカ・フォーラム」がマレーシアで開催されること、この技術支援プログラムは「双方に利益があるパートナーシップ」を前提としていることを紹介した。

 UNICEFのケネル室長は、モニタリング・評価のよい事例を記録し、積極的な活用を促進する必要があると提案した。また、同課長は、南南訪問を行い交流を深めることを奨励すると述べた。

 インドのメホートラ局長は、インド政府は政府レベルの二国間開発協力を六カ国に限定することを決定したが、この結果、援助の調和化と効率性の向上が期待される、と述べた。また、同局長は、二国間開発支援を辞退した国に対しては、今後NGOや多国間援助機関を通じた支援が求められると述べた。

 タイのピブンソンクラーム局長は、タイとニュージーランドはメコン研究所(MI)を設立したが、MIに対し合同評価訓練コースの創設を提案する意向だと述べた。
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